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お花屋さんのお仕事

花屋の営業の仕事をしている。専門に扱っているのはスタンド花、特にお店の開店祝いの花に関しては業界最大手であり、その中でも私はトップ営業マンのひとりであるという自負がある。

お店の前に著名人の名前で『祝・開店』と銘打ったスタンド花が出ているのを見たことがあるだろう。簡単に言うとあれは99パーセント『ヤラセ』だ。お店が自分でお金を出して、著名人の名前を借りて花を出している。お店側の予算、業態、地域の客層など様々な条件に応じて、ちょうどいい著名人の名前を提案させていただくのが私の仕事だ。芸能人、アナウンサー、作家、政治家、スポーツ選手、果ては宇宙飛行士、総理大臣まで。様々な芸能事務所やエージェント、時には個人と契約し、数百人の中から選んでいただけるようにしている。

例えば飲食店、まず考えるのは顧客層だ。ターゲットとしている年齢層、地元民向けなのか観光客向けなのか、昼夜どちらの営業により力を入れているか。業態もある。オシャレなお店、こだわりのお店、ガッツリ系のお店、どんなお店なのかによって当然適した著名人も変わる。お好み焼きのお店ならば関西出身の著名人の名前を使うとか、ペットを連れて利用出来るカフェならばペットのいる芸能人を使うとか、細やかな配慮も必要だ。お店にとって開店時の初動売り上げというものは最も重要なものだ。ここできちんと売り上げに貢献出来るか、具体的には10パーセント以上の集客増を出せるか否か。長年培ってきたノウハウが試されるところだ。

パチンコ店もよく取り引きさせてもらっている。こういうお店に関しては、いかにもパチンコをやってそうな著名人よりも、パチンコをやっていなさそうな意外性のある人の方が目を引くという通例がある。とは言え著名人側もパチンコ店に花を出すとなるとイメージダウンを危惧する人も多い。こういう言い方は失礼だが、少し旬を過ぎた、しかし知名度はあるアイドルやグラビアアイドル、女優さんなどが狙い目だ。しかしこういう人たちは旬が短い。上手く交渉し、使える手札は常に増やしてキープしておくのが大事だ。私が出したスタンド花で売り上げが上がったことがきっかけで、そのグラビアアイドルさん指名で営業の仕事に繋がり、更に深夜のパチンコ番組のレギュラー出演が決まったこともある。あの時は随分と感謝してくれて嬉しかったものだ。

小学生1年か2年の頃だったろうか、将来の夢は?という作文に、『おはなやさん』と書いた記憶がある。私はあの頃の夢を叶えたことになるわけだが、まさか夢のお花屋さんがこんな仕事だとは思っていなかった。それでも私は自分の仕事に誇りを持っている。お客様の要望にお応えするため、へえ、こんな人がお花を出してるんだと少しでも多くの方に足を止めていただくため、私はこれからも誠心誠意取り組んでいくつもりだ。

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