reiko yamaki

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最近の記事

「虫麻呂雑記」について

このごろ乗代雄介さんのことばかり考えていて、具合が悪いので少し書きます。 風景描写における作家の労力とは、ある場面で、風景をどう書こうかという点に注がれるものではなく、どの風景を書こうかという点に漲(みなぎ)っているもので、いかなる作家も風景を書くにあたって、作品からの要請も考慮に入れた上で、これまで見たことのある風景の中で最も目的に適うものを百発百中で選ぶことができる。(「虫麻呂雑記」) 具合、悪くないですか。大丈夫ですか。 つまり、明らかにこれまで目にしてきた風景の

    • 2019まとめ

      手綱は引くのが肝心と30余年生きてきて学んだつもりがどうにも止まらない一年でした。「好きなことをやろう」の風潮に当てられすぎてる感が否めませんがせいいっぱい楽しく過ごして大晦日です。 【短歌寄稿】 ①「短歌研究」30首連載 第1回『花籠に花』(2019.3) 第2回『チーズと火薬』(2019.6) 第3回『天国』(2019.9) 第4回『記憶』(2020.1) :たくさん反響をいただき驚きました。ありがとうございます。 ②角川「短歌」新人賞受賞歌人 競詠5首・作歌信条 『

      • 文章系画面配信のやりかたメモ

        原稿中によくイラスト制作の画面配信を見ているのですが、一度短歌でもやってみたいなと思って少し研究しました。成果を発表します。 【必要なもの】 ・パソコン(私はsurfaceです。スマホとかでもできるんだと思います) ・ツイキャスアカウント(Twitterでログインしました) ・ツイキャスデスクトップ配信ツール  ここからDL→http://twitcasting.tv/tdl_download.php 【やりかた】 ・ぶっちゃけ基本的には上↑のURLに書いてあるとおりなん

        • 2019春文学フリマ東京

           久しぶりに書きます。  モノレール、昨年秋の東京文フリに行った時にも乗ったはずなのに、なんか前より絶対速くなってる気がしました。カーブも勾配も急で、公共交通機関というより遊園地の楽しいコースターみたいな。私のほうが年々その手の乗り物が駄目になっているので、妙に速く感じたのはそのせいかもしれません。  文フリは、前回(昨年秋)に久しぶりに行ってから、また通ってみようと思うようになりました。行かなかったときや、行けなかった期間に(やっぱり行けばよかった)と思うことが多かった

        「虫麻呂雑記」について

          未来 東京大会2018記録(後編)

          前編はこちら https://note.mu/ry_memo/n/n8aae9bcf9f97 3)近藤とし子   ただ君につかへてひたすらなりし日に未来の空白をあやぶみくれき  この歌にかぎらず、「近藤調」に見えて仕方なくなる。人を出し抜くような、挑発的な表現を目指さなくても、自分の信じる道があるという頼もしさ。近藤とし子の歌風は、この最初期からほとんど変わっていないと思える。彼女の歌には、この人しか知らない、あるいはだからこそ知っているような「近藤芳美」の意外な一面がほと

          未来 東京大会2018記録(後編)

          未来 東京大会2018記録(前編)

           短歌について学んだことや考えたことを、忘れないうち――熱々でないとしても、ほどほどにやわらかい、ぬるい鉄であるうちに書き留めようと思いました。noteを始めてみます。  2018年8月25日・26日「未来」東京大会。  今年のテーマは「『未来』創刊期の歌人たち――女性歌人を中心に」ということで、フェミニズムの機運が高まっている昨今でもあるし、個人的にも女に生まれたわずらわしさをそれはもう感じていて、特に参加したかった。感想を最初に書いてしまうと、取りあげる歌人をこと「女

          未来 東京大会2018記録(前編)