23歳かく語りき② 自分が嫌いになった時の対処法

仕事で大きなミスをした時、好きな子とのLINEが途切れた時、なんかめんどくせえなあと思って余裕をぶっこいてたら痛い目にあった時、その他諸々、人生には自分を嫌いになる瞬間が沢山ある。そういう時、某エヴァンゲリオンのシンジくんのように「もうやめてよ父さん!!」と叫び、しがらみも何もかも無視して自分の殻に閉じこもることができれば楽なのだが。今の世界にはそれを「おめでとう」と肯定する余裕がない。結局は自分のために泥のような自己嫌悪から抜け出すしかない。

自己嫌悪してしまう時、あなたはどうするだろうか。友達に話を聞いてもらい、心の傷を優しさのガーゼで包むだろうか。酒を咽び飲んで全て忘れて、翌日の二日酔いに悩むことで自己嫌悪を吹き飛ばすだろうか。河原でたそがれ、青い空を見上げて「大した悩みじゃないな」と吹っ切れるだろうか。
1つ目の方法は友達と予定を合わせるのにも、時間がかかるし、その気力すら湧かない時がある。2つ目は荒療治。下手を打てば二日酔い&自己嫌悪で立ち直れなくなる。3つ目に至っては経験上、家に帰ったら冷静になって「青い空見ても空でしかないよなあ」と気づき、馬鹿な時間の使い方をしたなあおいと再び自己嫌悪になるので、やらない方が良い。

では、すぐにでも自己嫌悪しなくなる方法があるのだろうか。15歳から20歳まで自己嫌悪と戦い続けた私の中に、そんな方法があっただろうか。
あった。大いにあった。しかしその方法は私にとって禁忌的なもので、効果はかなり大きいが非常に実行しづらいものだった。羞恥心的にもキツい。

今日はまた忘れないうちに、その方法を書いておくことにする。

自分がこの世の中で一番嫌いだと感じるほどの自己嫌悪に陥った時、私は頭が狂ってしまったフリをする。

まずは分厚い布団で顔一面を覆い、「んあああああああああ」と叫ぶ。

次に、頭に思い浮かんだ歌を何も考えずに歌い続ける。経験上、CM曲が頭をよぎることが多い。
歌詞がわからない時はメロディを「テーテー」奏でればいい。

そして最後は思いっきり「なんでだよ!!!」と連呼する。具体的なことは絶対に言わない方がいい。中途半端に現実的なことを言うと、効果がない。ただ「なんでだよ」と叫ぶだけでよろしい。

※この方法を実行するにあたって、騒音被害を最小限にするために厚手の毛布三枚重ね、顔全体を覆うことをお勧めしたい。これで苦情なんて来ようもんなら自己嫌悪が増すばかりである。

これこそが、最も早く自己嫌悪から脱するための方法である。
こんなことしても「何してんだ自分は」と思うだけだと思うそこのあなた。
そう、その感情にこそ答えがある。

人が自己嫌悪する時、大抵は自分を見失っている。夢に一歩近づけるかもしれなかったのに。今日一日を晴れやかな気分で終えられるはずだったのに。こんな失敗で。こんな怠慢で。
そんなふうに、理想や明るい未来を求めすぎているから、自分が嫌になるのだ。

んあああああと叫び、頭空っぽでヤシマ作戦のBを歌い上げた上で、なんでだよと叫んで見てほしい。
そうすれば理想や未来しか見えなくなった視界にぶっ飛んだ自分が入り込んでくる。
そこで気がつくのだ。自分ってまだこんなもんじゃないかと。理想にはまだ手が届かなくて当然じゃないかと。
そうなれば話が早い。こんなもんなのだから、失敗だってする時もあるし、やる気が出ない時もあるだろう。まあいくらグジグジ考えても仕方ないよなあ。焦って失敗するよりはまた頑張るかあ。なんて思えたならこっちのもんである。

理想的な未来は太陽のようだと思う。いつも煌々と自分の視界を照らし続けてくれる。だから、やる気も出るし、日光浴ができた日には幸せを感じられる。けれど、見つめすぎると視界が欠ける。自分すら見えなくなったとき、人は孤独だ。

だから、そんな時こそこの方法が役に立つ。自分の中の想像にない自分を見るといい意味で冷静になれる。自己肯定はないが、自己嫌悪からは脱することができるのだ。

明日からの日々、この方法を使わなければいけない状況に、どうかならぬように。そう願いながら、意味もなく星を見上げてみた。

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