(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
「実力も運のうち」
「能力主義は正義か?」
本書を読んだのち、この言葉を頭の中で反芻せざるを得ません。世界の発展と分断の先に、私たち人類が向き合う必要があるものとは。
本書の筆者は、ハーバード大学の政治哲学教授、マイケル・サンデルさん。
著書『これからの「正義」の話をしよう』は、全世界で100万部を越える大ベストセラー。
この本から11年、現代社会に運びる格差と分断の根元に切り込んだのが、本書『実力も運のうち』です。
メリトクラシーとは、業績(メリット)による統治(クラシー)、つまり、能力主義と訳されます。
生まれや身分によって地位が決定された前近代社会。そこから、個人の業績によって地位が決定される近代社会へ転換されてきました。
一見、前近代的社会よりも格差が無くなったように見える原理。しかし、実際には逆でした。現在、能力主義が発展した結果、欧米を中心に格差、分断が加速しています。
少し長い引用でしたが、考えされられる言葉が多く…
資本主義、市場主義、知的社会、情報社会。これらが、現代の世界を大きく前進させたことは間違いありません。
しかし、その歪みであり、功罪が溢れつつある現実に、我たち人類は向き合う必要がありそうです。
特に、この問題の対処が遅れている原因の一つは、経済・政治社会での勝者(成功者)とそれ以外との分断にあります。
メリトクラシーがはこびる現代社会では、アップorダウンの原理があり、より高い業績・統治的地位になるには、ひたすらに能力を高め続けるインセンティブが存在します。
そして、それを突き詰めるほどに、他の立場にいる人々との乖離も大きくなると。しかしながら、その能力も、たまたま生まれ持ったものや取り巻く環境に恵まれたという運の要素と切っては切り離すことが出来ないものだと、サンデル教授は苦言を呈します。
現代世界に対して、大きな問題提起を投げかけている本作。
感じることは多く、この問題から目を逸らしてはなりません。しかし、同時に忘れてはならないのは、それでも前時代に比べて、世界は確実に良くなっているということ。
生まれや身分によって生き方が固定されていた時代、戦争や飢餓が頻繁に起こっていた時代。そんな100年以上前の時代に比べたら、世界は間違いなく進歩しているのも事実。
その上で、進歩に伴い新たな問題が生まれるのは世界の常です。
世界は進んだ、だからこそ新しい問題も生まれたと。
だとしたら…きっと、やるべきことは1つ。(過去の人々がそうしてきたように)現代の自分たちも問題を目を逸らさず、解決に向けて進み続けていきたいです。
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