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QuestReading[4] さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学

10年以上前の本ですが「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 」をついつい知りたくなりQuestReading。

書名:さおだけ屋はなぜ潰れないのか?身近な疑問からはじめる会計学
著者:山田真哉
出版社:光文社
出版年:2005年

売上を増やし、絶対的な費用を減らしているからさおだけ屋はつぶれない

知りたかったことは、とても「あたり前の話」だった。
さおだけ屋は、だいたいが金物屋の副業で、さおだけの販売を起点に、物干し台や家のリフォームなど関連購買を促し顧客単価をあげることができる。そして、あくまで副業なので、余計な維持費など費用が不要。
だから、継続性(ゴーニングコンサーン)があり、つぶれることがない。

この本で著者は、会計の数字センスとは、「見えないものを数値化すること」だと言う。

統計学やAIの専門書があふれ、データや情報に感度が高い現在では、本書の話はもの足りなさを感じる人も多いだろうが、「本質的には何を磨くべきか」を会計学の分野で提示したことが、ベストセラーとなったポイントだと感じた。

簿記や会計の教科書では、仕訳の仕方、決算の作り方が最初にあり、貸方・借方の関係、貸借対照表と損益計算書の仕組みなどが紹介され、なかなかハードルが高い。
確かに、それらのスキルやプロセスの実行力を磨くことも大事だが、この本で紹介されている本質的に磨くポイントは「数値化する」ことだ。

具体的には、次のような考え方が書かれている。
・『さおだけ屋がなぜ潰れないか』を数値化すると
   売上>費用 or 本業の利益+副業の利益>0
であれば、継続性があるということ
・『在庫は少ない方がよい』を数値化すると
   在庫のコスト=モノ+保管する場所+保管する人員
となり、モノ以上に場所や人員のコストがかかるということ
・『完売したのに怒られることがある』を数値化すると
   チャンスゲインの規模-チャンスロスの規模
がマイナス(チャンスロスが大きい)と、もっと売れただろうと怒られるということ

何かを身につけようと思ったとき磨くポイントが見当違いで、つまづくことはないだろうか。
統計学やAIのような、専門性の高い分野であればなおさらで、話題になっていることや細かい手順、プロセスを理解することがわかるために必要なことだと思ってしまう。
頭では、わかるべきことを目指して、組み立てていくことが大事ということが理解できていたとしても、ついつい見当違いしてしまう。

この本は、いろいろな迷い道を捨て、利益・在庫・回転・機会損失・キャッシュフローを定期的に抑えることが本質的で、そのために、必要な情報を整理する手順を学んでいきましょうと導いてくれるガイドだった。

有望な技術への向き合い方。
それは、「あたり前だけど、ついつい見誤ってしまうこと」だった。

免責:
本を精読しているわけではありませんので、すべての内容が正確とは限りません。詳細は、実際の本でご確認ください。

ご覧いただきありがとうございます。仕事もプライベートもいろいろなモノを掘り下げていきます。