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【新疆ウイグル旅行記】#3トルファンの美食に唸る

トルファンの街の南はウイグル人の密度が特に高く、バザール、食堂、モスクなど失われゆく中国の地方風情をふんだんに味わうことができた。ウルムチ・ピチャンの旅行記も今後作成する予定だが、トルファンの風情を上回ることはなかった。そんなトルファンの街のグルメを紹介する。
一つ前の記事(トルファン住居編)はこちら


ナン

東〜南アジアは温暖で降水量も多いため、稲作が盛んである。一方で、降水量が少なく、気温の低い中央アジアではコメが取れないため、トウモロコシや小麦などの畑作が盛んだと中学の地理では習った。
(関係ないが、この話を考えるたびに麻生太郎氏の「温暖化のおかげで北海道の米がうまくなった」という発言を思い出す。)
新疆ウイグル自治区はまさに後者を代表する地域だ。バザールでは、人権問題で批判の的になった新疆綿で作られたシャツが売られており、地元の食堂では小麦で作られたナンやラグ麺が食べられていた。
ナンはもっとも頻繁に食べられている素食で、道端の露天で販売されていた。
積まれているパンのうち、表面に露出する部分は野鳥によってかじられていることが多いおため、内側のものを取るのが新疆主婦の常識らしい。

ウイグル人居住区の道端で販売されるパン(素朴な味)
道端のナン(wechatが使えるらしい)

ラグ麺(ラグマン)

おそらくナンの次に日常的な食事として食べられているメニューの一つ。トルファン南部のウイグル人居住区にある苏来曼拌面王という食堂を訪れた。「早朝」10時頃に訪れたので、働きに行く前の労働者で溢れかえっていた。当然のように相席で座り、待つこと10分、熱々の丼が目の前に置かれた。
「羊肉で作られたトマト風汁なしうどん」みたいなもので、とてもコシがあって美味かった。この店のラグ麺は意外とあっさりしており、野菜もたっぷり入っていた。
関西出身者としては、中華料理も出汁の効いた上海〜広東系が好きだ。逆に、豚肉を食えず、羊肉のクセをスパイスでごまかした回族、ウイグル族の料理は口に合わない。一方、このラグメンはウイグルに来て初めて美味しいと思った料理だった。
苏来曼拌面王の百度地図リンクは下記。
https://j.map.baidu.com/ee/hodi

苏来曼拌面王のラグ麺

ポロ(プロフ、ピラフ)

翌日、ラグ麺を頂いたのと同じ店に再度訪れた。その店では、ポロ(ピラフ)は夜メニューでしか提供していないらしい。コメが貴重な西〜中央アジアの特性から、コメを使ったポロはお祝いごとなど、特別な行事で食べられるらしい。
羊肉と油の風味が強く、どちらかといえばラグ麺のほうが口にあっていた。

苏来曼拌面王のポロ
苏来曼拌面王の外観(入りにくい店構え)

屋台飯

トルファンのバザール(新拓商城、詳しくは後述する)の前には夜になると屋台が並ぶ。主な客は地元中学生、労働者、主婦である。串を食べて腹を満たしつつ、スナップ撮影を楽しむ。トルファンのウイグル人居住区には小中学校がいくつも存在しており、いずれの学校も上着の色が青色だった。

三輪トラックで果物を売買するウイグル人女性
帰路で買い食いする中学生

フルーツ

新疆ウイグル自治区の名産といえばフルーツだ。特に、トルファン周辺ではブドウが、ハミ周辺では名前の通りハミウリ(メロンの一種)が有名である。
ただでさえ中国は果物店が多い(普通の都市部でも日本とは比べ物にならないほど多い)が、新疆には多くの果物店が軒を連ね、冬でもハミウリ、ブドウが売られていた。今回ウイグルへ訪問したのは12月~1月であったため、残念ながらいずれのフルーツも旬ではなかった。ある程度諦めた状態で新疆入りしたが、どうしても食べてみたい欲が勝り、宿近くの屋台でブドウを購入した。
これが大失敗だった。土が多くて洗うのに骨が折れたうえ、種が大きく身は少なく、甘くなかった。
(写真の右端に移っているのはトルファンご当地のスパークリング乳酸菌飲料。ビールではない。)

上手そうに見えるが美味しくなかったブドウ

失敗を挽回すべく、翌日は柏孜克里克路にある水果店を訪れ、ブドウに拘らず、この時期のおすすめを聞いてみることにした。訪れた店の名は小刘水果店。店の店主は気さくな方で、日本人であることを伝えてもニコニコしながら接客してくれた。小刘水果店の百度地図リンクは下記。
https://j.map.baidu.com/92/VLdi

小刘水果店の店主

店主にこの時期のおすすめを聞くと、予想に反してブドウが出てきた。まさに最近到着したばかりの在庫を特別に引っ張り出してきてくれた。試食してみると実が大きく、甘くて美味しく、昨日食べたブドウとは別の食べ物だった。数百グラム購入し、この日の晩ご飯にした。

奥から出してきてくれたブドウの在庫
試食!

トルファングルメ編はここまで。次にトルファンを離れウルムチに到着した際の記録は次の記事にて。


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