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週末読書メモ148. 『戦略の要諦』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

高邁なパーパスを掲げても、戦略にはまったく役に立たない。
ミッション・ステートメントは戦略策定の足しにならない。
そんなものに時間と労力を注ぐのは無駄である。

現代を代表する戦略の大家による最新作。


戦略論のロングセラー『良い戦略、悪い戦略』。

その著者リチャード・P・ルメルトさんによる『戦略の要諦』。

戦略とはいかなるものなのか。戦略とはいかに作り上げるべきか。

そのことに焦点を当てた1冊です。


戦略を立てるスキルは三つの要素で形成される。第一は、ほんとうに重要なのはどれで、後回しにしてよいのはどれかを見極める能力。第二は、その重要な問題の解決は手持ちのリソースで現実的に解決可能なのかを判断する能力。第三は、リソースを集中して投入する決断を下す能力、逆に言えば、貴重なリソースを小出ししたり、一度にいろいろなことに手を出したりする愚を犯さない能力である。

重要な課題を見極める。解決可能か判断する。リソースを集中投下する。

極めてシンプル。目標からでも、パーパスからでもない。組織の命運を決するような重要かつ困難な課題と立ち向かい、解決し切ることが戦略だと。


同じく経営戦略の大御所であり、他の学者とは一線を画すラム・チャランさんの『経営は「実行」』を彷彿させる厳しく力強い提言。

ともに現実家であり実利家である両者に共通して、結果を出すことを重要視すれば、こういう内容になるのだろうなあと。


それでは成長への七つの道を説明しよう。
1 ユニークバリューを提供する
2 不要な活動を排除する
3 機敏であれ
4 合併・買収を活用する
5 必要以上に払わない
6 バケモノを育てない
7 細工はしない

成長への7つの道として説く法則も示唆に富みます。

「バケモノを育てない」、「細工をしない」という言葉にも、勝つために無駄なことへリソースを消耗させるべきではないという強い意志を感じます。


最初に質問い答えてくれたボルダラーが、自分は困難でやりがいのある課題を選ぶと言い、最大の難所を自分の実力で乗り越えられると思うことが大事だね、と付け加えた。その瞬間に、何かひらめくものがあった。これは、有能な経営者がとっているアプローチそのものだ。

奇しくもボルダーである筆者。戦略とボルダリングは似ていると。

自分自身もボルダリングが好きだからこそ、我が意を得たりというか。

ゴールへ辿り着くため、重要な課題を見極め、道筋を立てること。そして、その道筋を達成するためのケイパビリティを鍛え上げ、やり切る。

それはボルダリングだけでなく、企業経営でも然り。

成すべきことを成すために。背筋が伸びる1冊です。



【本の抜粋】
最初に質問い答えてくれたボルダラーが、自分は困難でやりがいのある課題を選ぶと言い、最大の難所を自分の実力で乗り越えられると思うことが大事だね、と付け加えた。その瞬間に、何かひらめくものがあった。これは、有能な経営者がとっているアプローチそのものだ。

戦略を立てるスキルは三つの要素で形成される。第一は、ほんとうに重要なのはどれで、後回しにしてよいのはどれかを見極める能力。第二は、その重要な問題の解決は手持ちのリソースで現実的に解決可能なのかを判断する能力。第三は、リソースを集中して投入する決断を下す能力、逆に言えば、貴重なリソースを小出ししたり、一度にいろいろなことに手を出したりする愚を犯さない能力である。

本書で訴えたいことは、大きく分けて四つある。第一に、戦略を立てる最善の方法は、困難な課題に正面から立ち向かうことである。
(中略)第二に、活用できるリソースを確認する。
(中略)第三に、いかにも魅力的な誘惑に負けたり横道に逸れたりしないように注意する。
(中略)第四に、グループやワークショプ方式で戦略を立てるやり方は落とし穴が多いと心得る。

戦略とは、組織の命運を決すうるような重大かつ困難な課題を解決するために設計された方針と行動計画の組み合わせを意味する。

戦略を考えるときには、さまざまな問題や野心や願望はひとまず棚上げして、他といちばん差をつけられそうなところ、つまり「勝てる」ところにフォーカスしなければならない。

それでは成長への七つの道を説明しよう。
1 ユニークバリューを提供する
2 不要な活動を排除する
3 機敏であれ
4 合併・買収を活用する
5 必要以上に払わない
6 バケモノを育てない
7 細工はしない

戦略はある種の問題解決である。だから、問題を理解していなければ答えを出すことはできない。直面する問題を理解するカギは、診断プロセスにある。

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