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37歳、寿司屋のリアル開業体験談(金沢編)

あなたなら、この物件で、何で勝負しますか?

-JR金沢駅徒歩3分
-1階路面の22坪
-金澤町家(外観は素晴らしい状態ですが、中は若干荒れていてそのまま使えない)
-改装は自由

ぼくは、寿司屋を選びました。

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2ヶ月前の4月20日、おすしと和食 はた中が開業しました。金沢駅から徒歩3分にある、町家を改装した寿司と和食の店です。

はじめてちゃんとした飲食店をゼロから作りました。費用も何千万単位でかかりました。

このnoteでは、飲食業ド素人のじぶんが、どのように寿司屋を開業したかを書きたいと思います。

良い条件が重なったのですぐに真似できるノウハウじゃないですが、お店の作り方として参考になれば嬉しいです。

⒈物件を見つける

発端は昨年の6月。
まだ梅雨が始まる前の、快晴の日でした。

弊社の他のプロジェクトでお世話になっているある大家さんに、こう声をかけられました。

「吉岡くん、あの物件で何かやらないかい?」

金沢駅から徒歩3分。
ホテルだらけの金沢駅前に、そこだけ開発が取り残されたような路地裏があります。

そこに建つ1軒の金澤町家、
広さは、約22坪。
金沢には町家が多く残されていますが、駅前にはあまり残っていません。

衝動的に、何かやりたいと思いました。

そこで、

「何かやりたいと思いますが、すぐに思いつかないので1ヶ月だけ時間をください」

と伝えました。

ぼくらは金沢駅周辺で宿泊事業を手がけている会社です。ゲストハウスや民泊、1棟貸しの宿の経営についてよく知っています。

ただ今回の物件は、22坪しかなく、宿泊施設には適しません。

宿はできないけれど、何かやりたい。

そこで大家さんには1ヶ月間の猶予をもらうことにしました。

何も決めることができなければ諦めることにして。

⒉業態を決める

物件の概要はこんな感じです。

-JR金沢駅徒歩3分
-1階路面の22坪
-金澤町家(外観は素晴らしい状態ですが、中は若干荒れていてそのまま使えない)
-改装は自由

しばらく、もんもんと考えました。
そのままでは使えないので、かなり改装費用がかかります。

駅前なので地元の人も観光客も多いエリアです。ただメインの通りからは一本裏なので、人通りはありません。

立地や物件の大きさから飲食店しか考えられなかったのですが、最終的に寿司屋を選びました。(BARと迷いましたが。)

完全に直感でした。

直後、嫁や社内を説得するためにもっともらしい理由を一生懸命考えました(笑)。

こんな感じです。

-金沢は寿司のニーズが高い
-外国人が気軽に入れる寿司屋がない
-海外でビジネス展開できるかも
-宿業で培った外国人対応ノウハウを寿司屋に活かしたい
-寿司は最高のエンタメ(これからはエンタメの時代)

起業してから幾度となく無謀な挑戦を繰り返してきたおかげで、最大の難関である嫁をパスし、晴れて寿司屋開業への一歩を踏み出すことができました。

⒊板前を探す

さて、寿司屋を開業すると決めたものの、当然ぼくは寿司が握れません。

そこで寿司を握れる板前を探すことにしました。

ただ、絶対に外せない条件が2つあって、

1、若くて、
2、英語が話せること

じぶんたちのような若い会社がオープンする寿司屋なので、集客にはSNSを駆使するつもりでした。

ある程度若くてインスタなどのSNS回りを理解している板前が必要でした。

加えて、外国人のお客様を呼び込みたかったので、きちんと料理の説明や接客を英語でできる必要があります。

正直、そんな人材いるわけないじゃん、とじぶんでも思いましたが、とりあえず知り合いに声をかけていくと

すぐに見つかりました(笑)。

どこにいたかというと、マレーシアに(笑)。

知人の紹介で、当時マレーシアの高級寿司屋で修行をしていた畠中亜弥子さん(以降、畠中)と繋がりました。

彼女は奈良県の老舗旅館の娘で、京都の和食店で修行したのち、単身マレーシアに渡り寿司を学んでいました。

早速Facebookで連絡して自分の計画を話すと、興味を持ってくれたようで電話をすることにしました。

畠中は、
-29歳で
-渡航前、金沢に住んだことがあり、
-金沢がとても好きで、
-将来は独立したくて、
-今は、英語も学んでいて、
-外国人に寿司の良さを伝えたいと思っていて、

(マレーシア時代の畠中)

ほぼじぶんが望んでいた人材でした。
話せば話すほど、じぶんが作りたい店と、彼女がやりたい店は同じでした。

(後に知りますが、ぼくらは誕生日まで一緒でした。w)

というわけで、はじめての電話でほぼ畠中に店を任せることが決まりました。(もちろん彼女はマレーシアにいるので会っていません。LINE電話でお互いの顔は確認しましたが)

ちなみに、こちらが畠中の紹介となります。

⒋物件を契約する

業態と人材が決まったので、大家さんに連絡をし、賃貸契約を結びました。

最初の約束からちょうど一ヶ月がたったころです。

今回の大家さんは、違う案件でもお世話になっている方で、お互い非常に強い信頼関係で結ばれています。

なので、不動産屋を介さず直接契約を結びました。

こうすることで、契約時に発生する契約手数料を節約し、その後の大家さん側に発生する管理料的なものも削りました。win-win!

そして、この時点(8月ごろ)で、開業日を決めました。
4月20日です。

ケツが決まれば、もう走るしかありません。

⒌融資を受ける

物件の契約と同時並行で、金融機関へ融資のお願いをしました。

提出した書類は2つ。
事業計画書」と「収支計画書」です。

事業計画書は、どこでだれが誰に向けて何をどのように売るか?が書かれた書類です。

今回の場合だと、「弊社(合同会社グッドネイバーズ)が金沢駅前の22坪の金沢町家で、地元の人や外国人観光客をメインターゲットに、職人が握る寿司を、〇〇な方法(秘密)で売る」的な内容です。

収支計画書は、開業から3年間の各月の売上とコスト、そして利益の計画です。

売上は、定員や回転率、単価などから計算し、
コストは、仕入れや家賃、人件費、消耗品など詳細に予想し、最終的な利益を導き出します。

で、銀行に対して、「これだけ利益が出て間違いない事業なので、お金を貸してください」とお願いするわけです。

銀行も提出された計画書を鵜呑みにするわけじゃなく、実行可能な計画か、本当に貸したお金は返ってくるか、きちんと精査します。

事業規模にもよりますが、だいたい1-2ヶ月かかります。

⒍店舗屋に設計デザインを依頼する

無事、銀行から融資OKの連絡が来たので、いよいよ店舗の設計です。

今回の工事は、地元金沢の店舗屋さんにお願いしました。

ホテルやゲストハウスを作るときは、設計事務所を利用しますが、小さな規模の事業の場合は店舗屋を使います。

ちなみに店舗屋は、設計とデザイン、施工まで一気通貫でやる会社です。

以下、かんたんに設計事務所と店舗屋のメリットをまとめました。(デメリットは、この逆だと思って下さい。)

設計事務所のメリット
-デザインの幅が広い
-施工は工務店や建設会社に相見積もりし発注業者を決定するため、見積もりの比較検討がしやすい
-減額案に前向き(減額しても設計士への支払い金額は変わらないから)

店舗屋のメリット

-とにかく早い
-スケジュールが正確
-一気通貫なので調整作業が少ない
-得意な業態にはまれば強い

事前に畠中と定員数、価格帯、ターゲット、デザインの嗜好、厨房機器のスペックなどを細かく相談していたので、それを担当者に伝えます。

数度の打ち合わせ後、ぼくたちの作りたいものの輪郭がハッキリした段階で、デザイン案および見積もりを出してもらいました。

ぶっちゃけ、見積もり金額は当初の予算から30%もオーバーしました。

店作りあるあるですが、まじで焦ります(笑)

そこから、さらにデザインの細かな修正を行います。また予算から大きく跳ね上がってしまったので、過剰な設備を削ることで減額作業を行いました。減額作業は必要だと思った設備を削る作業なので、精神的にキツイです。

工期はおおよそ40日と聞いていたので、開業日から逆算して2月末までに店舗屋と契約を結び、3月頭から工事が始まりました。

(工事中の現場です)

7.開業までラストスパートの巻

ここからは、オープンまでの最後の準備です。
工事の期間中(40日間)に行いました。

ここからは、だいたい想像できる内容なので駆け足でいきます。

1.食器や備品の購入
コンセプトにあった食器やカトラリー、料理に使う鍋や調理器具、調味料を購入しました。お皿の一枚あたりの単価は低いとはいえ、大量に購入したことで結構な額になりました。

2.仕入先の選定
お酒や魚、野菜、おしぼりなどの仕入先を探しました。

3.スタッフ募集
オープニングスタッフの募集をかけました。畠中以外にもう一人の板前(縁故で採用)を採用し、またアルバイトのホールスタッフを2名採用しました。

アルバイトの募集は、バイトルとクックビズを利用しました。バイトルからの応募は7人ほどあり2名採用。クックビズは応募ゼロでした。(掲載料は3-5万円ほど/月)

4.オペレーションの確定
ゲストの来店から、注文の取り方、オーダーの通し方、お会計など、一連の流れを確定します。

5.メニュー
メニューと価格を決めます。

6.公式サイトをつくる
Wordpress
を利用し、公式サイトを作りました。
独自ドメインを取り、レンタルサーバーを使い、ぜんぶ自作しました。

外国人の流入も期待して、英語対応です。そのうち、繁体字も作る予定です。

7.SNSアカウントつくる
FacebookページInstagramGoogleマイビジネスのアカウントを作りました。Googleマイビジネスは登録まで時間がかかるので、早めに準備するのがオススメです。(一方で、食べログ、ぐるなび、Rettyなどの営業はすべて断りました。)

8.プレスリリースを打つ
ValuePress!でプレスリリースを打ちました。
これです。

プレスリリースを打つことで、興味のあるメディアに掲載されたり、さらに深掘りして取材してもらえる可能性が出てきます。

9.クラウドファンディング
工事の費用が想定外にオーバーしたので、足りない部分はクラウドファンディングで補いました。70万円の募集に対して、約210万円集まりました。

10.POSレジの導入
BlaynのPOSレジを導入しました。(Airレジ、スマレジも悩みましたが、決定打がBlaynの社長が元バックパッカーで、じぶんの境遇と似ていたからですw)

11.予約・顧客管理台帳システム
自社サイトからの予約の受付や予約の管理、顧客の管理を行うシステムを導入しました。TableSolutionというシステムです。クラウド予約台帳トレタと迷いましたが、クレジットカードで事前決裁ができる機能を搭載していることが決め手で、TableSolutionにしました。

12.プレオープン
いよいよ、オープン間近。
スタッフや関係者を呼んで、プレオープンを行いました。
この場でオペレーションの再確認を行います。

8.いよいよ開業

あとはやりきるのみです。

今後の展開

オープンから2ヶ月たち、現場のオペレーションが落ち着き、かつ常連さんも増えてきて、店として非常によい立ち上がりになってきました。

開業前は、あーだこーだ畠中と一緒に店作りをしましたが、オープン後は基本的に彼女に任せています。

とりあえずの目標売上は、月600万円です。

それとお昼の空いた時間を利用して、外国人向けに「すし握り体験」を企画しています。

さいごに

全くの新規事業で寿司店を作ったわけですが、どこからみてもリスクだらけで、よくこんなことにチャレンジしたなぁという感想です。

一方で、
駅前の素晴らしい物件を借りられたこと、
畠中に出会ったこと、
チームのメンバー、みんなが素晴らしいこと、

などなど、想定外のラッキーが重なり、はじめての挑戦にも関わらず、順調な滑り出しをすることができました。

確かに、将来のことを考えると不安でたまらなくなることもありますが、伸びしろもまたあり、伸びたときのインパクトを考えると本当にわくわくします。

店作りは、本当に面白いです。

追伸.
料理人を募集しております。


お店は落ち着いた雰囲気ですが、料理長をはじめスタッフは全員10~20代で、とてもフレンドリーな職場です。わたしたちは、じぶんたちのお店を成功させるだけでなく、周りの人たちを巻き込みながら、新しい食文化を作りたいと思っています。「食べる人」も「生産者」も「働く人」も、みんなが長期的に幸せになるループを作ることを目指します。

【はた中で学べること】
・おすしや和食の仕事
・飲食店の立ち上げ経験
・英語のコミュニケーション

【条件】
■雇用形態:正社員/アルバイト
■給与:正社員・月給23万円以上(経験考慮します)、アルバイト・時給1,000円(22時以降は1,250円)
■福利厚生:雇用保険・労働保険・厚生年金保険・健康保険・有給休暇(正社員のみ・初年度10日)
■勤務時間:シフト制
■応募資格:調理の経験があること。また必須ではありませんが、日本酒とワインを好んで飲む方を優遇します。
■このような方に向いています:
・食を通じて世の中を変えていきたいと考えている。
・金沢という街に魅力を感じる。


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Takuya Yoshioka

『旅のある人生を設計する。』 3年半海外を放浪→東京で7年サラリーマン(3度転職)→31歳で一念発起で起業。現在金沢で4軒のゲストハウスを経営中。 | ゲストハウスの裏側 | インバウンド | 旅する社長 | マーケティング | 元星野リゾートの海外マーケ

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コメント1件

私も飲食店経営に興味があり、とても参考になる記事でした。金沢に寄ったときは、お邪魔してみたいと思います。
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