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継続的な成功を生むことが何より重要

[要旨]

東京都板橋区にある山芳製菓は、菓子製造業であるにもかかわらず、「人をつくり、人に尽くす」を経営理念に掲げています。それは、成行や運任せではなく、継続的な成功を生むことが、何より重要という考え方に基づくものであり、そのために、人材育成によって、安定的な事業活動を目指していると言えます。

[本文]

作家の濱畠太さんのご著書、「『わさビーフ』したたかに笑う。業界3位以下の会社のための商品戦略」を拝読しました。同書は、ポテトチップスの「わさビーフ」が看板商品になっている、山芳製菓(東京都板橋区)の経営戦略について解説している本ですが、同書の最初に、同社の経営理念についての解説が書かれています。「山芳製菓は、『ひとをつくり、人に尽くす』という言葉を経営理念として掲げています。

この言葉には、まず、社員1人ひとりを大切にしたいという経営者の想いがこめられています。全国に商品を販売しているとはいえ、山芳製菓は、まだ、小さな会社です。しかし、小さな会社だからこそ、1人ひとりに対する責任は大きく、一方で、大きな権限も与えられています。また、小さな会社だからこそ、仕事に対するマインドが商品に浸透しやすく、充実感があるのです。自分の仕事がお客様の喜びとなって反映される瞬間に、人は成長するものです。

これが山芳製菓のいう、『人をつくる』ということであり、だからこそ、山芳製菓は教育を大切に考え、『人に尽くす』ことによって、優れた人間になることを目指しているのです。一時的にヒット商品を生み出したり、時流をつかんで儲けたりすることはあります。しかし、成行や運任せではなく、継続的な成功を生むことが、何より重要です。そのためには、企業の考え方、経営理念が正しいものである必要があります。『人をつくり、人に尽くす』は、時代を超えて成功を生み出すためのDNAと言えるでしょう」

事業が発展するためには、継続的な成功が必要です。そこで、成行や運任せで事業をすることはできないので、人材育成を欠かすことができません。かつては、よい製品を製造したり、よい商品を販売したりすれば、利益を得ることができたという時代がありました。でも、現在は、よい製品・商品であふれていることから、従業員と顧客の関係、顧客への提案能力、顧客体験価値といった、製品・商品そのものではなく、それに付属する部分の重要性が高まっています。だからこそ、人材育成に注力しなければ、事業の競争力を高めることができなくなっています。

ここで、2つの大きな課題があります。1つは、人材育成は一朝一夕にはできないということであり、もう1つは、経営者に人材育成のスキルがもとめられるということです。すなわち、経営者は、事業活動に関してだけでなく、組織運営に関するスキルも求められるということです。そして、山芳製菓は、お菓子の製造業であるにもかかわらず、人づくりを経営理念に掲げておられますが、それは、前述のように、現在の経営環境にそったものであり、だからこそ、安定してヒット商品を開発することが可能になっているのでしょう。

2024/2/8 No.2612

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