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澪つくし美食部 「MARE VIGNA(福島)」2022.06.05

(3分ほどでサクッと読めるくいだおれ食コラムです)

福島エリアに定期的に通っているお気に入りのイタリアンがある。浄正橋の交差点を南東に少し入ったところにある「MARE VIGNA(マーレ・ヴィーニャ)」。
カウンター6席に4人テーブルが一つという、まさに「隠れ家」という名前がピッタリのお店で、メインはカウンター席。
シェフが一人で切り盛りをしているため、満席時などは、とても忙しく、それでいて見ていて惚れ惚れとする手際の良さで一品を繰り出す。その姿を眺めながら、料理を食べ、酒を嗜むのがまさにこの店での楽しみだ。

素材を活かした一品

私はこういった「カウンターイタリアン」なる店がとても気に入っている。なんというか、上方・おおさか料理の代表的スタイルである「カウンター割烹」に通ずるところがあるからだ。言うなれば、「洋の割烹」とでも言ったところだろうか。
割烹の定義も細かくなると様々だが、基本的には、江戸料理に対して上方料理を指す言葉で、料理人(板前)がライブ感を持って調理した上質な料理を、仰々しい個室座敷ではなく、気軽な椅子席で食べるスタイルと理解するのが正しいかと思う。ジャンル問わず基本的にカウンター席が好きな私にとって、その象徴とも言える「カウンター割烹」は最高の食スタイルなのだ。

また、カウンターで食すイタリアンが「洋の割烹」だと思うもう一つの理由は、その調理方法にもあると思う。割烹もとい「おおさか料理」の特徴として、「活かっている」という点がある。鮮度の良い素材を前にし、「おぉ~活かってるなぁ!」と喜び、それをさらにライブ感のある調理方法で仕上げてもらい食う、というのが古くからの大阪人の食の楽しみだと私は認識している。
個人的にはイタリアンも、例えばフレンチなどと比べた時に、「素材をそのまま活かす」要素が強いように思える。簡単にいえば、フレンチの醍醐味は丁寧にかつ複雑に仕立て上げられた「ソース」が肝なのに対し、イタリアンは炭火焼きで調理し、できるだけシンプルな味付けで食べる。
実際、私の大好きな「MARE VIGNA」でも、鴨肉、ホロホロ鶏、牛肉問わず、炭火でじっくりと焼き上げ、これをその時々の、フレンチとはまた異なるシンプルなソースや塩などで食べる。噛めば噛むほど、しっかりと素材の味が口に広がるのだ。こういった食べ方が、私は一番好きだ。

「洋の割烹」を体現したこの店から、どんな一皿、一品が出てくるのか、それが楽しみで、また足繁く新福島へと通うのである。


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