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28.解夏

ぬるい風が体にまとわりついて気持ち悪い。

にじむ汗もかわかない。

草木め。心地よさそうに青々としやがって。

この暑すぎる夏にときめけるには、私はまだ若すぎる。

日々溜まる鬱憤を晴らすかのように

食べ終わったアイスの棒をフェンスにカンカンとぶつけながら夜道を歩く。

今日は酔っ払ったなあ。

アルコール混じりのため息をつく私の横を、

お祭り帰りのお面をつけた少年が猛スピードで駆け抜けていった。


多分、あいつが夏の正体だ。



祭りの表の華やかな部分も好きだけど、

私は祭りの裏のヒソヒソ感が大好きなんだ。

あんまり共感してもらえないけど。


ご機嫌に鼻唄を唄う私。

頭上で上がる花火は街を見下ろす。

花火が弾けた音が、光の残滓が、

こんなにも切ないのはなんでだろうか。

ああ。

もうすこし、寄り道でもして帰ろっか。

ふざけた夏だなあ。

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