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【読書ノート】『分身』

『分身』
東野圭吾著


自身の顔が両親に似ていないことに疑問を持つ医学部教授の娘氏家まりこと、彼女と瓜二つの少女小林双葉が、自分たちの出生の秘密を探求する物語。二人はそれぞれの母親の死後、互いの存在を知り、自分たちは、クローン人間であることを知る。

まりこの父親(氏家教授)は、自分のかつて愛した女性(高城晶子)の人工受精治療の為、卵子の提供を受けたのだけど、母体に問題があって、受精ができなかった。予備にとっておいた、彼女の卵子を使用して、母体は、当時、研究の助手をしていた小林志保(小林双葉の母親)を使ってクローン人間の実験を行う。受精すると、小林志保は行方をくらませて、小林双葉を産む。

一方、氏家教授の妻も身体に問題があって、人工受精をするのだけど、その時、氏家は、高城晶子の卵子を使う。

クローン人間を取り上げた物語なのだけど、1993年に発表されたもの。当時、けっこう話題になっていたことを思い出した。

怖ろしく気味の悪い話では、あるのだけど。

①クローン人間に関するポジティブな側面は?

1. 遺伝的な特性の継承: クローン人間は元の個体と同じ遺伝子情報を持つため、望ましい遺伝的特性や特定の能力を継承する可能性がある。

2. 治療や臓器移植の供給源: クローン人間は臓器や組織のドナーとして利用される可能性がある。臓器移植待ちの患者の救済や、医療技術の進歩による様々な治療法の開発に寄与する可能性が考えららる。

3. 種の保存や絶滅種の復元: 絶滅の危機に瀕した種の保存や復元において、クローン技術は有用なツールとなる。

4. 個体の再生や再生医療: クローン技術は個体の再生や再生医療の分野で有望な方法となる可能性がある。

②クローン人間に関するネガティブな側面は、?

1. 個体のアイデンティティと自己意識の問題: クローン人間は元の個体と同じ遺伝子情報を持つため、個体のアイデンティティや自己意識についての問題が浮上する。

2. 倫理的な問題: クローン人間の創造や利用には、多くの倫理的な問題が存在する。ます。これには人間の尊厳や自己決定権への影響、人間の複製に伴う社会的・心理的な影響、人間の存在や人間関係に対する価値観の変化などが含まれる。

3. 社会的な偏見や差別: クローン人間が一般の人間と同様に社会に参加する場合、彼らは社会的な偏見や差別に直面する可能性がある。

4. 遺伝的多様性の損ない: 人間がクローンによって増加すると、人口全体の遺伝的多様性が損なわれ、遺伝的な病気のリスクが高まる可能性がある。

5. 利用と搾取のリスク: クローン人間が、例えば組織や臓器の提供など、不適切な目的で利用されるリスクがある。

物語の主題は何か?
家族というのは何か?
ということになろう。

母親には、母性があるということ。
人工受精であっても、子を宿すと母性が生まれてくるものなのだということなのだろうなあと思った。

この物語の先にあるのが、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』の世界観なのだなあと一人で納得してしまった。


ドラマも見たのだけど、流石に、20年以上別の家庭で育ってきたのだし、母体も違うのだから、そこまでそっくりではないのではないか?とかは思ったりした。

人工受精やデザイナーベイビーみたいなものは、当たり前のように取り入れられてくるのかもしれない。

癌になりにくい遺伝子を加えたり、オプションで、スポーツ選手の遺伝子を入れるサービスとは、出てきそうです怖い。
そうして、ダメな遺伝子は排除されていく。

まあ、ホモ・サピエンスの歴史も強者が勝ち残ったということだから、同じなのかもしれないが。

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