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美術鑑賞記録 森美術館 「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」 2022.3.28 追記 2022.5.3再訪

鑑賞記録

3/28 森美術館 「Chim↑Pom展:ハッピースプリング」
料金 1000円(期間限定18時以降グループ割引)

広島や渋谷で物議を醸してきた、彼らの活動をじっくり観られる展示であった。
都市と政治、芸術と政治、空間と政治、公共空間の再定義など、法・政治哲学系の私には示唆に富む内容に感じられた。

「Asia Art Biennial 2017」で展示(?)された「道(Street)」は、国立台湾博物館の敷地内にアスファルトとで道を築き、公道の持つ公共性を問い直した。「ひまわり運動」をリスペクトしたものだという。本展では「道(Street)」の概要が模型で示されたり、完成の際の挨拶の映像が流されたりしていた。
都市を通じた問いは、他にも行われていて、破壊と再生を意識して、解体予定のビルを利用した展示についても模型を用いて解説されていた。なお、都市絡みの展示は、美術館内に足場を組んで展示されているのも興味深い。

あとは印象深いのは、Chim↑Pomといえばコレと言うべき、核や原子力に絡む展示だろう。スカイライティングで広島の空に「ピカッ」と書いた事件は、何もない空にも政治性はあり、またそれは実に繊細なものであることを浮かび上がらせた。
渋谷駅の連絡通路上の岡本太郎作「明日の神話」に無許可で爆発する原発をイメージした絵を付け足した「LEVEL7 feat.明日の神話」は、その行為そのもので、軽犯罪法違反(はり札)で捜査された(不起訴)ことは、軽犯罪法の危険性(濫用されると社会が萎縮する)を炙り出し、原子力への批判が、権力に如何に不都合かという事実を芸術が炙り出した。芸術の持つ政治性をよく示したと言えよう。
原発の付近に入り、真っ白の旗にスプレーで最初に赤い丸を描き(明らかに日の丸を意識している)、そこに加筆して放射能標識を完成させてみせた映像作品「REAL TIMES」は、戦後日本のエネルギー政策の過ちを皮肉った痛快な作品であった。


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最後にこれは作品ではないが、興味深いものがあったので記述する。
Chim↑Pomが竹内公太(「指差し作業員」のその人である)らと行っている、帰還困難区域内の民家に設置され、自由に観ることができないプロジェクト「Don't Follow the Wind」を音声で紹介するコーナーがあったのだが、森美術館(六本木ヒルズ森タワーの53階である)の景色を楽しめるスペースに設置されており、煌々と光る東京の街を観ながら、そのプロジェクトの紹介を聴くのは、我々も福島の加害者の一人であり、東電だけの問題ではないということを暗示している様であった。

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#六本木 #六本木ヒルズ #森美術館 #美術館 #美術 #芸術 #アート #art #chimpom


追記

5.3に同展覧会を再訪した。

理由は、応援している役者の山中志歩さんが、同展の企画「道を育てる」に参加し、わらしべ長者をやるというので、応援するためである。

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相変わらず、素晴らしい笑顔。

私は東京メトロの24時間券を持参し、山中さんのちいかわのシールと交換。会えて嬉しかったです。


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