六等星私信

愛すべき、ヘンテコ路線。 たまに真面目。

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  • 六等星コラム-言葉編-

    言葉について、思うこと。

  • 六等星コラム-BOOKS & ZINE-

    お気に入りの本とZINEについて。

最近の記事

タイミング

何で今日に限って、ということがある。 世はGW真っ最中。多くの人は有休中で出社している人は数えるほどしかいない。 何かがおかしい、と感じたのは、さっき水を追加したばかりなのにその液面が5センチほど減っていたから。 ふと足元に目をやると、床の一部が水浸しになっている。 もしやと思い周辺のものをどかしてみると、見えていた水浸しの部分は氷山の一角で、表からは見えないところも水に侵食されている。 どうやら、水を入れている容器の底にヒビが入っていたようで、じわじわ時間をかけて水が外

    • アンブレラ

      家の傘立てに傘がないことに気が付いて、職場に置き忘れてきてしまったことを思い出す。 いつからか職場では傘立ての置き傘チェックが厳しくなり、1日置きっぱなしにしていたり、雨が降りそうで降っていない日に持ってきていたりすると、早々に撤去の対象となり回収されるので気が気ではない。 ただでさえどこかに置き忘れてくることが多いのに、これ以上傘を新たに買うのは負担が大きい。 まだありますようにと祈る気持ちで出社すると、昨日の今日で目を付けられたようで、早速撤去予備軍として傘立ての隅っこ

      • 近くても

        約3年住んだ地であるのに、当時は降りたことのなかった駅。 同じ市内でありながらも、よそよそしさが漂っている。 辺りはすでに暗く、人通りもまばらで行き交う車の数も少ない。 昼間の諸々の社会の営みから人が消えて、建物だけがそこに取り残されているかのような静かな夜の道を歩いていると、今自分がどこにいるのかわからなくなりそうになる。 しばらくすると、電車の音が聞こえてくる。 少し先に見える踏切を越えるとすぐ湖が姿を現すはずで、きっとこの時間なら対岸の光がぽつぽつ見えるだろう。 近い

        • 心身ともに健康であること。社会の基準は暗黙の了解でそこに合わさっていると思う。それは、元気でない時でなければ気付けないことだとも思う。周りから置いてけぼりにされたようで辛くなったりするけど、人間調子いい時も悪い時もあるのだから、止まってもまた歩き出せばいいのだと自分に言い聞かす。

        • アンブレラ

        • 心身ともに健康であること。社会の基準は暗黙の了解でそこに合わさっていると思う。それは、元気でない時でなければ気付けないことだとも思う。周りから置いてけぼりにされたようで辛くなったりするけど、人間調子いい時も悪い時もあるのだから、止まってもまた歩き出せばいいのだと自分に言い聞かす。

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        記事

          「力」を手に入れる

          先日から2週間限定で開催中のブックイベントにZINEを出品させてもらっている。 前回の開催時はお客さんとして行ったのだけど、当時はZINEを作ろうなど微塵も思っていなかった。 それが、約1年ちょっとの間に拙いながらもZINEを制作し、出店申込みをするようになっているのだから人って変わるもんだなぁと思ったりする。 自分が出店者側になっているなんて感慨深い。 アート系に写真集、イラスト系やエッセイ、雑誌風のものなど、一般流通はしていないZINEやグッズがここぞとばかりに集結して

          「力」を手に入れる

          まだ春だけど

          少し肌寒かったかと思いきや急に暑くなったりするので、この時期は着るものに困る。 昼間は夏を思わせる日差しで、自転車を漕いでいると体がうっすらと汗ばんでくるのがわかる。 帰宅して手を洗おうと洗面台の前に立ち、顔が赤らんでいることに気が付く。 またやってしまった。 まだ春だから、と油断していると痛い目に遭うのはわかっていても、ついつい面倒くさくて何もせず出掛けてしまう。 そして、いざ夏本番を迎えるともう手遅れになってしまい、どうすることもできないままひと夏を過ごすことになる。

          まだ春だけど

          かなわない

          将棋の世界を描いた羽海野チカさんの漫画、「3月のライオン」の中で、印象に残っている言葉がある。 獅子王戦で、天才と呼ばれる宗谷名人に挑む島田八段。 同い年である彼について島田八段はこう語る。 到底自分には手の届かない事柄や相手が現れると、思考回路が停止してしまう。 元々持っているものが違うから、どうせ頑張ったって勝ち目はないから。 努力なんてする意味がない。 そう自分を納得させて、同じ土俵に立つことを諦め続けてきた。 その方が楽だから。 必要以上に傷付かなくてすむから。

          不穏な日常/るるるるんvol.4-付箋-

          手に取ったのは1年ほど前だったと思う。 よく行く書店でこのZINE自体は何度も見かけていたのに、私には合わなそうと、誰が書いていてどんな内容かも知らないのに一方的に食わず嫌いを決め込んでいた。 ルルルン、っていうパックと名前が似ているな。 というか“る”が一つ多いだけだな。 るんるんしてるな。 るんるんな内容なのかな。知らんけど。 なんて思っていた。 今は使っていないが、パックのルルルンは私の肌質に合っていたようで、肌がもっちり潤い気に入っていた。 存在自体は知りながらも決

          不穏な日常/るるるるんvol.4-付箋-

          煌めき

          2900円。3900円。 これまで見たこともない値段を目の当たりにし、見間違いかと二度見する。 いや、間違いない。 合っている。 なぜこんなに驚いたのかというと、それは、パフェ1つ分の値段だったから。 私の中でのパフェの相場は1000円程度、見かけたことのあるお高い値段でも2000円ほど。 注文したことのあるパフェは大抵1000円以下のリーズナブルなもので、それでも自分を満たすには十分なクオリティーだった。 お洒落な食べ物系に疎い私は、高級パフェなるものを初めて知ることに

          粛々と、淡々と

          1週間前にはまだ5分咲きだったのに、ほんの数日であっという間に満開を迎える。 今日の雨で桜の花は緩やかに終わりに向かい、葉桜へと姿を変えていくのだと思うと、華やかに彩られた姿を知っている分少し寂しい気持ちになる。 花が咲く時期になると、徒歩で、自転車で、電車で出掛ける度に、至る所に桜の木が植えられていることに気が付く。 普段は意識すらしていないのに、薄桃色を帯びた蕾が膨らみ始めてようやく、この木は桜だったのだと唐突に思い出す。 住んでいる土地柄、桜の名所と呼ばれる場所はたく

          粛々と、淡々と

          時間をかけて、少しずつ

          私は体が硬い。 前から硬かったのだが、最近さらに拍車がかかっている。 元々筋トレやストレッチが嫌いなうえに、長く続けたダンスからも1年以上離れており、体は鈍る一方である。 ここしばらくは特にひどく、運動もしないのにぐうたらな生活を送っていた。 その結果どうなったかというと、わりとウエストに余裕があったデニムがぱっつんぱっつんになる・肩こり首こりがひどい・上半身が動かしづらいという症状が顕著に表れ始めた。 今の私の体力はというと、ラジオ体操第一で息切れしている。 さすがにこれ

          時間をかけて、少しずつ

          爽やかが駆け抜ける

          見た目はチーズケーキだった。 表面は茶色の綺麗なグラデーションがかかっている。 ぷるぷると潤っているそれは、艶かしさの中に爽やかさも兼ね備えておりしばらく見惚れてしまう。 乗せられた器は涼し気な透明で、厚みのある丸い形をしており、桜が咲き始めた季節だというのに初夏の気配をテーブルに運んできた。 フォークを入れると、思ったより手応えのあるしっかりとした生地で、チーズケーキの感触ではない。 断面はカステラのように見えるけれど、ぽろぽろと儚く崩れる脆さは持ち合わせていなかった。 ひ

          爽やかが駆け抜ける

          “人間は「欝」をべースに社会を構築するべきなのです” 本当にその通りだと身を以て実感した。元気な時は気にも留めないけれど、落ちた時はあらゆるポジティブなことが苦しくなってくる。調子のよくない時でも無理なく出来ることをいくつか持っておくだけで少し楽になるのだと知ったここ半月の日々。

          “人間は「欝」をべースに社会を構築するべきなのです” 本当にその通りだと身を以て実感した。元気な時は気にも留めないけれど、落ちた時はあらゆるポジティブなことが苦しくなってくる。調子のよくない時でも無理なく出来ることをいくつか持っておくだけで少し楽になるのだと知ったここ半月の日々。

          唯一無二

          「で、下の名前は?」 名乗るたびに、これまで何度聞かれてきたかわからない。 私の下の名前は一般的に名字として認識されがちなもので、フルネームを伝えてもなぜかこう聞き返される。 たまに、友人知人でも名字なのか下の名前なのかわからなくなっていたりする。 学生時代を思い出してみても、先生ですら名字を呼ぶ時に間違えている時があった。 はじめは訂正していたが、頻度も増えるとだんだんそれも面倒になってくる。 間違っているけれど、正確には間違っていない。 「本名?」 「芸名みたい」

          きっかけなんて、そんなもん

          自分の意思で読書をするようになったのは社会人になってからだった。 小学生の頃も読んではいたが、それは学校でのノルマのためであって、自分の楽しみのためではなかったように思う。 1年を通して5000ページ読破、10000ページ読破という目標が定められており、読書記録をつけて定期的に提出しなければならなかったため図書館で本を借りては義務的に読んでいた。 ただ、本を読むこと自体は苦ではなく、図書館で借りては読みまた返しに行っては借りて帰るというのを繰り返していたので、冊数だけでいうと

          きっかけなんて、そんなもん

          最近よく友人のSNSで「今日はxxの打ち合わせをしてきました」「お声がけいただき、複数の案件が同時進行しています」「今度嬉しいお知らせができます」等の文言を見かける。 羨ましい。私も何か打ち合わせてみたい。“案件進行中♡”とか言ってみたい。お声がけいただいてみたい。密かな憧れ。

          最近よく友人のSNSで「今日はxxの打ち合わせをしてきました」「お声がけいただき、複数の案件が同時進行しています」「今度嬉しいお知らせができます」等の文言を見かける。 羨ましい。私も何か打ち合わせてみたい。“案件進行中♡”とか言ってみたい。お声がけいただいてみたい。密かな憧れ。