【詩】不完全なそれは

不完全なそれは、
知らん顔で飛んでいく晴れた日の雲
戦争や災害や、悲しみが
過ぎ去る都市の片隅で、
鉛のように重く横たわる私の身体

不完全なそれは、
私を見つめる物言わぬ軍人の眼差し
慰めを知らぬ骨とう品はたとえ、
火薬のと血の匂いで汚されるとも、
なおも無垢なる肉として 蠅たちの祝福を受ける

不完全なそれは、
子供の頃に追いかけた一握の希望
爪と肉の間に砂を詰まらせながら、
波際で描いたスケッチブックには、
誰かが言葉を挟む場所など ありはしない

不完全なそれは、
芽吹いた向日葵の囁き声
澄んだ小川のせせらぎを運ぶ風は、
爆弾で崩れた教会の鐘に潰された
青春たちの面影を残して

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