見出し画像

<第11回>Step4-2.執筆(中編)〜➁読みやすい文を書くための工夫とは?【文章の書き方入門講座】


こんにちは。
戦略マスター頼朝です。

今回も前回に引き続き、Step4.執筆のやり方(中編)についてご説明していきます。

前回は、題材メモをどうやって膨らませて文を書くのかについて、そのやり方をご説明しました。


今回は、読みやすい一文を書くためには何に気をつければ良いのかについてご説明していきます。

それでは行ってみましょう!

戦略マスター頼朝@文章術でブランディング/リーダーシップ論(@6VQGPJH3FHYoZn6)さん / X (twitter.com)



2.読みやすい文を書くための工夫とは?

2-1.短文主義で書く


読み手にとって文の内容が分かりにくくなることの大きな原因の1つに、一文が長すぎることがあります

例えば、一文の中に理由を2つも3つも盛り込んでしまった結果できてしまう「~ため、~ため文」や「~から、~から文」のような文です。

せっかく文章を書いて自分のメッセージを人に伝えようとするのですから、読み手にとって出来るだけ読みやすく、かつ、分かりやすい文章にしたいものですよね。

そのためには、一文の中に伝えたいことをあれもこれもと詰め込みすぎないことがポイントになります。

つまり、1つの文の中には伝えたいことを1つだけ盛り込むようにしましょう。

これを文章術の世界では「ワンセンテンス・ワンミーニング (ワンメッセージ)の原則」と呼んでいます。

下書き段階で文を書いていて、一文が長くなってしまったら、意味のかたまりごとに文を区切って、2つ以上の別々の文に分けるようにしましょう。

そうすることで、一文がすっきりして、読者にとって意味が分かりやすいものになります。

具体的には、一つの文の長さは45〜65文字以内の文字数に収めるのがお勧めです。

もちろん、対象読者や文章の目的・種類によって、一つの文の適切な文字数は変わってきます。

例えば、学術論文の世界では、一文が短いに越したことはないものの、一つの文の長さは65〜110文字程度に収めるのが目安とされています。

他方、昨今の流行を見ますと、エッセイや物語文、ビジネス文章などでは、もうちょっと少ない文字数が求められているように思います。

これは、限られた時間内で素早く情報を吸収したい人が増えているため、一文ができるだけ短い方が歓迎される傾向にあるからでしょう。

大切なのは、対象読者の性質や文章の目的・種類に応じて、そのジャンルで求められている適切な一文の長さを把握し、できるだけ短くなるように書くことです。

せっかく書いた文章も、分かりにくくて、読みにくいと読者に思われてしまっては、最後まで読んでもらえなくなってしまいます。

したがって、読者にとっての分かりやすさ、読みやすさを追求するために、まずは一文を短く書くことを心がけていきましょう。

適切な長さでいったん一文を終わらせ、接続語を使って文どうしの意味のつながりを明確にしていくことで、読者に伝わりやすい文章になっていきます。

短文主義(+適切な接続語)が一文が長くなりすぎないための書き方のコツです。

以下で具体的に見ていきましょう。


2-1-1.短文主義①-文章の中で伝えたいポイントを絞り込む-


読者にとって「結局何が言いたいのかがよく分からない」文章になってしまうのは、あれもこれもと伝えたいメッセージを盛り込みすぎていることが原因です。

これは、一文の中に複数の内容を盛り込みすぎたり、あるいは、文章全体の中に盛り込みすぎたりと、文章全体のあちこちで起こる問題です。

一番伝えたい内容を木の幹としますと、その他に余計な枝葉がたくさんある場合には、読者にとって内容がぼんやりした印象になってしまいます

そのため、「結局何が言いたいのかがよく分からない」ことになってしまうのです。

文章全体の中に伝えたい内容を複数盛り込みすぎる問題については、Step3の「構成」段階で解決することができます。


他方、一文の中に内容を複数盛り込みすぎる問題については、いくつかのポイントを理解して、それを念頭に置きながら書くようにすれば解決できます

その解決法の1つが「伝えたい内容を絞り込む」ことです。

一文の中に伝えたい内容を欲張って盛り込みすぎるのではなく、別々の文に分けて伝えるようにすることで、一文の内容がかなりすっきりします。

したがって、短文主義で一文を書くためには、最も伝えたいメッセージは何なのかを常に考えながら、内容を絞り込むようにして書くようにしましょう。

コツは「明日地球が滅びるとしたら、読者に何を一番伝え残しておきたいのか?」をイメージしながら、書くべき内容を絞り込むことです。

明日地球が滅びるとしたら、余計なことまで伝えている余裕はないはずですよね。笑

自然に一番伝えたい内容だけに絞って文を書くことになるはずです。


2-1-2.短文主義②-不要な言葉は断捨離する-


他に、一文が長くなってしまう原因として、修飾語を使いすぎていたり、同じ意味を持つ言葉を重ねて使っていたりすることがあります。

「修飾語」とは、「飾る」という文字が使われているように、人や物事の様子を具体的に説明するために、修飾されるものを飾る言葉です。

適切に修飾語を使えば、読者に人や物事の様子を具体的にイメージさせることができます。

ただし、具体的に説明したいために、あるいは、強調したいために修飾語を使いすぎてしまいますと、かえって伝えたい内容をぼやけさせてしまうデメリットがあります

それだけでなく、「本当は伝えたい中身がないから、修飾語をたくさん使うことでごまかしているのだな」と、読者に勘繰られてしまうことにもなります。

したがって、短文主義を実現するためには、修飾語を使いすぎないように注意しましょう。

余計な修飾語は潔く断捨離した方が、読者にとって読みやすい文になります。

また、本当に伝えたい内容に焦点が当たるようになり、メッセージが明確化しやすくなります。


他方、一文が長くなってしまう別の原因として、同じ意味を持つ言葉を重ねて使ってしまっていることもあります。

特に必要性がないにもかかわらず、同じ意味の言葉を重ねて使いますと、読者にとってくどい印象を与えてしまうことになり、マイナスです。

したがって、一文の中に同じ意味の言葉を重ねて使うようなことはせずに、潔く断捨離するか、別の言葉で言い換えるようにしましょう。

特に、同じ意味を持つ別の言葉でどうしても言い換えて伝える必要がある場合には、類義語辞典を参照するのが便利です。

同じ意味を伝えるにも様々な言葉があるのを知ることで、表現の幅が広がりますし、文字数調整にも役に立ちます。



2-2.説明不足な箇所には適切な言葉を補う


読者から見て読みにくい文になってしまう原因の1つに、言葉足らずなところがあるため、説明の内容がよく理解できないことがあります。

伝えたい内容を自分だけが理解していても、それでは読者には伝わりません。

言葉足らずな文では読者が置いてきぼりになってしまい、独り善がりの文という印象になってしまいます

したがって、誰に読んでもらっても自分が伝えたい内容を理解してもらえるように、読者が理解するために必要な情報は言葉を補って書いておくようにしましょう。

短文主義に気を配りながらも、説明不足にならないように言葉を補うことは、読者への大切な配慮といえます。

読み手に配慮した優しい文章というのは、必ず読者の心に伝わるものです。


2-3.主語と述語をきちんと対応させる


1つの文の意味が読み手に伝わりにくくなる原因としては、主語と述語がきちんと対応していないことも挙げられます。

(例1)
主語と述語が意味の上でつながっていないパターン

❌ 私の父の習慣は、週に1度カレーライスを作っている。

→「習慣」が「作っている」わけではありませんね。

⭕️   私の父の習慣は、週に1度カレーライスを作ることだ

(例2)
主語と述語が同じ内容の繰り返しになってしまっているパターン

❌ 次の停車駅は、海浜幕張駅に停まります。

→「停車駅」とは停まる駅のことですので、「停まります」という述語はおかしいです。
同じ意味を繰り返し語ってしまっています。

⭕️ 次の停車駅は海浜幕張駅です

(例3)
主語と述語のワンセットの意味のかたまりが成立していないパターン

❌ 私は、学校内の衛生環境悪化対策のために、各クラスが利害関係を超えた話し合いをすべきだ。

→「話し合いをすべきだ」という述語に対応する主語は「各クラスが」です。
文冒頭の「私は」という主語に対応する述語がありません。

⭕️ 私は、学校内の衛生環境悪化対策のために、各クラスが利害関係を超えた話し合いをすべきだと思う

→主語「私は」に対応する述語「思う」が揃いました。

主語と述語がきちんと対応していないと、読み手にとっては「何・誰(主語)」について述べられている文なのか、あるいは「どうする・どうした(述語)」のかが分からなくなってしまいます

そこで、主語と述語を一文の中できちんと対応させるようにしていきましょう。

そのためには、次の3つを念頭に置いて文を書くと良いでしょう。

○ 一文を長くしすぎないこと

→ 一文を長くしすぎると、主語と述語がそれぞれ何だったかを忘れてしまいますから。
短文主義でいく方が良い理由はここにもあります。


○主語とそれに対応する述語の距離を離しすぎないこと

→主語と述語の距離が離れすぎていると、書き手にとってはもちろんのこと、読み手にとっても、どの主語と述語が対応しているのかが理解しにくくなってしまいます。


○ 1つの文の中にあまり多くの主語と述語のペアを盛り込みすぎないこと

→ 1つの文の中に複数の主語と述語のペアを盛り込む複文や重文構造をとり過ぎると、どの主語と述語がペアなのかが理解しにくくなってしまいます。

なお、日本語の文章の特徴として、主語が省略されることが多いです。

日本には相手の気持ちを察することを重視する文化があります。

そのため、「言わなくても分かることは、くどいので、あえて言わない」姿勢が良いとされ、意味上明らかである場合には主語が省略されることが普通です。

そのため、意味上明らかである場合には、例外的に主語を省略することで文を読みやすくしましょう。


2-4.修飾語の係り受けに注意する


修飾語と飾られる言葉との関係を「係り受け」と言います。

修飾語がどの言葉を飾っているのかが分かりにくいと、読み手にとって意味が通じない文になってしまいます

つまり、修飾語の係り受けがはっきりしないことで、文の意味について誤解を生じやすくなります。

したがって、文の中で修飾語を使う場合には、この係り受けに注意することで、読みやすい文にしていきましょう

修飾語の係り受けをはっきりさせるためのポイントは、修飾語を被修飾語(=飾られる言葉)の近くに置くことです。

また、1つの言葉(被修飾語)を飾るのにあまりたくさんの修飾語を使わないようにすることです。

(例1)
❌ 1週間前に同僚から借りた腕時計を紛失したことに気づいた

→紛失したことに気づいたのが1週間前であることを伝えたい場合には、修飾語と被修飾語(=飾られる言葉)が離れすぎていて、意味が分かりにくくなってしまっています。


⭕️    同僚から借りた腕時計を紛失したことに1週間前に気づいた


2-5.接続語を適切に使う


「接続語」とは、前後の文と文、文章と文章とが意味が自然につながるようにするためのつなぎ言葉です。

例えば、前の文が原因となり、後の文がその当然の結果となるような意味の流れを作るときには「したがって、だから」といった順接の接続語を使うと良いでしょう。

(例1)
今日は雨が降った。
だから、花火大会は中止になった。


逆に、前の文の内容からは通常は逆の結果となるような意味の流れを作るときには「だが、しかし、ところが」といった逆接の接続語を使います。

(例2)
今日は雨が降った。
しかし、花火大会は順延にならず、開催された。

接続語を適切に使うことによって、前後の文と文、文章と文章の意味のつながりが読者に伝わりやすくなります

使われている接続語の種類を見ることで、読者は次の文の意味内容を予測しながら読むことができるからです。


ただし、読みやすい文にするためには、接続語は使いすぎないことがポイントです。

むしろ、前後の文の内容自体から意味のつながりを理解できるため、接続語を必要としない場合がよくあります。

そのため、余計な接続語を取り去ってみると、文章がカチッと締まることが多いのです。

したがって、接続語がないと前後の意味のつながりがよく分からなくなる場合にだけ、控えめに使うのが良いでしょう。


2-6.適切な位置に読点「、」を打とう


文の中の意味の切れ目となる所に打つ点(、)のことを「読点」と言います。

音読する時に読点の所でいったん息継ぎをすることから、「息継ぎの点」とも言われています。

読点を文の中のどこに打つかによって、意味の伝わり方が全く違ってきてしまいますので、注意が必要です。

(例1)
❌ きれいに磨かれた木製のテーブルの上に置かれたコップ

→これでは、どの修飾語がどの言葉を飾っているのかがよく分からないと受け取められてしまう可能性があります。


⭕️    木製のテーブルの上に置かれた、きれいに磨かれたコップ

→「きれいに磨かれた」状態であるのはコップであることを伝えたいときには、言葉の順序を入れ替えて修飾語と被修飾語を近づけた上で、「上に置かれた」の後に読点「、」を打つと良いでしょう。

そもそも読点は、文の中の意味のかたまり(切れ目)を明確にする役割を持っています。

つまり、適切な位置に読点を打つことで、文の内容を分かりやすくして、意味を正確に伝えるのです。


ただ、読点を打つ位置についての厳密なルールは存在しません

慣習上の緩やかなルールに従っていることが多いです。

そこで、読点の慣習上のルールのうち基本的なものをいくつかご紹介します。

○長い主語の「は」や「が」の後に打つ

○文頭の接続語の後に打つ

○修飾語の係り受けが明確になるところに打つ

○複文や重文といった一文の中に主語と述語のペアが複数あるときは、1つのペアの後に打つ

○読点が少なすぎても多すぎても読みにくくなるので、一文の中に1つから3つくらいにする


読点を打つ位置についてまとめますと、その役割は文の意味のかたまりを明確にして読みやすくすることにありますので、意味のまとまりごとに読点を打つようにしましょう。

そして、適切な位置に読点を打てているかどうかのチェック手段として、音読をしてみると良いでしょう。

音読でスムーズに一文を読み通すことができなかった場合には、読点を打つ場所を間違えている可能性があります。


以上見てきましたように、厳密なルールが存在しないことから、読点をどこに打つかは難しい面があります。

究極的にはその人のスタイル(文体)によると言えるでしょう。

ただ、読みやすい文にするという目的は変わりありませんから、読者が文の意味を理解しやすい位置に読点を打つように努力していきましょう。


2-7.適度に改行や段落分けをする


文章のビジュアル的な話になりますが、文字がびっしりと書きこまれた文章は見た目からして読みにくいですよね。

そこで、話の内容(=話題や場面)が変わる時など、大きな意味のかたまりを作りたいときには、適度に改行や段落分けをすることで、読みやすい見た目に整えましょう

ちなみに、「改行」とは、文字通り、行を改めることです。
作文の原稿用紙では、次の行の冒頭から一文字下げて書き始める約束になっています。


また、「段落」とは、話題や考えの内容が共通している文が集まったひとかたまりのことです。

例えば、

・登場人物が変わる時

・自国の歴史から他国の歴史に広げる時(場所が変わる時)

・朝の話題から夕方の話題に変わる時(時間が変わる時)

・家族で一緒に食べる朝食のシーンから学校の授業に場面を転換する時(場所・時間がともに変わる時)

・話の内容を一般的な話題から特殊な話題に深める時(話題の深さが変わる時)


などには、意味のかたまりの内容が変わります。

つまり、新しい段落を作って、新たな話題について書いていく必要があるのです。

そこで、意味のかたまりの内容が変わる時には改行や段落分けをすることによって、読者に意味が伝わりやすくしましょう。

適切な改行や段落分けによって、文章に自然な流れを作り出すことができ、読者にとって読みやすい文になります。

つまり、改行や段落分けによって見た目を整えることで、文章の流れが心地良いリズムに変わり、読者も自然に引き込まれて読んでくれるのです。

なお、改行の1つのテクニックとして、強調したい一文だけを書いたらすぐに改行して、その一文だけを目立たせるやり方もあります。


2-8.文末表現に気を使う


1つの文の終わりの部分の表現方法を「文末表現」と言います。

文末表現において気をつけるべきことは、主に2つです。

①「ですます調」「である調」「だ調」のどれかに統一すること

②同じ文末表現を繰り返さないこと

以下で具体的に見ていきましょう。


2-8-1.①文末表現を統一させる


どの文末表現のスタイルを取るかについては、対象読者や文章の目的・種類、与えられたテーマなどによります

一般的には、「ですます調」は丁寧で親しみやすいイメージを与えられるメリットがあります。

しかし、幼くて間延びした印象をもたらすのがデメリットです。


他方、「である調」は学術論文で使われることが多く、かしこまった正式な印象を与えられるメリットがあります。

ただし、多くの一般の方にはちょっと偉そうな印象を与えてしまうのがデメリットです。


最後の「だ調」は両者の中間的なポジションといった感じで、かっちり締まっていて、やや固い印象がするものの、偉そうになりすぎないメリットがあります。


いずれにせよ、文末表現は統一感が大事ですので、2つ以上のスタイルを混ぜずに使うようにしましょう。


2-8-2.②同じ文末表現を使わない


「○○です。△△です。◻︎◻︎です。」というように同じ文末表現が続きますと、文章全体が単調でつまらなくなってしまいます

文末表現のバリエーションが少なすぎて、幼稚な印象を与えてしまうことにもなります。

したがって、同じ文末表現が連続してしまわないように、バリエーションをつけるようにしましょう。

好きな作家の文章を読んだり、国語辞典や類義語辞典をまめに引くなどして、様々な文末表現をコツコツと学んでいくのがお勧めです。





(後編に続く)


最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

今回は、読者に理解してもらいやすくするための執筆のルールをご紹介してみました。

入門編ですのでどれも基本的なものばかりですが、少し煩わしく感じた方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、以上の執筆のルールは、人を縛りつけるためのものではなく、自分が伝えたいメッセージを読み手に少しでも理解してもらいやすくするための愛のあるものです。

つまり、執筆のルールを1つずつ身につけながら書いていくことで、読者に配慮ある優しい文を書くことができるようになります。

その結果、次第に多くの人に読んでもらうことができ、しかも、共感してもらえるようになっていきます。

したがって、煩わしいと思わずに、伝えたい読者に対する愛情の表れだと思って、執筆のルールを少しずつ身につけていきましょう


この記事が「文章を書きたいけど、どうやって書けば良いのかが分からない」と悩む方のお役に立つことができていたら幸いです。

これからも、文章を書くのが好きな人を少しでも増やしていけたらと思っています。

この試みに共感して下さる方は応援して頂けますととてもありがたいです。

それでは、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。


戦略マスター頼朝







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?