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【スターが描くスターの肖像】アンディー・ウォーホル キョウト 京都市京セラ美術館


言わずと知れたポップアートの巨匠アンディーウォーホル。彼は日本、とりわけ京都を気に入っていて
その軌跡と作品への影響を考察しながら名作を十分に見せてくれる回顧展だ。
ウォーホルオンリーの展覧会は…11年前?に新国立で行われた展覧会を見た以来。

朝イチ入場だったので、まず人の凄い撮影バブルの第一室は飛ばして人のいない第二室からゆっくりと。

初めて見る、こんなモチーフもあったのか!と言う作品の数々にやっぱり心が踊る。
何でしょうね、やはり見てて楽しい。

今回、所々に写真の展示挟まれていて、かの有名な洗濯洗剤の箱を律儀に自作しているウォーホルの写真を見たら…なんか…「大量生産、資本主義の何ちゃらに対する何かが作品の背景にはあって…」など御高説を語られがちだが、
いや、この量とこの大きさ自分で手作りしたのならそりゃあもうやっぱり芸術家や彫刻家なんだ。

なんかこのチマっとした感じがいい。
みんな大好きキャンベルスープ

その小さな写真一枚から「手を動かしてる」感じが伝わってきてウォーホルの見る目が少し変わった。
これ、楽しかったんじゃないかな、作ってて。

そして私的今回のハイライトは
同時代のアーティストの肖像。
テンション爆発である。
一枚のフレームにロイ・リキテンスタイン、ロバート・ラウシェンバーグ、フランク・ステラ、ドナルド・ジャッド、ラリー・プーンズ、ロバート・モリスのシルクスリーンの肖像が納められている。


最高や!
ポップアート四天王(6人だけど)



何だこれ最高ではないか。

これに添えられてたウォーホルのインタビューを含むキャプションが最高で思わず笑ってしまった。
そうかー。
今は仲良く東京都現代美術館の一室に並べられてるけどね。
リキテンスタインとウォーホォル、そうかぁーと。
ニヤニヤしてしまう。
更にこの中の関係性でいうとフランク・ステラ、ドナルド・ジャッドの関係も面白いだろう。

いやぁ…この小さな2枚をピッツバーグから持ってきてくれてありがとう!
めっちゃ狭いスペースの一画だったけど私にとっては遥々ここまで来て、見に来て良かったと思わせてくれる一角だった。
今でも見た瞬間の「あっ!これはっ!」と思った驚きや感動が忘れられない。

ここで、第一室に戻る。
だいぶスタートの人は捌けて見やすくなった。
ここはウォーホルと京都滞在、日本についての展示を中心に。
京都滞在の写真類はウォーホルの素の状態が伝わってきてどれも心が暖まる。
ここでの驚きは北斎の波の絵をウォーホルが描いたもの。
木版画とシルクスリーン、誰もが知る図案、という点に共通点が見出せる。そうか北斎とも出会っていたのだな。


北斎とウォーホル



第三、四室は、ウォーホルの晩年へ向かっていく様子を、いつも静かに付き纏う死のイメージの作品と共に緩やかに魅せていく。
淡々と、でもウォーホルのあまり知られていない素顔に寄り添いながら終へ近づく解説。
知っている様で知らない。
こんな事の連続なんだろう。

87年に58歳で亡くなったウォーホル。
生きていたら…93歳。
草間弥生氏と同い年ぐらいか。
ハイブランドとのコラボとかしていたのかな。(これからだって可能性としては十分あるけれど)

現代美術のスターダムをのし上がった華やかなスーパースターの最後。
晩年の作品群はその終わりを知っているかの様な内容に見えてしまう。
(後付けでいくらでも物語は辻褄を合わせることができる、という前提だが)
生きていたら、87年以降どんな作品に取り組んだのだろうか?
それとも86年の最後の作品が本当に最後だったのか。
そんな事を考えてしまう、ウォーホォルの「最後の晩餐」の展示で会場は締めくくられていた。

アンディー・ウォーホル キョウト

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