爽やかが駆け抜ける
見た目はチーズケーキだった。
表面は茶色の綺麗なグラデーションがかかっている。
ぷるぷると潤っているそれは、艶かしさの中に爽やかさも兼ね備えておりしばらく見惚れてしまう。
乗せられた器は涼し気な透明で、厚みのある丸い形をしており、桜が咲き始めた季節だというのに初夏の気配をテーブルに運んできた。
フォークを入れると、思ったより手応えのあるしっかりとした生地で、チーズケーキの感触ではない。
断面はカステラのように見えるけれど、ぽろぽろと儚く崩れる脆さは持ち合わせていなかった。
ひ