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目標設定について考えてみた

#就労支援の現場から

私が働く就労支援のところでは、毎月月初めにご利用者様に「私の目標と計画」というものを作成いただいています。

長期目標(将来的にどうなっていたいか)をまず書いて(STEP1)、そこからそのために❝ここ❞でどんなことをやっていくかを書きます(STEP2)。STEP1、2を踏まえて、じゃあ今月は何を重点的にやっていくか、という目標を設定してもらいます。

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ある1人のご利用者様が『少しでも早く社会復帰をしたい』という長期目標を設定していました。素晴らしいことです。
そこで質問をしました。

「〇〇さんの考える『社会復帰』とは何ですか?」

上手く答えることが出来ませんでした。なので質問の形を変えて、

「では『社会復帰』をするために、何をしていきますか?」

と伺いました。すると、

「経験を多く積んでいきたいと思います。」

と。ただその『経験』の具体的な内容は出てきませんでした。

皆さんはこの場面において『社会復帰』が目標設定として適切だと思いますか?

私個人として、『社会復帰』という目標自体はものすごく素晴らしく大切なことだと思っています。でもそれはそこにつながるための短期的な目標が明確になってこそ、だと思ってもいます。

つまり何が言いたいかというと、
目標設定って❝言葉で説明できてこそ❞❝行動レベルに落とし込めてこそ❞
だと思うんです。

わかります、これ結構難しいことです。だからご利用者様の目標設定を見ながら私自身もいつも自戒させられています。自分は出来ているのか、と。でも出来た方がいいことであるのは間違いないです。

目標って達成できてなんぼです。
でも達成するためには達成できたかどうかを測る指標が必要です。
だから目標は定性的よりも定量的がいいと言われます。

私も昔は「なんで定量的じゃないとダメなんだよ~」と思っていたけど、いざこうやって分解して考えてみると納得いきます。

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他に例を挙げて考えてみましょう。

例えば「美味い食事を食べて満足したい」という長期目標があったとします。そのために私は「カレーをつくろう」というゴールを設定します。

ここで「カレー」をつくるには何が必要でしょうか?

材料が何が必要かわからないといけません。
調理手順が何が必要かわからないといけません。
これらを知ること、そして実行することが短期目標になります。

今回の方の場合でいうと「社会復帰」が「美味しい食事を食べたい」、「経験」が「カレー」にあたります。
すなわち、「経験」はどんな経験なのか、経験するためには何が必要なのか、そういった細かい部分が見えてこないと本人が望む「経験を積む」ことはできず、結果として『社会復帰』も難しいというわけです。

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目標っていかに細かく細かく分けることが出来るか、
これに尽きるんだと思います。結局は行動しやすくするための目印にすぎません。したがって目指せるものでないと効果を果たさないのです。
これに気付けたのは最近ですが。

「目標」という言葉が独り歩きしちゃって、設定することで満足しちゃうんですけど、そこの視点は忘れちゃいけないなと思います。

私自身、自戒を込めて。


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