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今日は書き始めから、連続365日、一周年を記念しまして、私の趣味の話にお付き合いください。興味のない人はスルーしてくださいね。

「卓球しています」と話すとほとんどの人が「あれって、動体視力凄いですね」と言われます。たいがい「そうですね」で流します。でも本当は「そうではないんです」と言って説明したいのを、もう一人の自分が止めています。

卓球をしていない人に詳しく説明しても、絶対理解されないからです。

「卓球は100m走をしながらチェスをするスポーツ」
~荻村 伊智朗~


荻村 伊智朗(おぎむら いちろう、1932年6月25日 - 1994年12月4日)は、日本の元卓球選手、指導者。 第3代国際卓球連盟会長、日本卓球協会副会長(1987年 - 1994年)を歴任した。 現役時代は日本代表として世界卓球選手権で計12個の金メダルを獲得し、日本卓球界の黄金期を代表する選手として活躍した。

この名言の意味を理解できるのは、卓球選手だけです。一般の人は「そりゃ~、大変だ」と思うだけで、その本当の意味を理解できていません。


動体視力より大事なのは、予測力です。


予測力なして卓球することは不可能です。

まず気にしなければならないのが「音」です。相手のラケットに球が当たった時の音で、どの程度の球がどの辺りに飛んでくるかを「予測」しています。

そして「モーション」です。相手の腕や体の動きで、どの程度の球がどの辺りに飛んでくるかを「予測」しています。

もちろん、球が当たる時のラケット角度と、振り抜く角度によっても、「予測」します。

とにかくたくさんの「予測」が必要なんです。これらの予測なしでは、球をラケットに当てることすらできません。


相手の球を見てから動くと、0.1秒足らない


過去にいろんな実験映像を見たことがあるのですが、音が聞こえないよう被験者にヘッドホンから音楽を流した状態で卓球してもらうと、打つタイミングが遅れることが実験結果として現れました。

また違う実験では、相手が打った球がこちらの手元へ来るまでに「約0.2秒」かかると計測されました。ところが、相手が打ってから動作に入ると「約0.3秒」かかります。つまり「0.1秒足らない」というのが現実です。その遅れを補うのが「予測力」なんです。

だから相手のラケットに球が当たって飛び出した瞬間、どのくらいの速度で、テーブルのどこに落ちるかという落下地点を予測し、落下した後、どの方向へどのくらいの速度で跳ねていくかを、予測しています。さらに、その球がどのような回転で来ているかを予測し、自分のラケットに当たると球がどのように変化するかも予測しながら、ラケット角度を調整しながら、打つ強さも調整します。

極端な例で言えば、ラケットに球が当たった瞬間、自分の思っていた回転ではないと悟ったならば、瞬時にラケット角度を変えることがあります。その時間は、おそらく、0.01秒程度、あるいはそれ以下の判断です。


ラケットの当て方を瞬時に決める


卓球のラケットには「ラバー」を貼ります。ラバーは、「ゴムとスポンジ」からできています。打つ時に、表面のゴム(専門用語ではシートと呼ぶ)だけに球を当てて返球するのか、スポンジまで食い込ませるか、あるいは、板まで吸収させて打つのか、瞬時にどうすれば良いのか判断しながら打っています。その3種類の当て方によって、音が違うだけでなく、回転にも影響するので、よく聞いておく必要があります。

ようこそ卓球 基礎知識編 ②ラバーについて

またラバーには、「裏ソフト」「表ソフト」「ツブ高」があり、それぞれ特性が違います。自分が打った回転がそのまま返ってくることもあれば、反転して返ってくることもあります。それは相手がラケットを振る角度とラバーの特性を加味した上で判断する必要があります。


卓球は物理を知ることで上達できる


卓球は、ビリヤードのような壁で反射する速度と角度から導き出されるだけではなく、球の回転速度とその回転角度、ラバー特性などすべてが関係しています。それが一球打つごとに変化し、飛んできますから常に考えながら打つことが要求されます。自分が仕掛けた回転で、自分が有利になることも不利になることもあります。ですから突き詰めると「物理」を知らなければ、卓球はできないことになります。


卓球は、瞬発力と頭脳が要求されるスポーツ


自分が打った回転速度と角度に応じて、相手がどのような返球をしてくるのか、いつも予測しています。簡単な例では、自分が出したサーブに対して、相手がどのような返球をしてくるか、そして返ってきた球を自分がどう打つか、それを相手がどう返球し、次に自分がどう打つのか・・・相手をよく観察し、予測した上で対応する必要があります。これがチェスの読み合いのようだと言われる所以です。

強い球を打った方が良いとは限りませんし、攻めた方が有利とも限りません。一球一球が同じ球ではなく、緩急混ぜてタイミングを外し、相手が予測した球と違う球を送ることが勝利に結びつきます。さらに狭いコートを小刻みに前後左右と動き回る必要がありますので、100mを全力で走っているかのような瞬発力が必要です。

卓球とは、空間と時間と回転の芸術なのです。


まともに話をすれば、これだけ長いことを話さなければならないので、「動体視力が凄いね」と言われたら素直に「はい」と答えるだけにしています。


と、言うのは簡単ですが、実際にうまく打つことはとても難しいです。だから私はまだまだ負けてばかりです。それでも考えながら打つことが楽しいので続いています。


このような物理や予測のことを考えなくても遊べるのが「ピンポン」だと私は思っています。卓球は競技、ピンポンは遊びです。生涯スポーツとしては、ピンポンをお勧めします。

今日は私の趣味の話に、最後までお付き合いいただきましてありがとうございます。今日でnote書き始めから、365日目です。これからもお役に立てる情報を発信していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。


サポートしたいと思われるくらいまで頑張って書きますので、今はシェアかコメントをいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。