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QuestReading[14] ビジネスの“常識”を疑え!

『現場力』に関する著書を多く出されている、ローランドベルガー会長の遠藤功さんの著書。「戦略」「マーケティング」「オペレーション」「人材活用」「マネジメント」に関する様々な話題を短い文章で解説した一冊。
知識・経験則・セオリーじゃない、読み終えてから自分なりに整理し行動指針としている『現場力』をQuestReading。

書名:ビジネスの“常識”を疑え!
著者:遠藤 功
出版社:PHP研究所
出版年:2007年

「ビジネスの”常識”を疑う」はあたりまえ

「ビジネスの常識」という言葉が一般的に使われます。常識とは、常に正しい考え方のことで、原理や原則のことです。
一方、「ビジネスには正解がない」という、これまた良く聞く言葉があり、ビジネスにおいて、常に正しいことは無いとわかります。
つまり、ビジネスの常識と言われることは”疑わしい”のです。
著者の言葉を借りれば、知識・経験則・セオリーに頼るのではなく「仮説を持って知恵を出せ」となります。

私も知恵を出すこと、つまり考えることが大事だと思っています。常識を疑わないということは、在りものをただ借りてくるだけです。
著者の「現場力」とは、借りものを盾とするのではなく、自分の知恵を武器にする姿なのだと思いました。

今回、私もこの本の中身を借りものにせず、内容を素材として、自分の言葉で読み替えることに挑戦しました。

4つの象限(業務・人材×短期・中長期)

この本は、「戦略」「マーケティング」「オペレーション」「人材活用」「マネジメント」の5つの章から書かれています。
私はこれを業務の話と人材の話、その短期・中期の4つの象限に読み替えました。

業務の話×長期=業務改善「マーケティング」
業務の話×短期=日々の業務「オペレーション」
人材の話×長期=人材育成「人材活用」
人材の話×短期=チームビルディング「マネジメント」
すべての共通項=「戦略」

「戦略」については象限にいれず、全体を支えるものと考えました。
この4つはマネージャーや経営層が考えるべき領域で、著者のまとめかたと一致しました。言い方はいろいろあるけれども、考えるべきことはこの組み合わせになるのだと確認しました。

7つの視点

この本の1つ1つのテーマに多くの文章があり、様々な話題の見方を変える提起がされています。読み進める中で、「その視点は普通はこう考えるけども、こう考える方がよい」という7つの視点にまとめられると考えました。

よくある考え方 → 見方を変えた言い換え
1.○○だから儲かる(儲からない)→儲かる○○を設計する
2.よい商品は売れる→顧客に選ばれるのがよい商品
3.○○の方が有利→土俵を変えれば勝機有り
4.○○が大事(不要)→○○の本質を理解する
5.もっともらしい取組→する人の能力による
6.商品・事業を再編する→単独の強さを正しく磨く
7.もっともらしい教訓→ポイントをずらす(ずれている)

それぞれに具体例をあてはめると、考え方の変化を実感できます。
・付加価値の違いで儲かると考えず、儲かる付加価値を設計する
・技術力の高い商品ではなく、高齢者に選ばれる商品にする
・有名企業が有利だと決めつけず、無名企業としての土俵をつくって勝つ
・モノづくりが大事だと主張する前に、モノづくりの本質を突き詰める
・ワントゥーワンによるきめ細やかなサービスはもっともらしいが、結局は誰が対応するかで決まる
・商品ライフサイクルによる多角化とポジションを変える前に、それぞれ単独の商品力を磨き直す
・金太郎飴のような組織は弱いと決めつけず、規律が揃う強い組織と考えて行動を起こす

具体的な考えに落とし込んでみると、7つの言い換えは、実はマッキンゼーの7つのSと同じ切り口になっていのではないかと気づきました。

【7つのS】
Strategy=戦う土俵(→土俵を変えれば勝機有り)
Structure=儲かる仕組み(→儲かる○○を設計する)
System=個別の強さを磨く(→単独の強さを正しく磨く)
Shared Value=本質を理解する(→○○の本質を理解する)
Style=正しいポイントにあわせる(→ポイントをずらす・ずれている)
Skill=顧客に選ばれるもの(→顧客に選ばれるのがよい商品)
Staff=最後は人がすること(→する人の能力による)

頭の中で、だいぶ飛躍しながら結びつけましたが、著者の題材を整理することで、よくあるフレームワークの概念にたどりつくことができ、7つのSをますます身近に感じることができました。

皮肉なものでビジネスの常識を疑いながら、また、ビジネスの常識に舞い戻っていますが、借り物ではなく、自分の理解が追いついてる感じがしています。

7つの視点はどこに多く現れるのか

今回の考えてきたプロセスを紐解くと、7つの視点が「戦略」「マーケティング」「オペレーション」「人材活用」「マネジメント」のどこに多く現れるのかも確認できます。

「戦略」に多いのは、<儲かる仕組み>と<個別の強化>
「マーケティング」に多いのは、<顧客に選ばれるもの>
「オペレーション」に多いのは、<本質の理解>
「人材活用」「マネジメント」に多いのは、<正しいポイントにあわせる>

<戦う土俵><最後は人がすること>は、全体の要素に万遍なく出現しています。

7つのSのShared Valueという概念は、ソフト面での戦略的な位置づけで語られることの多いものですが、書籍の内容を題材に仮説を持つと、日々の業務・オペレーションで、どれだけ本質を理解できるかということがShared Valueの本質と理解できます。

最近は、整理できた考えを仮説として、「現場力」を高めようと実践しています。いつか、この自分自身の考えも疑い、書き換えたいものです。

免責:
本を精読しているわけではありませんので、すべての内容が正確とは限りません。詳細は、実際の本でご確認ください。

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