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今月読んで面白かった本【2022年2月】

今月はケニア国内を旅行していたり、いつもよりバタバタしていたこともあり、そんなに本を読む時間がなかったため、10冊ほどしか読んでおりません。

そのわりには、出会えた本の質はどれも高かったため、前回と同じく5冊紹介します。

テスカトリポカ(佐藤究)

GOの三浦さんが薦めていたので読んだ一冊(三浦さんが強めにオススメしている本は大体読んでいる気がする)。期待を一切裏切ることなく、味わうように読み終えた。小説でしかできないクリエイティブ表現がある、とまざまざとぶちのめされた。全ページに漂う血の匂い。資本主義の極致と神話の宿痾。『百年の孤独』『カラマーゾフの兄弟』のような壮大さと血の輪廻、『シャンタラム』のような猥雑さと冒険。これは読んだ方がいい。

暇と退屈の倫理学(國分功一郎)

初版単行本、増補新版、そして今回のKindle版と読むのは三回目だった。何度読んでも論理の組み立て方の見事さに驚嘆するけれど、自分が置かれている状況により「暇と退屈」の実相や解像度が異なる。ケニアでポーカー生活してる自分を哲学的に捉え返す契機になった。

言語が違えば、世界も違って見えるわけ(ガイ・ドイッチャー)

「古代ギリシャの人たちは我々とは違う色彩感覚を持っていたのではないか」といった仮説から本著の深い言語世界への旅は始まる。聞いたこともない少数言語が次々と登場する。言語は思考を規定するのか。色や方向感覚、はたまた論理のあり方まで、“当たり前”は言語に相当依存していることに気づかされる。

「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義(シェリー・ケーガン)

「死」を根源的に、緻密に、論理的に思考し尽くした本。二元論と物理主義、魂の取り扱い、人格の同一性を思考を進めるための立脚点に、哲学が向き合える境界線で逃げずにとりあえずの答えを出す。絶対の正解はないからこそ、自分自身の思想・価値体系と向き合う必要がある読書。

52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)

2021年本屋大賞・受賞作。人生に絶望し、誰も自分を知らぬ田舎町へ越す。そこで虐待を受ける独りの子供に出会う。少年を守る、その過程でじつは自分が癒やされていたことに気づく。人は「魂の番」と出会うべく、いくつもの喪失を乗り越えていく。声にならぬ声、52ヘルツのクジラの唄声に耳を澄ませて。人はひとりでは決して生きていくことができない、それを教えてくれる物語。

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今回は5冊だけ紹介しましたが、今月読んだ本のリストは以下です。すべての本は読み終わったあとに、ツイッターブクログで一言の感想をつけてログを残しています。

ペッパーズ・ゴースト(伊坂幸太郎)
星を掬う(町田そのこ)
言葉のズレと共感幻想(細谷功、佐渡島庸平)
いつも旅のなか(角田光代)
子どもの頃から哲学者 ~世界一おもしろい、哲学を使った「絶望からの脱出」!(苫野一徳)

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ケニアで無職、ギリギリの生活をしているので、頂いたサポートで本を買わせていただきます。もっとnote書きます。