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<第13回>Step5-1.推敲(前編)〜より伝わりやすくするために文章を磨き上げよう!【文章の書き方入門講座】


こんにちは。
戦略マスター頼朝です。

前回までの記事で、私が論文指導をする中で得た文章作成についての気づきや学びを作文の基本的なプロセスに沿ってご説明してきました。

今回はいよいよ最終ステップの「Step5.推敲(前編)」についてご説明していきます。

自分の気持ちや考え方が読者に正確に伝わるかどうかは、推敲の出来にかかっていると言っても過言ではありません。

それでは、どのように推敲作業を進めていけば良いのでしょうか?

初心者の方を対象になるべく分かりやすくご説明していきますので、もしよろしければ最後までお読みいただけると幸いです。

それでは、行ってみましょう!

戦略マスター頼朝@文章術でブランディング/リーダーシップ論(@6VQGPJH3FHYoZn6)さん / X (twitter.com)


1.推敲とは?

1-1.推敲の意味と目的


推敲」という言葉は、元々は漢文由来のものですが、ここでは簡単に「書き上げた文章を客観的に見直して、読者が読みやすいように整えていく作業」と定義したいと思います。

なぜ推敲をするのかといいますと、自分の気持ちや考えを読者に伝わりやすくするためです。

題材メモと構成メモにのっとって文章を書いていても、書き上げた後に客観的な視点で読み返しますと、文法間違いや誤字・脱字、言い回しが分かりにくいなどといった点が見つかるものです。

それら手直しするべき箇所を放置したまま文章を発表したのでは、伝えたいメッセージを対象読者に正確に伝えることができません。

そのため、文章を書き上げた後には必ず推敲をするようにしましょう。

文豪と呼ばれる偉大な作家たちも、書き上げた文章を何回も推敲しています。

作家ではありませんが、アメリカ合衆国大統領のJohn F. ケネディ氏も、その就任演説原稿を自ら30回書き直したそうです。

そのため、リンカーン大統領のゲティスバーグ演説やフランクリン・ルーズベルト大統領の第一回就任演説と並ぶほどの格調高い名演説として評価されています。


1-2.何回も書き直して文章を磨き上げるのが推敲


伝わりやすい文章を書くためのポイントは、前回までの記事で色々とご説明してきました。

さらに文章の仕上げ段階でのポイントを述べますと、推敲なしに一回で良い文章を書こうとしないことです。

むしろ、書き上げた文章は、推敲作業の中で何回か書き直しをするのが当たり前と言って良いです。

そのため、文章を書いて人に読んでもらうことは、その作成プロセスの中に必ず推敲作業が含まれているものだと考えておきましょう。

読者の視点で文章を読み直し、より伝わりやすいように何回も書き直すことで、だんだん良い文章に成長していくものです。

このように、推敲とは文章を書き上げる時の基本であり、推敲することこそが本当に文章を書くことだと言えます。

つまり、文章をいったん書き上げた後の推敲作業からがむしろ本番だと言えるでしょう。

「嘘だー!」と思われるようでしたら(笑)、ご自身が書き上げた文章を人に読んでもらって、感想を聞いてみてください

感想を聞く中で、良い指摘であっても悪い指摘であっても、必ず書き直したい部分が出てくるはずです。

自分の文章を人に読んでもらうことで、推敲をやる必要性を理解していただけると思います。

また、読者の視点を自覚することで、これから行う推敲の作業が深まります。


なお、文章が完成するまでに何回書き直しをするかといいますと、最低3回は書き直すことが多いです。

もちろん、一から全部を書き直すわけではありません。

読者に伝わりにくいなと思った部分を書き直していくだけです。

つまり、全体を上書きする形で、不足している部分を加筆したり、余計な部分を削除したりするなどの修正を加えながら、書き直し(リライト)していくのです。

私自身はもちろんのこと、生徒さんたちを見ていますと、自分が納得いくまで推敲作業をやり続けた結果、平均的に3回は書き直しています。

それでは、次の章から推敲する時の考え方や姿勢、具体的なやり方、そして、チェックポイントなどについて見ていきましょう。


2.推敲する時の基本的な考え方と姿勢

2-1.推敲する時の基本的な考え方とは?


推敲の目的は、自分の気持ちや考えを読者に伝わりやすくすることです。

そのため、推敲する時に頭に入れておくべき基本的な考え方のポイントは、次の3つになります。

①書き手(自分自身)が伝えたいことが、過不足なく、かつ、正確に表現できているか

②読者にとって分かりやすい文章になっているか

③誰が、誰に対して、何を伝えたいのかが、書き手と伝えたい相手(ターゲット読者)以外の第三者が読んでも理解できるか

以上の3つの点を基本的な考え方として頭に入れておき、いったん書き終えた文章や自分自身の心に対して、たくさんの自問自答を繰り返していく作業が「推敲」になります。

目の前の文章を書いていた頃の自分(過去の自分)と、書き終えた後の現在の自分とは、心理状態も文章を見る視点も違うはずです。

文章を書くことから一歩離れて、読者の視点に立って改めて読み返すことで、「なぜ、そのように文章を書いたのか?」と自分自身に問いかけることができるようになります。

言わば、その文章を書いた過去の自分に対して取材していくようなものです。

その取材過程の中で、

「なぜ、もっとこういう風に書かなかったのかな?」

「こう書いた方がもっと面白いんじゃないかな?」

などといった様々な反省点や改善点が見つかるでしょう。

それらが思い浮かんだ箇所を書き直していきます。

何回も推敲作業を繰り返す中で、より良い文章になるように磨き上げていきましょう。

①から③の3つの基本的な考え方を満たすような文章に仕上げることができたら、推敲作業のゴールになります。


2-2.推敲する時にとるべき姿勢とは?


それでは、3つの基本的な考え方を踏まえて推敲作業のゴールを目指すためには、どのような姿勢で望めば良いのでしょうか?

推敲が上手くいくためのポイントは、自分が書いた文章に対してどれだけ客観的な視点(赤の他人の視点)を持てるかです。

具体的には、

⚪︎客観的な視点から、不要な部分があれば容赦なくバッサリと切り捨てられるかどうか

⚪︎客観的な視点から、自分自身の文章に対して容赦なくダメ出しや改善提案をすることができるか

⚪︎文章の評価について最も厳しい人を読者として想定した場合に、その人に対してきちんと説明できるような文章の書き方ができているかどうか

などです。

以上のような推敲作業に必要な客観的な視点を持ち続けるためには、迷ったら不要な部分を切り捨てて、潔く書き直す姿勢を持つことが大切です。

つまり、読者に伝わりにくいなと思ったところは、勇気を持って断捨離する姿勢が求められます。

日記ではなく、人に読んでもらうための文章を書く以上は、自分が伝えたいメッセージが届けたい読者に正確に理解されることが何よりも大切です。

したがって、推敲する際には、「もったいない」という言葉を禁句にして、潔さと勇気を持って文章を書き直す姿勢を大事にしていきましょう。 

例えば、文字数を稼ごうとしてテーマから外れた余計な情報を入れてあったら、それは読者から見れば、回りくどくて不要な部分になります(情報のかさ増し部分)。

かさ増し部分は、容赦なくバッサリと断捨離していきましょう。

また、賢く見られたいために色気を出そうとして知識をひけらかすような箇所も、自分としては文章を美味しくするための隠し味だと思っていても、読者から見れば嫌味な印象に受け止められてしまいます。

そのような知識のひけらかし箇所も不要な部分になりますので、潔く書き直しましょう。

ただ、正直に申しますと、私も「せっかく書いたのに、もったいない!」と思いながら、書いた文章を泣く泣く削ることがよくあります。笑


3.推敲のタイミングと具体的なやり方

3-1.推敲するのに良いタイミングとは?


推敲が上手くいくために必要な姿勢とは、どれだけ客観的な視点を持てるかということでしたね。

したがって、文章を書き上げた直後に推敲をするのはお勧めしません。

文章を書いている時の熱気や興奮が冷めておらず、また、自分視点がまだ抜けていないからです。

文章を書いた時の余韻が冷めるまで、いったん時間を置きましょう。

文章を書き上げた時から時間的な距離を置くことで、少しでも読者視点に近づけるようにするのです。

この自分視点から読者視点への切り替えをするために、あえて一晩くらいは文章を寝かせることが推敲が上手くいくためのポイントになります。

自分自身の視点から幽体離脱して他者の側に身を置くことで、出来るだけ客観的な視点を持つようにしましょう。


3-2.推敲の具体的なやり方とは?


推敲する際には、少しでも読者視点を持てるようにするために、次のようにやり方を工夫してみると良いでしょう。

(1)書き上げた文章を一晩寝かせる(時間的な距離を置いてみる)

1日か2日くらいは時間を置いてみるのがお勧めです。

そのくらいの時間的な距離があれば、頭脳がクールダウンしているはずだからです。

(2)パソコンで書いたものなら、紙にプリントアウトして読み直す(文章の見た目を変えてみる)

見た目が変わることにより、読んだ時の印象も変わることが多いです。

それによって、書いている時には気がつかなかった修正点が見えてきます。

(3)親しい人に読んでもらう(発表前に他者の視点を取り入れてみる)

文章は文字になったものが全てであり、発表後は言い訳ができません。

逆に、発表前でしたら、いくらでも修正が出来ます。

そのため、あらかじめ他者の視点を取り入れておくのが得策です。

親しい人からフィードバックをもらうことで、自分では気がつかなかった修正点や改善点が見えてきやすくなります。

この時、自分の意図とは全く違う受け取り方をされることもたまにあります。

それは、その親しい人と同じような受け取り方をする人が他にも出てくる可能性があることを示しています。

不本意ではあっても、相手の読解力不足のせいにしてしまっては、自分の文章がより良くなることはあり得ません。

したがって、フィードバックもまた自分の文章をより良くするための大切な取材活動だと捉えて、素直かつ柔軟な姿勢で親しい人からの貴重なご指摘を受け入れましょう

そして、そのフィードバックの内容を踏まえて修正や改善を繰り返すことにより、せっかく読んでくれた親しい人の期待を超えるような文章に磨き上げていくと良いでしょう。


(4)音読してみる

自分が書いた文章を音読してみることで、読者にとって読みにくい点が口と耳という感覚器官を通して理解しやすくなります。

目安としましては、最初から最後まで読み違えることなく音読することができれば、それは読者にとっても読みやすい文章だといえます。

逆に、所々で音読しにくい箇所があれば、それは読みにくい文章だと見て良いでしょう。

一文を短くしたり、読みにくい箇所の言葉を他の分かりやすい言葉に書き換えたりして、修正を繰り返しましょう。


以上のようなやり方で推敲を繰り返すことで、読者視点に立った読みやすい文章に磨き上げていくことができます。

改めて申し上げますと、推敲とは読者にとっての読みやすさを高めるための、必要にして不可欠なプロセスだと言えるでしょう。




今回も最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

長くなりましたので、ここでいったん文章を区切り、第14回(後編)で「Step5.推敲」の続きを説明していきたいと思います。

「文章を書いてみたい!」という素敵な気持ちがありながら、「書き方がよく分からないんだよね」と悩んでいらっしゃる方のために、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。

この試みに共感して下さる方は応援していただけますと大変ありがたいです。

それでは、次回の後編もどうぞ宜しくお願い申し上げます。


戦略マスター頼朝







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