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【本】悲鳴をあげる学校―親の“イチャモン”から“結びあい”へ

これもだいぶ前に読んだ本ですが、noteに移してきます。

勤務校でも、めちゃくちゃなクレームなどで「ねじ込んでくる」保護者が少しずつ出てきています。
この本ではそのような「イチャモン」の具体例を分かりやすく紹介するとともに、そのような「イチャモン」がここ10年ほどで激増した背景、社会情勢を踏まえた保護者の心理などについても詳しく書いています。
私の勤務校での具体例からも実感していますが、この本で繰り返し主張している、クレームは保護者の信頼関係を築くチャンスというのは真実です。
そのときの対話を機に、その保護者は学校に対してかなり好意的な態度になったそうです。
しかし、学校が子どもにまつわるあらゆることに責任を負う日本独特のシステムは維持するべき、という主張には首を傾げます。
生徒指導から特別活動にいたるまで学校が関わってきたために、本来学校が果たすべき第一義的役割であるはず(と私は思う)の教科指導がおろそかになり、その結果子どもの学力が低下したと指摘されてもあながち的外れではないでしょう。
確かに責任の所在は学校においておいた方がいいのかもしれませんが、実務上でこれら3つの要素のうちのどれかをアウトソーシングしない限り、学校教育は本当に崩壊に向かってしまうのではないかと私個人は危惧しています。

この本の著者は主に小学校を訪ねているのでこのような論点になっているのかもしれません。
でも私は、学校での教科指導こそ学力向上の基本にあり、それをおろそかにしているといずれ中学・高校の教育、特に数学教育は取り返しのつかないことになってしまうのではないかと危惧しています。
ではどうしたらいいのか?という対案はまだ見つけられていません。
(それを探すために今大学院で研究しているのかもしれない)
問題点がもっとはっきりしてきたらいずれ改めて。

この本が出版されてから15年以上が経ち、特に後半の部分はまさに、教員の働き方の問題と絡んで、かなりクローズアップされてきていますよね。
部活動はアウトソーシングの議論が始まっていますが、一方でICT化やSTEAM教育など、他のコンテンツもどんどん入ってきていて、学校現場は「スクラップ」はほとんど行われないまま「ビルド&ビルド・・・」ばかり進んでいる印象です。

保護者の「イチャモン」をどうするかというレベルを超えて、根深い問題が山積している気がします。 

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