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昨夜未明の、マジック。

 テレビを捨ててしまってから、途端に「昨夜未明に~」という言葉を耳にしなくなった。毎日の様に何かが起きていた昨夜未明はどっかにいってしまったようなのだ。まるで誰かが、パチンと指を鳴らして消してしまったみたい。

 私が眠っている昨夜未明。それは殆ど一瞬で通り過ぎていく。後一分で終わると表示されたインストール画面を見ているうちにカップラーメンが出来上がってしまった時くらい、曖昧で錯綜する時間が未明にある。

 私は未明を知らない。でもきっと、未明に起きているのは事故や事件なんかじゃなくって、何か私の知らない未知の変化だ。私はものすごくそれが知りたいような気がしてくる。だって、どうせ知るなら知らないことを知りたいから。

 でももう24時になる。そろそろ眠ろう。未明の景色は眠りの中で見よう。私は夢の中で未明の破片を指先で摘まみ、昇ってくる朝日を待つ。そして現れた朝日に破片を差し出して、私は明日を迎えるのだ。

活動の源になります……