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もしもキャリア10年ちょいの現場系コピーライターが事業会社に就職したら

妄想だけならいいじゃないか

メルカリさんのインハウス・コピーライター採用について考えてみた記事が(僕としては)けっこうな反響をいただいたので、調子に乗ってその続編のようなお話を書いてみようかなと思います。

僕は26歳のときに中途採用でコピーライターになったひとです。電通博報堂などに勤務していた……なんてキャリアは全くなくて、代理店の下請的な仕事を請け負う小さな制作プロダクションに所属していました。で、まあ、ぱっとしないまま28歳の終わりにその会社を脱走するかたちで辞めて、いろいろあって独立する羽目に。そのあたりのエピソードは「ころがるえんぴつ」というシリーズでかなり事細かに書いているので、よかったら読んでみてください。意識低くて読むと元気になること請け合いません。請け合いませんよ!

で、あれからもう12年ですか……白髪の量も増えるって話ですが、こんな僕が、もしも……あくまでももしも……!ですが、事業会社に就職したら、その企業の中でどんな仕事ができて、どんな価値を提供できるのだろうか……ということを考えてみました。つまり、今回のタイトルにある「キャリア10年ちょいの現場系コピーライター」というのは僕だと思ってください。


創業社長の思春期とは

この話には、2つの背景があります。1つめは「創業社長の思春期」みたいな話で、フリーランスを数年経験したり、その後法人化しながらずっと走り続けてきて、経営もようやっと落ち着いてきたし、ある程度のポジションもつくれているし、若手も成長してきたな……という、まあ、「僕みたいなおっさん」って、ある日、ふと思うんですよ。「ああ、おれって今、どこかが雇ってくれるんだろうか……」と。もちろん、会社をたたみたいわけではないし、社員たちも愛しています。でも、そんなパラレルワールドを妄想する日があったっていいじゃないですか。ねえ。


「キャリア10年ちょいの現場系コピーライター」のスキルセット

……ちょっと話が脱線しましたが、2つめは広告制作業以外の事業会社に「インハウス」で「コピーライター」がいる状況が、いったいどんなものなのかをちょっとシミュレーションしてみたくなったんですよね。ということで、まずは僕ができることをざっくり書いてみましょうか。

くれぐれも言っておきますが、これが「コピーライター標準スキルセット」だとは思わないでください。ただ、僕の会社であるRockakuでは、このスキルセットを基準にして仕事をしてはいます。上から順に「基礎的→応用的」になっていきます

◎取材による記事制作(企業が運営するウェブメディアなど)
◎インタビューによる記事制作(採用サイトの人物取材など)
◎企業が発信する文章全般の構成・設計(挨拶文から取説、SNSまで)
◎メルマガ制作
◎チラシのレイアウト案+コピー制作(だいたいパワポでつくってます)
◎パンフレットやウェブサイトのコピー(文言全般)制作
◎パンフレットやウェブサイトのページ構成(台割/サイトマップ/WF)
◎施策全般の企画立案
◎企画に基づいたコピーワーク
◎動画のシナリオ/ナレーション制作
◎ネーミング提案(商標チェック含む)
◎自社メディアの企画立案
◎UIと連携したラベリングや言葉づくり
◎企業内のリサーチに基づいたスローガン制作
◎ステイトメント策定
◎企業理念・クレド策定
◎商品・サービス全体のコミュニケーション計画
☆番外編:セミナーの持ちネタ1000枚超/研修メニュー策定も得意!

全部書き切れたかわからないほどにキャリアが散らかってますが、まあ、7割くらいは書き出せたと思います。ド頭に「取材」があるのが元雑誌編集者兼ライターだった僕っぽいところですが、ウチの会社は、入社したらまず、ひたすら取材+原稿を書いてもらいます。

基礎的な表現力をつけることも目的ですが、ゆくゆくは、ブランドや企業をまるごと「取材」して、そこにある価値や課題やビジョンを掘り起こして、次に向かうべき方向性を示す言葉=スローガンやステートメントを書ける人材の育成を目指しているので、「はじめに取材ありき」は、Rockakuの基本になっている気がします。


で、このスキルセットは事業会社でどう生きるのか

僕自身、半分インハウスみたいな仕事も多かったので、その経験をベースに僕が事業会社で発揮できるポテンシャルをシミュレーション(妄想とも言う)してみようと思います。

【1】日常業務編
まず、わかりやすいのは、サイトの更新業務とかですかね。取材もできるし、文章の編集もできるので、日常的な情報発信はお任せいただけるでしょう。これ、単に「記事を書く」ということにとどまらず、例えば、会社全体で使用する表記統一だったり、言葉遣いだったりを「ルール化」していくなんてことも得意なので、このあたりもアピールしておきたいですね。社内報の企画・構成・編集・取材・ライティングも一通りできると思いますし、経営者のスピーチの原稿なんかもけっこう書いてきました。

【2】開発業務編
もちろん、商品開発とかサービスデザインなんかでも力を発揮したいと思ってます。ネーミングもたくさん経験してきてますし、自己流ですがUXから、サイト構成、ワイヤーフレーム、ラベリングやコピーまで、「言葉と編集」のスキルを使い倒すかたちでウェブサービスの開発に参画したこともあります。もちろん、各種企画書や提案書だって、コピーライターが加わればグッとクオリティはアップします。そう、「会社の提案力の底上げ」にもお力添えできるはずです。

あと、サイトやサービス、商品の開発中、チームが迷ったときに立ち返るための合い言葉=「プロジェクトビジョン(仮称)」の策定。これはあんまり馴染みのない仕事だと思うんですが、僕はよく、要件定義が難航しているときに、「表には出ないコピーを書く」という手法をとることがあります。これはどういうことかというと、「関係者の誰もが頭の中にはあるんだけど、上手くかたちにできていないイメージ」を、言語化する作業ですね。ワンフレーズのキャッチコピーのなったり、複数のキーワードの列記になったり、少し長いメッセージなったりと、スタイルはさまざまですが、「言葉による開発」は僕の得意技なので、ぜひこれは試す機会をいただきたいです。

【3】採用活動編
次は企業の要である「採用活動」。これもいろいろお役に立てると思います。まずは採用メッセージやコンセプトの策定。既存の企業理念やスローガンとの関連性も保ちつつ、一連の採用活動全体に一本筋を通す言葉をつくっていきましょう。で、コンテンツでいえば社員紹介のインタビューコンテンツなども、企画・構成からガシガシやります。応募者に伝えるべき会社の魅力や、働くメリットはなにか? それを語るべき人物はどんな人か? を考え、取材プランを立て、インタビューし、記事まで書きます。

【4】その他もろもろ
そんなこともやってたんかい!?みたいな事例も少し紹介しておきましょうか。例えば、展示会のパネル制作、クイズ制作、絵本のシナリオ制作、マンガのネーム、インフォグラフィックスの下絵、採用試験の問題制作、取扱説明書、クレーム対応の文章設計……今、これ書きながら、次々といろいろな記憶が蘇ってきましたが、とにかく、言葉が関わるコミュニケーション全般をいろいろやってきています。


想像してください。言葉の専門家がいる職場の“ラクさ”を

あれ?気がついたら、長大な自己PRみたいになってしまいましたね(汗)。けっこう楽しかった。危ないですね。さて、長い妄想はここで一端終わりにします。まあ、僕じゃなくとも、事業会社内にガチで現場を経験してきたコピーライターがいたら、たぶんできるコトってすごく増えます。

それに、たぶん、すごくラクになると思うんですよね。総じて、文章が苦手な人は多いし、言語化が必要な場面は数限りなくある。そこで、言葉バカ……もとい、コピーライターがいたら、営業だって、開発だって、総務だって、経営陣だって、もっともっと自分たちの価値を発信できるようなる。と、思います。そんなわけで、森田哲生を採用したいという事業会社の方がいたら、面接には行きませんけど、相談には乗らせてください。余計なお世話かも知れないんですけど、コピーライター……とりわけプロダクションのレイヤーにいるコピーライターのキャリアパスを増やすきっかけになったらおもしろいのになって思っています。んじゃあ、また。

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