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週末読書メモ114. 『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』

(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)

変化なくして進歩はありえない。
自分の考え方を変えられずして、どうして他の何かを変えられようか。

ーージョージ・バーナード・ショー

「考える」ことを「考え直す」1冊。


人間関係におけるベストセラー『GIVE & TAKE』。

その筆者となるアダム・グラントさんによる最新作が、本書の『THINK AGAIN』。

知性とは従来、考える・学ぶ能力であると認識されている。しかし、変化の激しい時代を生きるために、考えること・学ぶこと以上に貴重な認知スキルがある。それは、「考え直す、学びほぐす」能力だ。

タイトルにもある通り、本書のテーマは「再考」。

筆者は言います、「学ぶこと、考えること」以上に、「学びほぐすこと、考え直すこと」の方が重要であると。


変化の激しい時代に「考え直す」ことが必要となることは、多くの人が理解をしています。その上で、本書の素晴らしい点は、多くの人が分かっていても、現実には脳の性質上「再考」が難しいことを詳らかにしている点です。

この問題の一端は、思考の怠惰にある。人は概して「認知的倹約家」なのだという専門家もいう。私たちが既存の考え方に執着することが多いのは、そのほうが考え直すよりもずっと楽だからだ。
だが、それだけではない。再考を躊躇する原因は、私たちの心の奥深いところにもある。再考すべきかもしれないと自問することで、目の前の世界が予測不可能になってしまう。

「考え直す」ことはとても負荷が高い、だから、脳は無意識的にそれを避けてしまう。

多くの場合、私たちの思考様式は、考えたり、話をしたりする時、無意識に三つの職業の思考モード、すなわち「牧師」「検察官」「政治家」に切り替わるというのだ。
(中略)信念がぐらついている時は牧師の思考モードとなり、理想を守り確固としたものにするために説教する。他者の推論に矛盾を感じれば、検察官の思考モードに切り替わり、相手の間違いを明らかにするために論拠を並べる。多くの人を味方につけたい時は政治家モードになり、支持層の是認を獲得するためにキャンペーンやロビー活動を行う。

「牧師」「検察官」「政治家」モードという自らの意見を固辞する思考になっていることはないか、と反省させられます(この3種のモードに対するのが「科学者」モード)。

一つの目標のために全力で打ち込んでいるが、それがうまく進まない時、私たちは直感的に「考え直さない」ことが多い。そのかわりに倍賭けし、より多くの資金や労力を投入する傾向にある。このパターンは「立場固定」といわれ、心理的バイアスの一つだ。
(中略)だが、もう一つ大きな原因がある。それは皮肉にも、私たちが成功の原動力として崇めている資質ーー「根性(グリット)」だ。

特に興味深いのがこの部分。「グリット」にも気を付ける点があると。


本の最後には、再考スキルを磨くための30の秘訣が書かれています。

自分も、他人も、組織も、様々な要因で思考が凝り固まってします。

だからこそ、多くの工夫や努力を行うことで、それを防ぐ示唆も本書からは得ることができます。


「変化なくして進歩はありえない。」

「自分の考え方を変えられずして、どうして他の何かを変えられようか。」

良い方法へ進み続けるためにも、まずは己から変わり続けよう、とそんなことが心に残る一冊でした。


【本の抜粋】
知性とは従来、考える・学ぶ能力であると認識されている。しかし、変化の激しい時代を生きるために、考えること・学ぶこと以上に貴重な認知スキルがある。それは、「考え直す、学びほぐす」能力だ。

この問題の一端は、思考の怠惰にある。人は概して「認知的倹約家」なのだという専門家もいう。私たちが既存の考え方に執着することが多いのは、そのほうが考え直すよりもずっと楽だからだ。
だが、それだけではない。再考を躊躇する原因は、私たちの心の奥深いところにもある。再考すべきかもしれないと自問することで、目の前の世界が予測不可能になってしまう。

多くの場合、私たちの思考様式は、考えたり、話をしたりする時、無意識に三つの職業の思考モード、すなわち「牧師」「検察官」「政治家」に切り替わるというのだ。
(中略)新年がぐらついている時は牧師の思考モードとなり、理想を守り確固としたものにするために説教する。他者の推論に矛盾を感じれば、検察官の思考モードに切り替わり、相手の間違いを明らかにするために論拠を並べる。多くの人を味方につけたい時は政治家モードになり、支持層の是認を獲得するためにキャンペーンやロビー活動を行う。

科学に従事している人であれば、再考することは仕事の基盤だろう。何しろ、自分の理解の限界を常に意識することが、科学者の役目なのだ。

心理学者は、この現象を「バイナリー・バイアス」と呼んでいる。バイナリー・バイアスとは、複雑に連関した事象を二つのカテゴリーに分けることで単純化し、明確性、認知的閉鎖を手に入れようとする人間の基本的な傾向である。
(中略)バイナリー・バイアスのこうした好ましくない傾向への対処法は、「複雑化」である。

一つの目標のために全力で打ち込んでいるが、それがうまく進まない時、私たちは直感的に「考え直さない」ことが多い。そのかわりに倍賭けし、より多くの資金や労力を投入する傾向にある。このパターンは「立場固定」といわれ、心理的バイアスの一つだ。
(中略)だが、もう一つ大きな原因がある。それは皮肉にも、私たちが成功の原動力として崇めている資質ーー「根性(グリット)」だ。

インパクトのための行動〜再考スキルを磨くための30の秘訣〜
Ⅰ 自分の考えを再考する方法
A 再考する習慣をつける
1 科学者のように考える
2 信念ではなく、価値観に基づいて自分を定義する
3 自分の意見に反する情報を探す
B 自分の自信度を調整する
4 マウント・ステューピッドの頂上で立ち往生しないように注意する
5 会議心のメリットを活かす
6 自分の間違いを喜ぶ
C あなたの考えを他者に評価してもらう
7 知り合ったすべての人から新しいことを学ぶ
8 「応援ネットワーク」だけでなく、「挑戦的ネットワーク」もつくろう
9 建設的な対立を恐れない
Ⅱ 相手に再考を促す方法
A よい質問を投げかける
10 説得力のある傾聴法を身につける
11 「なぜ」ではなく「どのように」を考える
12 「どのような証拠であれば考え直してみようと思いますか?」と尋ねる
13 相手の意見はどのように形成されたのかを尋ねる
B 意見の相違は対立ではない。ダンスのようにアプローチする
14 共通の基盤を見出す
15 「少ない」ほうが得るものが「多い」
16 選択の自由を強調する
17 対話について対話する
Ⅲ 学び、再考し続ける社会・組織を創造する方法
A より多くのニュアンスを含んだ対話をする
18 世論を二極化するトピックを複雑化する
19 矛盾や不確実性に言及することを恐れない
20 あなたの感情の枠を広げる
B 子どもに再考について教える
21 根拠のない神話を崩すための会話を週に一度、夕食時に行う
22 子どもに複数の草案を書かせて、他者から意見を求めるように促す
23 「大きくなったら何になりたいか」と子どもに尋ねない
C 学ぶ組織を築く
24 ベスト・プラクティスを払拭する
25 心理的安全性を確立する
26 常に再考のスコアカードをつける
D 視野を広げ、自分の将来について再考する
27 十年計画を立てない
28 環境だけではなく、自分の行動も再考する
29 人生のセルフチェックを定期的に行なう
30 時間をつくり、再考する

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