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<第8回>Step3-2.書くための題材が集まったら、文章全体の構成(=組み立て)を考えよう〜②文章の構成にはどのような「型」があるのか?【文章の書き方入門講座】


こんにちは。
戦略マスター頼朝です。

文章の書き方入門講座第8回は、前回に続いて、文章構成(=組み立て)のやり方についてご説明していきます。

初心者の方がつまずきやすいのが、書きたいテーマと題材が決まったにもかかわらず、そこから先の「文章の構成」について悩んでしまうことです。

そんな悩みを解消してくれる便利な方法が、構成の「型」を覚えて使いこなすことです。

と言っても、そんなに難しい話ではありません。

文章に限らず、スポーツでも芸事でもそうですが、最初に基本的な型を覚えて使いこなせるようになると上達が早いですよね。

したがって、どんな題材をどのような順番で書いていけば伝わりやすい文章になるのかについて悩んでしまう人は、文章の型を一度学んでみることをお勧めします

伝わりやすい文章を書くための練習を始める時も、最初のうちは基本的な型を覚えて、使いこなせるようにすると良いでしょう。

そうすることで文章がかなり書きやすくなります。

それでは、文章の構成にはどのような型があるのでしょうか?

細かく言えば多種多様な型がありますが、全てをご紹介すると初心者の方はかえって混乱してしまいがちですので、基本的なものに絞ってお伝えしていきます。

それでは、行ってみましょう!

戦略マスター頼朝@文章術でブランディング/リーダーシップ論(@6VQGPJH3FHYoZn6)さん / X (twitter.com)


1.自分の考えを伝えるために必要な基本的要素とは?


人に自分の考えを伝えるために文章に盛り込むべき基本的な要素は、4つあります

ここでいう「要素」とは部品みたいなものです。

注意すべきは、基本的な要素というだけあって、1つでも欠けると自分の考えが読み手に伝わりにくくなってしまうことです。

それでは、その4つの基本的な要素とはどのようなものなのでしょうか?

それは、テーマ、題材、結論、理由・根拠の4つです。

◯テーマ(話題)

◯題材(出来事や人との会話、本の内容などの事実)

◯結論(一番伝えたい内容、自分なりの解釈)

◯理由(結論を導き出すもの)・根拠(データや具体例)

まず、どんな話題について説明するのかを明らかにしなければ、読み手は混乱してしまいます。

そのため、テーマ(話題)は文章を書くのに欠かせない要素になります。

そして、テーマに関する題材に触れることで自分の心が動き、その心の動きによって生まれてきた気持ちや考え(=テーマや題材に対する自分なりの解釈)が一番伝えたい内容になります。

それこそが結論です。

さらには、なぜそのような結論が生まれてきたのかについて、理由や根拠があるはずです。

それも合わせて説明しなければ、読み手にとっていまいちよく分からない内容になってしまいます。

したがって、選んだテーマ(話題)について自分が一番伝えたい内容(結論)を人に理解してもらうためには、テーマ→題材→結論→理由・根拠の4つこそが基本的要素になるのです。


2.自分の考えを伝えすい最も基本的な型とは?

2-1.文章構成の具体的な表現である「目次」を作るにはどのような型をベースにすると良いのか?


前回の記事で、文章の構成を具体的に表現するものは「目次(アウトライン)」だとご説明しました。

https://note.com/ronbun_yoritomo/n/n961781b6d582


「目次」は、料理で言えばお品書きであり、山登りや旅行で言えば地図であり、建物で言えば設計図のようなものです。

文章の構成を作ることは、「目次」作りをすることと同じだ言って良いでしょう。

自分が伝えたいことを分かりやすく読み手に伝えるには、どのような題材をどのような順序で並べれば良いのかといった文章の流れを「目次」の形で表現する必要があります。

読みやすい文章の構成とは、目次を見れば何をどういう順序で伝えたいのかが具体的にイメージできるもののことです。

そして、読みやすい文章の構成と言えるような目次には、伝統的な型があります

それは、「はじめ」「中」「終わり」の三部構成です。

高校生や大学生、社会人などが書く小論文では、「序論」「本論」「結論」とも言います。

この三部構成は特に、あるテーマについて自分が伝えたい内容(結論)を理由・根拠とともに説明するための文章である「説明文」や「意見文」、「小論文」といった文章を書くための最も基本的な型だと言えます。

小学生の作文練習も、まずはこの三部構成から習います。

三部構成を初心者の方にお勧めするのは、用事があって相手の家に訪問して用件を伝える時の会話の流れと同じであり、メッセージの伝え方が自然にイメージしやすいからです。

つまり、「はじめ」では、出会いの挨拶をしてから、次の「中」へと自然な流れで入っていくための文章を書きます

そして、「中」では、一番伝えたい用件の内容を書きます

最後に、「終わり」では、別れの挨拶をするための文章を書いて、文章全体をまとめます

このように、三部構成は、「出会いの挨拶をする→中心的な用件を伝える→別れの挨拶をする」といった、人に用件を伝えるための自然な会話の流れに沿っていることから、一番書きやすい文章の型だと言えるでしょう。

したがって、初心者の方は、まずはこの三部構成を文章構成の基本的な型として活用できるようにしていきましょう



2-2.「はじめ」(序論)には何を書くか?


まず、「はじめ」は、文章を書き始めるための書き出しにあたる部分になります。
「始まり」「序論」とも言われます。

「はじめ」で書く文章の具体的な役割は、出会いの挨拶をすることと、文章全体の話題を示すことです。

文章全体の話題を示すこととは、テーマを設定することと言い換えても良いでしょう。

特に、社会問題などの意見が分かれるものをテーマにする時には、「はじめ」の役割は「問題提起」とも言われます。

つまり、出会いの挨拶をし、かつ、話題(テーマ)を示して、次の「中」(本文)へと自然に誘う役割を果たすのが「はじめ」になります

出会ってからすぐに、何の挨拶もなしにいきなり自分が伝えたいことを話し始めたのでは、相手は困惑してしまいます。

やはり、まずは出会いの挨拶から始めるのがスムーズなコミュニケーションのためには必要でしょう。

また、話題が何なのかが最初に示されなければ、読み手にとっては最初からよく分からない文章になってしまいますからね。

したがって、「はじめ」の部分では、まずは出会いの挨拶を書き、そして、これから「中」を書き始めるための入り口になるもの(話題)を書くようにしましょう。

こうすることで、スムーズなコミュニケーションの始まりになります。

なお、挨拶の後は、何について伝えたいか(話題)を示して、「中」(本文)の内容を伝えてみようと思ったきっかけや理由について書きます。

読み手に「面白そうだな」「読んでみようかな」と思ってもらえるような、読み手の興味をなるべく引けるようなきっかけや理由を書けるといいですね。


2-3.「中」(本論)には何を書くか?


次に、文章全体の主役である「中」(本論)では、「はじめ」の部分で示した話題について一番伝えたいことを深掘りして書いていきます

ちなみに、「中」は、真ん中、本文、本論、主文とも言われます。

この「中」(本論)において、自分が一番伝えたい内容をどれだけ分かりやすく説明できるかによって、読み手に対する説得力が変わってきます

→ここの詳しい解説は、本記事(第8回)の『3.「中」(本論)を説得的に書くための基本的な型とは?』で詳しく説明しています。

したがって、「中」(本論)では、頭をフル回転させて説得力がある文章を書くようにしましょう。

特に、「はじめ」で示した話題について、読み手と対話するかのような深い議論をするように心がけると良いでしょう。


2-4.「終わり」(結論)には何を書くか?


三部構成の最後の部分である「終わり」は、結論、結びとも言われます。

「終わり」の部分の役割は、文章全体を通して伝えたかった内容を短くまとめることと、別れの挨拶をすることです。

いわば、「中」(本論)で書いた内容をまとまり良く終わらせるための結びの役割をする部分と言って良いでしょう。

一番伝えたい内容をもう一度別の言葉で短く伝え直すことで、より一層読み手の記憶に残りやすくなります。

また、伝えたい用件だけを言って何の挨拶もなしに立ち去ってしまうのは、相手に対して失礼でしょう。
相手もあまりの唐突さにビックリしてしてしまいます。

したがって、「終わり」の部分では、伝えたかった考えや気持ちをもう一度手短かに伝え直すとともに、別れの挨拶になるような内容を書いて締めくくりとしましょう

なお、くどくなってしまう場合には、伝えたかった内容を手短かに伝え直すことは省略してもいいです。

別れの挨拶を書くだけでも、立派な締めくくりになります。


3.「中」(本論)を説得的に書くための基本的な型とは?

3-1.最も短い「論証の型」とは?


文章全体に説得力を持たせるには、「中」(本論)の内容をしっかり考えて書く必要
があります。

ただ、「しっかり考えて書くといっても、どうやったらいいのかよく分からない」というお声もよく聞きます。

そこで、「中」(本論)において、自分の考えを説得力を持って相手に伝えるための便利な型をご紹介します。

それは「論証の型」です。

「論証する」とは、ある問題に対して、自分の結論を理由や根拠とともに分かりやすく説明することによって相手を説得することです。

前回の記事では、文章の構成を具体的に表現したものが「目次(アウトライン)」であり、文章初心者の段階では疑問文の形で目次を書いていくことをお勧めしました。

テーマについて自ら問いを立てて、その問いに対する自分なりの答え(結論)をその理由や根拠とともに説明していく構成の方が、書くべき内容を具体的にイメージしやすくなるから
です。


いわば、目次はテーマについて自分が思い浮かべた「問い」の集まりであり、この問いについて自分の考えを分かりやすく説明していくことが「論証する」ことなのです。

「論証する」ための文章を書くことができるようになりますと、社会生活上の様々なコミュニケーションをする場面で大いに役に立ちます。

自分の意見を分かりやすく、かつ、説得的に相手に伝えるための基本的な型が身につくからです。

それでは、「論証の型」とはどのようなものなのでしょうか?

具体的に見ていきましょう。

初心者の方向けの説明ですので、まずは論証の最も短い型をご紹介します。

それは<テーマ+題材→理由・根拠→結論>のことです。

または、結論と理由・根拠の順番を入れ替えて、

<テーマ+題材→結論→理由・根拠>

の順序で書いてもいいです。

「なんだ、そんなことか」「そんなの当たり前じゃん」と思われた方も多いのではないかと思います。

しかし、話す場合にも文章を書く場合にも、この最も短い型を明確に意識して伝えられるかどうかで、メッセージの説得力が変わってきます

メッセージの内容が相手に伝わらない人ほど、実はこの型の大切さを忘れてしまっているからです。

この型は、前述しました「文章に盛り込むべき4つの基本的な要素」が全て詰まっており、しかも、それで完結していますね

そのため、まずはこの型を身につけて、使いこなせるようにしましょう。

特に大切なのは、結論と理由・根拠は必ずセットで相手に伝えるようにすることです。

結論がなければ、結局何を言いたいのかが相手には分かりません。

また、結論が書いてあるだけで、その理由や根拠が書かれていなければ、「なぜそのような結論が出てきたのか」が分からなくて、読み手はモヤモヤしてしまうからです。


この最も短い論証の型は、三部構成の中のどこの部分でも使います

「はじめ」「中」「終わり」のどの部分であっても、自分が伝えたい考えに理由や根拠をつけなければ、読み手にとって分かりづらいだろうと思う部分では使う必要があるからです。

ただ、大論文以外では、「はじめ」「終わり」の部分で実際に使うことはとても少なく、最も多いのは「中」の部分でしょう。


なお、結論を先に書くのか、それとも、理由や根拠を述べた後に結論を書くのかについては、理由や根拠の長さによります。

一般的には、理由や根拠が短い場合には、結論を後に書くのが良いでしょう。

(例1)
ノートに書きながら勉強するのは効率的だろうか?

教科書を読んでいて気になったところをいちいちノートに書くことを繰り返していると、思考が中断してしまいがちだ。

したがって、ノートに書きながら勉強するのは効率が悪いと思う。

逆に、理由や根拠の説明が長かったり、複数ある場合には、結論を先に述べる方が良いでしょう。

その方が読者にとって読みやすいからです。

(例2)
ノートに書きながら勉強するのは効率的だろうか?

ノートに書きながら勉強するのは効率が悪いと思う。

教科書を読んでいて気になったところをいちいちノートに書くことを繰り返していると、思考が中断しがちだからだ。

また、教科書を1周読んでからの方が本当に大事な部分だけをメモすることができて効率的だ。

さらには、ノートに大事なところをメモするぐらいだったら、教科書の中に学びや気づきを直接書き込んでいった方が情報を一元化することができて便利だからだ。

特に、理由や根拠が長い場合(例えば、理由や根拠が複数ある場合)には、まずは先に結論を知った上で、その後に理由や根拠を詳しく知りたい読者心理にかないます


このように、最も短い論証の型は、他人の考えの紹介はせずに、テーマに対する自分の考えのみを手短かに分かりやすく伝えるのに役に立ちます


ちなみに、説得的な文章を書くための便利な型として有名な「PREP法」も、最も短い論証の型を使ったものです。

PREP法」とは、

①結論(point)

②理由(reason)

③具体例(example)

④まとめとしての結論(point)

という流れで文章を書いていく型のことです。

最も短い文章の型の中の「理由・根拠(データや具体例)」がそれぞれ分離・独立して、理由→具体例になっているだけです。

以上のことから、まずは論証の最も短い型を身につけておくことをお勧めします。

文章を書くことだけにとどまらず、様々なコミュニケーションの場面できっと役に立つことでしょう。


3-2. 最もフォーマルな「論証の型」とは?


最も短い論証の型を身につけたら、そこからさらに発展させて、フルバージョンの論証の型を身につけていきましょう

より客観的で、視野の広い議論を展開することができるようになるからです。

最も短い論証の型が略式の服装だとしたら、フルバージョンの論証の型は最も正式な場で着用するようなフォーマルな服装になります。

それでは、最もフォーマルな論証の型とはどのようなものでしょうか?

ポイントは、自分の考えだけでなく、自分とは反対の意見を持つ人の考えもきちんと紹介することでバランスをとりながら、自分の結論を説得的に伝えることです。


そのため、最もフォーマルな論証の型では、

①問題提起(疑問文の形でテーマ(話題)を設定)

②反対意見の紹介

③反対意見に対する批判

④自分の考えの理由(必要性と許容性)や根拠

⑤自分の考えの結論

という流れで文章を組み立てます。

(例3)
ノートに書きながら勉強するのは効率的だろうか?
① 問題提起

確かに、書くという行為は人間の記憶に最も定着しやすいものであるため、ノートに書きながら勉強するのが効率的であるようにも思える。
②反対意見の紹介

しかし、ノートに書くことは非常に時間と手間がかかるため、1冊の教科書を勉強し終えるのにどれだけの期間がかかるか分からず、しかも、非効率的な面の方が大きい。
③反対意見に対する批判

学校のテストにせよ、受験にせよ、勉強できる期間は限られているので、効率的に勉強していく必要がある。
そのため、ノートに書きながら勉強するよりも、もっと効率的な勉強方法で取り組んでいった方が良い。
④必要性からの理由

そもそも、勉強は学ぶべき内容を理解して頭に定着させることが目的であるから、その目的を達成できるのであれば、ノートに書くことにこだわらなくても良い。
そう考えると、学びや気づきを教科書の中に直接書き込んでいき、その書き込みのある教科書を繰り返し読んでいく勉強方法でも良いはずだ。
④許容性からの理由

したがって、ノートに書きながら勉強するのは効率的ではないと思う。
⑤自分の考えの結論

このように、自分の考えだけを一方的に述べるのではなく、反対意見を紹介することで、バランス感覚を示すことができます

いわば、反対意見と自分の考えとの間での悩みを見せることで、一面的な物の見方をする人ではないという安心感を読み手に与えることができるのです。

また、反対意見と自分の考えとを比べながら議論を展開することで、より広い視野での深みのある文章を書くことができます

そのため、三部構成の主役である「中」(本論)では、この最もフォーマルな論証の型を使って文章を書くと、説得力のある内容にすることができるでしょう。

取材して集めてきた題材が豊富であれば、1500字から2000文字程度の小論文は、三部構成を使わずとも、この最もフォーマルな論証の型だけを使って書き上げることもできます。

したがって、自分の考えを説得力を持って相手に示したい時には、最もフォーマルな論証の型を使って「中」(本論)を書いていくのがお勧めです。

長い文章では、これらの論証の型がいくつか集まって文章全体を形作っていきます。

ミニユニットをいくつか積み重ねて文章全体が出来上がっていくイメージです。


3-3.「起承転結」の四部構成はどのような時に使える型なのか?


なお、小中学校時代に起承転結という四部構成の型を使って文章を書くことを習った人は多いでしょう。

それも決して間違いではありません。

むしろ、起承転結は伝統的な型としてよく使われており、重要です。

4コマ漫画などは、この型を使って描かれていることで有名です。

話のオチ(結末)やクライマックスを最後に取っておいた方が面白いタイプの文章を書く場合に最適の型だといえます。

そのため、起承転結は、物語文やエッセイなどのストーリー性がある文章を書く時に使われる型になります。

具体的には、「起」は物語の登場人物の紹介や場面の設定といった書き出しをする部分です。
多くは、主人公のそれまでの日常生活が描かれます

次の「承」は、「起」をうけて、主人公を困らせるような何かしらの事件が起こります

そして、「転」では、事件を乗り越えるプロセスとしての困難や葛藤を描きます
文章全体として最も盛り上がる部分であり、筆者が一番書きたいことが描かれる部分です。

最後の「結」においては、事件の解決(結末)を書き、その後の新たな日常生活が描かれることになります。
特にエッセイでは、それらしく物語を締めくくるためのまとめの一言で終わることが多い部分です。

例えば、いじめられっ子が自分を鍛えてヒーローになるといったタイプの物語文では、起承転結の型を使って次のように書かれることが多いです。

まずは「起」でいじめられっ子の日常を書きます。

次に「承」では、いじめられているところを好きな女の子に見られて軽蔑されてしまうといった事件が起こります。

ところが「転」において、自分を鍛えてくれる空手の師匠に出会い、修行の日々が始まります。
そして、空手の試合といったようないじめっ子との対決の場面を迎え、激しい戦いの末に勝利するといったクライマックスを描きます。

最後の「結」では、主人公の努力する姿勢を見直した好きな女の子と結ばれる結末を描いて、ハッピーエンドで物語を終わらせます。


このように、起承転結は、読者を最後までハラハラドキドキさせて楽しませるような物語性のある文章を書くための型として有効です。

ただ、架空の登場人物や状況を設定して、自分の代わりである主人公に自分の考えを語らせるといった高度なテクニックが必要ですので、文章初心者の段階では起承転結の型を使うのはあまりお勧めしません。

これから文章の書き方を身につけていこうという段階では、最も短い論証の型やフォーマルな論証の型、あるいは三部構成の型を使いこなせるようにしていきましょう

最初のうちは、自分の考えを理由や根拠とともにきちんと読み手に伝えられるように練習する方が後から応用が利きやすいからです。

起承転結の型は、基本が身についた後に物語文やエッセイなどを書きたくなった時から学び始めれば充分だと思います。


4.文章の型に慣れてきたら


文章の型に基づいて書くことに慣れてきたら、型にはまりすぎずに、自分の型(スタイル)を見つけ出して、それで書いていくのも良いでしょう。

守破離という言葉があるように、最初は基本の型を忠実に守って練習を重ね、次第に自分の味を付け加えることで型を少しずつ破り、最終的にはその型を離れて、自分独自のスタイルを築き上げていくのです。

自分の型(スタイル)が出来上がってきますと、それが味になって、文章に独自性が生まれてきます

その自分独自の文章のスタイルを磨き続けますと、読み手の中には自分の文章のファンになってくれる人が1人、また1人と現れてくることでしょう。


5.文章の独自性は何で示すか?


最後に、文章の型についての注意点をお伝えして終わりたいと思います。

確かに、文章の型は文章全体の構成を考えるために便利なものです。

しかし、それはあくまで思考の枠組みであって、多くの人がその便利な枠組みを使うために、文章の型自体では文章の独自性を示すことはできません

文章の型は誰でも使える便利な収納ケースみたいなものであって、型それ自体には独自性はないのです。

他方で、自分自身が体験してきたことに代表されるように、取材して集めてきた題材は自分だけのものです。
つまり、独自性があるものといえます。

そもそも、全く同じ人生を歩んできた人はいないでしょう。

また、全く同じ環境や人間関係、そして、出来事を経験する人もいないでしょう。

さらには、同じ出来事を仮に経験したとしても(見たり、聞いたり、話したりしたとしても)、それに対する解釈は人それぞれ異なるはずです。

出来事に対する解釈は自分だけのものといえます。

したがって、文章の独自性は、文章の型ではなく、取材して集めてきた題材やそれに対する自分の解釈のユニークさでアピールしていくようにしましょう。



最後までお読みいただきまして、どうもありがとうございました。

「文章を書きたいけれど、文章全体の流れをどう作っていけばいいのか分からない」とお悩みの方のお役に立てたら幸いです。

偉大な文章の先人たちが生み出してくれた便利な「型」を活用して、どんどん文章を書いていきましょう。

せっかく文章を書きたいという素敵な気持ちが芽生えたのですから、書き方が分からなくて諦めてしまうのはもったいないからです。

そして、書き慣れてきたら、自分自身の型を生み出していくと、文章を書くのがより楽しくなると思います。

文章の独自性は取材して集めてきた題材とそれに対する解釈で打ち出すこととして、まずは文章を書きやすくするために「型」から練習を始めてみるのはいかがでしょうか

これからも、文章を書きたいけれど書き方に悩んでいる方のために、私の論文指導経験から得られた学びや気づきを少しでも共有していけたらと思います。

この試みに共感してくださる方が増えたら、とても嬉しいです。

コツコツと頑張って参りますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


戦略マスター頼朝


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