見出し画像

第15節 清水エスパルス戦 レビュー

鬼門日立台での勝利から一週間。その間にロシアワールドカップの日本代表候補メンバーが発表され、川崎からは大島僚太が選出された。初のワールドカップということもあり、本戦メンバーにも選ばれて欲しいところだ。

さて、今回は清水エスパルス戦を取り扱っていくが、試合の第一印象としてこんなに『良いゲーム』はいつぶりだろうか。前半の内容はほぼ完璧に近い。『前半で2点取れたことが大きかった。』(守田英正)。守田の言葉通り、小林が欠場し不安材料はあったが前半に2点奪ったことがこの試合の勝敗を分けた。

ここで今回も2つに分けて分析していく。

①『うちは人数をかければ、あれぐらいやれると証明できた。』(奈良竜樹)。押し込み続けることで攻め続けた前半。相手に与えたシュートはわずか1本。【攻撃は最大の防御】を実現したフロンターレ攻撃陣。

②『うちがよくないときは幅が足りなかったり、深さがなくて、足元ばかりになってスペースがなくなってしまう。』(長谷川竜也)。繰り返し重ねた”裏”へのパス。繰り返す大切さ。

では!

①『うちは人数をかければ、あれぐらいやれると証明できた。』(奈良竜樹)。押し込み続けることで攻め続けた前半。相手に与えたシュートはわずか1本。【攻撃は最大の防御】を実現したフロンターレ攻撃陣。

ほとんどの時間を攻めで終えたフロンターレでしたが、本当に今節は冒頭でも行った通り”完璧”に近い試合だった。選手インタビューを見てみてもいつもなら反省点を述べたりする選手が多いが、比較的この一勝をポジティブに捉えている選手が多かった。

試合運びとしてはフロンターレがボールを常に持てていたのであとは「どこで」崩すかというところだった。特にこの試合はチームが自信で満ち溢れていたのかパスが多く繋がっていて、『ハーフコートゲームをしようという方向性を持ってスタートしたゲーム。』(奈良竜樹)と言うようにハーフコートでの時間帯が前半は長かった。

『相手も最初は取りに来ていたが、だんだん単発になっていった。』(谷口彰悟)。相手のチェックが弱くなっていたのも繋がる要因であった。

攻撃を長く続ければ必然的に守る時間は少なくなる。そこでいかにして点を奪いにいくか。そのようなところで選手たちが同じ画を描く事ができた。

『前半のうちに2点目を取れたことが後半につながった。』(阿部浩之)。彼の言葉が全てだろう。結果論だが、後半は清水にボールが渡る時間が出てきてしまった。仮に前半が1点で終わっていたら、この試合の結果は変わっていたかもしれない。清水のベンチにはかつて所属していた鄭大世が控えていたので、クリスランとのパワープレーでもされれば水漏れしかねない。そこで早い時間での追加点はチームいとってとても大きかった。

そして、もう一つ注目しておきたいのが前回同様、守田のプレーだ。エドゥアルド・ネットの現状を筆者が正確に把握はできていないので下手なことは書けないが、彼が不在の中で「第一候補は森谷がいる」と思っていた方も少なくはないだろう。実際、森谷も試合に出場すれば存在感を残せる事が出来る選手だ。しかし、守田の能力はこの試合でも存分に発揮されていた。特筆すべきは組み立てのところだ。例として挙げるのは2点目が生まれるシーン。このシーンの画としては谷口と奈良の間に守田が落ちて組み立てるといういつもの光景だ。

31分48秒〜31分54秒。このたった6秒間で守田は縦パスを2回入れている。このたった6秒が全体を整理出来る時間だとしたらどうであろうか。屁理屈に聞こえるかもしれないが、このサッカーを展開している以上、確実にスペースはできてくる。31分56秒のシーンだが、クリスランのベクトルは完全に谷口に向いていた。ここで守田はパスではなくドリブルを選択し、相手の前線ラインを突破した。非常に文字で表してしまえば簡単なことかもしれないが、これはとても大切なことである。

【※このシーンはリプレイでは写っていないのでDAZNを視聴している方は是非見てもらいたい】

『一本のパスで状況は変わる』というような言葉をどこかで耳にした事があるが、この言葉の主が誰かは忘れてしまった。ただ、この意見に私は異論を唱えるつもりはない。”たった”一本のパスで相手の重心や思考を動かす事が出来る。さらに、今回の守田はその一本のパスに加えてドリブルも組み込んだ。一つの例だがかなり効果的なプレーをしてくれたと思う。

②『うちがよくないときは幅が足りなかったり、深さがなくて、足元ばかりになってスペースがなくなってしまう。』(長谷川竜也)。繰り返し重ねた”裏”へのパス。繰り返す大切さ。

小林悠が欠場、阿部浩之がゼロトップというような話は試合前からちらほら聞いていた。では、サイドハーフは誰になるのか。そこは気になっていたが、蓋を開けてみれば長谷川の名前が連なっていた。中々思い通りに試合に出場できている訳ではない。だが、出場したら彼の独特なドリブルは見るものを魅了する。

そんな長谷川だが、トピックのインタビューの通りこの試合では”幅”、”深さ”を狙いにしプレーしていた。真ん中を締められればサイドに追いやられるが、長谷川のような選手がいれば仕掛けることもつなぐこともできる。『自分はスペースを消さないように、高い位置で勝負できるようにした。』(長谷川竜也)とこの試合では高い位置でかつ深い位置でプレーしていた。

前半13分。大島の浮き玉を裏に抜け出した長谷川がトラップし、ループシュートを放ったがこれは枠を外れてしまった。だが、一瞬で相手の懐に入れたためあとは決めるだけだった。ここはスポーツの特性上仕方ないとしか言えないが、似たようなチャンスは幾度も作る事ができた。フロンターレは決して裏へのボールは出さないというチームではない。しかし、今節に関してはそのようなプレーがよく目立った。

3点取ったが、”この”形では決めれていない。ただ、折れる必要はない。では、どう改善していくのかというところだ。簡潔に言えば「頻度を増やす」・「人数を増やす」。この二つを忠実にやれば得点は自ずと決まる。小林はその点の能力に関しては頭一つ抜けている。彼がいれば相手ディフェンダーはそちらにケアを傾けるだろうし、そうなれば他の選手が浮くのでそこを使えば良い。

長谷川が”幅”・”深い”という言葉を用いていたが、これは①の内容と少し重なってくる。”深い”という言葉はまさに相手を押し込まなければ中々攻略できない場所である。”深い”位置は相手にとっては嫌な場所であるのでそこを突き続ければボロは必ずでてくる。そのタイミングで一気に仕掛ければ、守備組織の陣形を破壊でき、ゴール前(バイタルエリアなども)をスクランブル状態に出来る。
『点を取るところ、もう一回しっかり全員で突き詰めてやっていこうということでトレーニングしてきました。』(鬼木監督)

鬼木監督の言葉通り、攻撃面の画をすり合わせる事ができたため、チームとしての狙いがはっきりした。これでJリーグは少し長めの中断期間に入るが、この”良さ”を選手たちには忘れないでいてもらいたい。

(RYUJI.I)

参照: ・川崎フロンターレ公式HP

サッカーライターを目指し投稿中。 更新頻度は異なりますが、思ったことを投稿していければ。 川崎フロンターレを応援しています。