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いずれニクハラという言葉ができそう~「クリーンミート 培養肉が世界を変える」

「肉、食べに行こう~!」
という言葉も何年か経ったら、ハラスメントのレッテルを貼られるのだろうか。少なくとも、環境や動物愛護の観点で無配慮な人ということにはなるに違いない。
そんな未来はいいのか悪いのか。。
今回は「クリーンミート 培養肉が世界を変える」を読んでみた。

培養肉とは、動物の対外で筋肉細胞を培養することで、殺傷することなく製造した食肉のこと。本書は、理論的には可能である培養肉の、商品化に向けたスタートアップ企業の動きをまとめている。
ただ、これが本当に世の中に普及していくかどうかは、まだわからない。
まずはまだコストが高いということがあげられる。
しかし何よりも、商品化したとしても多くの人がそれを選んでくれるかどうかわからないという懸念がある。それほど人間の食に対するこだわりは強いのだ。

本書を読んでとりわけ気になったのは、食肉に対する考え方についてである。環境破壊や経済性を理由に語るのであれば理解はできるが、それと同等かそれ以上に語られているのが、動物愛護の観点だ。
たしかに畜産の現場は、動物にとってはよい環境ではない(らしい)し、人間に置き換えたらと思うと胸も痛くなる。
だが、そこまで思うか?という疑問も同時に起こる。

捕鯨の議論もそうだが、英米ではさんざん食肉を広めてきた歴史がある一方で、それに対する嫌悪が共存している。実に不思議である。いや、だからこそなのだろうか。いわば贖罪の念?食材だけに。。失礼。

翻って日本や東洋では、さほどこのような言説が多くないようにも思う。
そういえば、英語には”いただきます”という言葉がないとか。でも食前に神への祈りは捧げるだろうに。そこには動物への感謝はないということか。

人にとって食とは何か。それを問わずにいられない、興味がそそられる書籍ではある。

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