2013年9月正倉院正倉整備工事第4回現場公開の写真記録
正倉院正倉は校倉造の建造物として有名で、天平勝宝八年(756)頃に建てられたと考えられており、聖武天皇、光明皇后ゆかりの品をはじめとする多くの美術工芸品を納めていた。
建物は桁行九間、梁間三間、正面約33m、奥行約9.4m、床下約2.7m、総高約14m、寄棟造、瓦葺で北倉と南倉を校倉造、中倉を板倉造とする高床式の倉庫である。
その正倉院正倉は平成23年(2011)8月~平成26年(2014)10月にかけて屋根の葺き替えを主とする整備工事が行われ、その際計5回の現場公開が行われた。
最近古いPCの画像データを救出したところ平成25年(2013)年8月30日~9月1日に行われた第4回現場公開の写真が出て来たのでまとめておきたい。
●外観
施工は清水建設。
覆屋が造られ工事の足場である2階部から倉の外観及び中倉と北倉内部を、3階部から屋根を見学することが出来た。
●床下
高さ約2.7mの床下を正面に10本、奥行を4本の計40本で支える。
●倉
倉部分を間近で見学することが出来、また中倉と北倉の内部を見学することが出来た。
南倉の見上げ写真。校倉造の交差部が良く分かる。また軒の出、舟肘木と垂木の様子も見える。
南倉の入口の板扉。
南倉(校倉)と中倉(板倉)の繋ぎ目。
中倉の正面。
中倉の板扉と内部の様子。
中倉の内部と北倉との壁面。
中倉内部の見上げ。写真では分かりにくいが三層になっている。
中倉の入口部を内部から見上げ。枡と柱の補強が入っているのが分かる。
北倉入口部。
北倉内部。こちらも三層設けられている。また各所に補強材が見られる。
倉部を北端から見る。
北倉の校倉の交差部の見上げ。軒周りの構造が確認出来る。
●屋根
北東隅から葺き替え中の様子。
「東大寺正倉院」の文字が見える江戸時代の天保期(1831-1845)の瓦。
北倉の北東部軒周り。
北面の葺き替えの様子。
西面の葺き替えの様子。
色が違うのは再利用の瓦か。
軒丸瓦を葺いているところでした。
南西隅からの屋根の様子。南面は再利用の瓦が多い様子。
南面には「天平(奈良時代)」(中央キャプション)の瓦も使われています。
南東隅からの屋根の様子。
●瓦
軒丸瓦の時代による変遷。鎌倉・室町は巴紋。江戸時代の慶長期(1596-1615)になると東大寺の文字が入る。元禄期(1688-1704)は丸で囲まれた東大寺の文字、天保期(1831-1845)には東大寺正倉院の文字が入る。
大棟の鳥衾瓦。北(写真左)は大正十年(1921)の瓦を再利用し、南は大正二年(1913)のもの(写真右)を保存し、今回新調した瓦(写真中央)を使う。
南東隅二の鬼瓦(慶長期)は再利用。
南東隅一の鬼瓦(慶長期)も再利用。
南西隅二の鬼瓦(慶長期)も再利用。
南西隅一の鬼瓦(天保期)も再利用。
北西隅二の鬼瓦(慶長期)も再利用。
北西隅一の鬼瓦(慶長期)も再利用。
北東隅二の鬼瓦(明治時代)は保存し取り替え。
新しく造られた北東隅二の鬼瓦。
北東隅一の鬼瓦(慶長期)は再利用。
●展示
大棟の模型。
小屋組の模型。
●正倉院正倉整備工事に関連するニュース配信
●正倉院正倉整備工事に関するリンク
・宮内庁HP 正倉院正倉整備記録(修理工事報告書)
・宮内庁HP 正倉院正倉整備工事写真
・宮内庁HP 正倉院正倉整備工事現場公開に関するもの(配布されたパンフレット等)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?