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【読書ノート】『呪われた家』

『呪われた家』
ゾラ著


一言でいうと、
主人公の「私」は、自転車で走っていると、廃墟となった屋敷に遭遇する。そして、この屋敷にまつわる悲劇的な物語を知る。数年後、再び、この地を訪れると、廃墟だった屋敷は、再生していた。と言う物語。

怪奇小説なのかと思って読むのだけど、だいぶ様子は違っている。

人間の命、魂、宿命、そして再生という普遍的なテーマを含んでいるように思った。

象徴的なフレーズをいくつか取り上げてみる。

①「旅をしなければならなかった」
人生は喜びと苦しみ、挫折と成功の絶え間ない波で、それぞれの人間がそれを経験し、成長するためには、その旅を続ける必要がある。

②「私にとって、真相がはっきりしない状態のままに置かれるということ以上の地獄はない」

過去の出来事や未解決の問いへの懸念。知識への欲求、真実を探すという欲望は、人間の本質的な部分であり、それが満たされないことは深い苦しみを伴う。

③「死せる少女から生まれ変わった新しい子どもよ!死は打ち破られたのだ。」
永遠の生を象徴。これは、死後も生命のエネルギーが新たな形で再生し、存続するという考え方。

⑤「わが年老いた友、詩人のVは間違っていなかった。失われるものなど何もない。あらゆるものがまた始まるのだ。」
時間もまた循環的で、何もが新たな形で再生し、何もが永遠に失われることはないという考え。

物語の主題は何か?
人生というのは、真相追求の旅なのだと言うこと。一方で、人間は、生と死を繰り返して、再生しながら、成長していく。

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