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"Greed is good"~「ウォール街」

1980年代の映画って、なんとなくB級感を感じてしまうのが自分だけだろうか。でも実際に観てみるとストーリーは骨太だったり、シンプルながらメリハリがついていたりと、とても観やすいのだ。
今回もそんな作品。1987年公開「ウォール街」

オープニングに当時のニューヨークの風景が空撮されているのだが、もちろんワールドトレードセンタービルもばっちり映っている。なんかそれだけで懐かしくなってしまう。

ストーリーは、株の買収合戦を軸に展開していくため、そのあたりの知識があればより楽しめるだろうが、あまり分からなくても楽しめる。
なんといっても、マイケル・ダグラスの”それっぽさ”がスゴい。
途中、株主総会で演説するシーンがあるのだが、この映画の白眉といってもいいだろう。このあと「ブラック・レイン」で高倉健・松田優作と共演することになるが、マイケルの怪演を堪能するのであれば、本作の方がよい。

対する若きチャーリー・シーン。そういえばいたなぁという役者である。最近はあまり見かけないようだが、どうもテレビドラマの方に軸足を移しているとか。この時の彼もカッコイイ。トム・クルーズ、マイケル・J・フォックスなどととても人気を博していた。

監督のオリバー・ストーンは、マイケル・ダグラス演じるゲッコーのような強欲なエリート投資家を持ち上げるのではなく、何かを創造することこそが美徳であると言いたかったようなのだが、この映画によって証券会社や投資銀行に就職を志望するものが増えたというのだ。なんとも皮肉な話である。

時はちょうど日本でバブル景気が始まろうとしている頃なのだが、こんなことは昔からあるようで、19世紀末のフランスでの様子を描いたこちらの小説なんかは、とても100年前以上のこととは思えないほど真に迫る描写である。

やや厚めの小説だが、一気読み間違いなしである。

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