(北海道十勝の農家6代目による週次の読書メモ)
「書くこと」、「つくること」と向き合える1冊。
そう帯に書かれた本書『取材・執筆・推敲』。
編著書累計93冊、1100万部超。代表作にはベストセラー『嫌われる勇気』があるライター古賀史健さん。
古賀さんが、「書くこと」「伝えること」を本気で向き合おうとする人へ綴ったのが本書となります。
本書で節々から伝わるのは、「書くこと」は「つくること」だと。そして「つくること」の鍵は編集だと。
「誰が、なにを、どう語るか」、「①情報の希少性②課題の鏡面性③構造の頑強性」。
自分が何かのメッセージを書く(つくる)とき、この2つを心の中で反芻したいものです。
本書は、これまでの筆者のライター人生を凝縮したようなものであり、随所に参考となる箇所があります。その中でも、特に印象的であったのは、取材、つまり、執筆以前のインプットに関する内容です。
自らが世界と向き合い、自らが世界を捉える必要性。
「書くこと」に関して、昨今の話題書としては『読みたいことを、書けばいい』が思い浮かびます。こちらの筆者(田中秦延さん)は、本書と比べると、もう少し気軽な気持ちで書くことと向き合う尊さを綴っていました。
しかし田中さんも同様に、読み手の目線は全く気にする必要がないと言うスタンスであっても、「好き勝手書くな、徹底的に調べる努力をしてから書くべき」と強調する箇所は、古賀さんと共通しています。
「徹底した取材者であれ(古賀史健)」
「心象を語るためには事象の強度が不可欠(田中秦延)」
「書くこと」を生業とし、人生をかけ「書くこと」に向き合ってきた方々が、インプットに重きを置いていること。これが、何よりも心に残ります。
(あー…既視感があると思ったら、星野道夫さんだ。星野さんもまた、優れた観察者であり、優れたつくり手(写真家)であり、そして書き手(詩人)だった)
何かを言葉にする(書く)者として、何かをつくりだす者として、人・世界を読むことへ徹底的に向き合っていきたい。そんな気持ちにさせられる1冊でした。
P.S.
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