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【アトツギ】社員じゃ許可されない稟議を「パパお願い♡」で押し通していく

きくちりょうです、こんにちは。
2023/4にアトツギとして家業に戻り、2023/6に創業者として会社を立ち上げてみた僕が、「これはどっかに知りたがってるヤツいるだろきっと」と思ったことをメモしておく、そんな趣旨でやっております。どうぞ。

今回はアトツギとしての僕の超大事な役割、てか社員さんからはコレだけ求められてるんじゃないか笑、と思ってる「どうやって社長からOKもらってくるか」について書きます。

つまるところは「ねぇパパ?♡、あたしこれやってみたいの、いい?ありがとう!!♡」なので、自分はどこまで『子ども』に戻れるだろう、、、こいつの真似はちょっと笑、、、とか考えながら読んでみてください。


なぜ社員の稟議は通らないのか

そもそも社員さんの「こうしたい!」「これ買いたい!」が社長に許可されるなら僕が出る必要はないわけです。
理由は大きく二つ。
①社員がビビってちゃんと相談できてない
②社員の信用が低くて社長が許可したくない
要はこれまでのミスや失敗で社員と社長の間に「稟議が通る」関係性がなくなってるんですよね、信用されてない。実際にある社員が機械の入れ替えを相談した時も「お前はいつもすぐ壊すからダメ」みたいなやりとりがあったり(いや気持ちは分かるけど入れ替えないといけなくない?)。

アトツギ(子ども)は信用しかない

それでいくとアトツギは少なくとも他の社員よりは信用されてるわけです。特に入ったばかりのアトツギの信用力は最強。特にミスもしてないし、親族だし、ある程度の期待もある。
ここから失敗したり、意見の食い違いが判明したり、社員の派閥ができたり、お金が絡んできたり、そうやって親族内の信用は無くなっていき泥沼に突入するんだけども(勝手に決めつけるな)、今現状ではアトツギが「こうしたい!これ買いたい!」言った方が社長もOKしやすい。どんなチャレンジをしてくるのか試してみたいっていう想いもあるかもしれません。
ここを最大限に利用して僕は、家業入社から6ヶ月でかなりの数の稟議を(社員から奪い取って)社長に申請して許可をもらいまくってました。

事前ネゴ(銀行流稟議申請のキホン)

だからと言って闇雲に稟議をあげても社長はOKしません(ここでOKしてもらえるなら今のあなたはスネ夫状態、社内稟議に加えて欲しい革靴とか財布とかスーツとかもしかしたら営業車ってことで新しい車も買ってもらいましょう)。入ったばかりのやつがいきなり「機械の入れ替えで…」「このシステムで業務が効率化されて…」言ってきても、誰かに唆されてるな?が最初に頭に浮かんできます。この「誰か=社員」が出てきた時点でアウト。信用する対象がアトツギから社員に変わってしまうので、その稟議は通りません。じゃあどうするか?

僕は家業に戻る前は商工中金という中小企業専門の銀行で法人担当をしてました。数百社の担当先の融資相談を受けて、毎日数十件の稟議書を上司に申請します。この時に求められるのは稟議の決裁スピード(いかに素早く稟議にOKもらうか)で、OKもらえずに溜まっていくと次の日にはさらに数十件の融資相談(稟議をあげないといけない案件)が増えていきます。この決裁スピードを上げるために銀行員全員が身につけるスキルが「事前ネゴ」です。

要は稟議を上げる前に、こういう事情があってこういう相談をしてこういう許可が欲しいんだけどイケる?というのを事前に上司(稟議にOKする人)と話をつけておくんですね。これの良いところは「まだ稟議をあげてないからOK or ダメの判断ではなく、こうすればOKじゃない?この条件ならダメだよね」を教えてもらえるところです。
稟議有る無いでそんな違いあるの?むしろ手間増えてない?と感じる人は実際に経験すると分かります。稟議で出してダメになっちゃうと「ダメって一回言ったからね」感ができちゃうんですね、そうなるともう一回挑戦してもその稟議は通らない。ダメって言われる前に、こうすればOKを聞き出して、OKの条件で稟議を出す。「この前言ってたやつだよね?これならOKって言ったよね」でOKをもらう。今回は「OKをもらう』ことをゴールにしてる(OK・ダメ関係なく稟議を効率よく捌いていく、ではない)ので、OKをもらうためには手間をかけてでも事前ネゴをしまくってOKになる条件を社長からたくさん聞き出しましょう。

パパへの事前ネゴ

社長に対してどんな事前ネゴをするのか、自分の経験からケーススタディです。
【製造工程の一部分を外注化したい】
①社員が相談したいことを理解する
・社員がやりたいけど許可されないことを代わりにOKもらう。なので、まずは社員さんの相談ごとを理解します。「事情(なんで必要なんだっけ?)」「相談内容(なにが欲しいんだっけ?)」「効果(それやったらどうなるんだっけ?)」に分けて理解するようにしてます。
・今回の場合、
「事情(自社でその工程をやれる人材が不足、排水や廃棄物の処理作業が負担、この工程のせいで残業が増えている)」
「相談内容(○○会社に工程を外注化したい。社長から相手会社の社長にお願いして欲しい。)」
「効果(廃棄物系のコスト減、残業減)」

②OKもらうためのハードルを理解する
・ダメと言われそうな理由、条件を洗い出す。それを突っ込まれたらどう返すか、を考えておく。
・今回の場合、
「外注コストが増える」→廃棄物系と残業の減少のメリットが大きければいけそう?
「○○会社との関係性」→○○会社が納得する金額を払う?代わりに○○会社が困ってることを助ける?

③パパへの事前ネゴ
・OKをもらえるように相談。機嫌のいい時を見計らって相談。自分でやってみて思った課題を相談。パパってこういう時どうやったの?を聞く。こんな条件ならいいかな?を聞く。
・今回の場合、
一緒の出張の新幹線+夕食後(たまには実家でご飯食べると言って実家にいく)+昼休憩(たまには一緒に飯食べない?と誘って)
実際工場に入って、今回の作業工程をやってみた。「事情」にあるような課題を発見した、大変そうということを伝える(自分がやってみて発見した感じで)
社長はこういう課題発見時ってどう対処したの?を聞く(過去の努力、成功体験を聞く。褒める)
自分としては外注化して社員さんの負担とコスト負担を下げる方法を考えたからチャレンジしてみたいことを伝える(実際に相談したい社員さんが協力してくれてる旨を伝える)。
実際に外注化して残業と廃棄物コストがこれくらい減れば、やる意味あると思うがどう判断するかを聞く。

④パパお願い♡
・ここは全力で子どもになりましょう。こんな思いがあって、こうやりたい、助けて欲しい!をパッションでぶつける。
・今回の場合、
社員さんの負担軽減を一番に考えて改善してみて、それでコストも下がるのかを試してみたい。ダメなら従来通りに戻すし、作業工程に自分も入って手伝うことも考えている(そこまでしなくていい、と言ってもらえるように伝えられると最高)。廃棄物系コストはリスクもあるしまずはここを軽減することが一番だと考えている。○○会社への交渉はどうしても僕1人じゃできない、アポイントは僕が取るから社長一緒についてきて欲しい。「お力添えをいただければと思います(けっこう使う)」。

⑤結果
稟議OK。翌週に○○会社に一緒に訪問し外注化が決定。

おわりに〜パパありがとう!!♡〜

社長はアトツギ(子ども)である自分に対して、ミスを承知で、期待を込めて稟議をOKしてくれている。これは間違いなくて、その想いをとても感じます。
これに応えるには、社員さんと一緒に、OKもらったもので最大限の効果を出す(成功する)ことが一番ですが、そんなに上手くいくものでもない。もちろん社員さんのこうしたい!が大きな間違いだったこともあるし、社長の機嫌をかなり損ねたこともある。それでも僕の稟議が今もこうして通り続けてるのは、OKもらったその度に「ありがとう!!♡」を伝えてる、この効果もあると思っています。この部分はアトツギ(子ども)だけが社長に還元できる「投資回収」なのかもしれないと思ったり思わなかったり。

これからもこの方法を駆使しながら、社員さんのやりたいことを、全力で社長のOKもらいにいきます。


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