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【2021年10月/11月版】デジタル・クライシス(炎上)の傾向について

こんにちは!デジタル・クライシス総合研究所です。

今年も残すところ、あと僅かとなり段々と寒さが身に沁みる季節となってきました。10月、11月の世間の動きとしては、日本の新たなリーダーとして岸田文雄氏が選出され、第2次岸田内閣が発足。また、新型コロナウイルス感染症拡大が落ち着きを見せ始め、人々の暮らしが戻ってきたように感じられたのも束の間、「オミクロン株」が新たに確認され、今後の感染症対策に注目が集まりました。

新型コロナウイルス感染症拡大もまだまだ気の抜けない状態が続きますが、それはネット炎上においても同様です。10月、11月も被害を受けた企業や個人は数知れず、業種業界問わず炎上が確認されています。

今月も以下記事に引き続き、2021年10月、11月に起きた炎上件数や内容・世間の反応などをご紹介していきます。

企業のマーケティング・広報担当の方やSNSを頻繁に利用する方は、こちらの記事を定期的にご購読いただき、炎上傾向の把握にお役立てください。

2021年10月/11月内に起きた炎上件数と内訳

それでは早速、2021年10月/11月内に起きた炎上のデータについてご紹介していきます。
※調査対象は、Twitter・Facebookなどの主要SNSをはじめYahoo! ニュース・アメブロ・FC2ブログ・Yahoo! 知恵袋・2ちゃんねるなどです。

上記は、2019年・2020年・2021年の同じ時期に発生した炎上件数をグラフ化したものです。

2021年10月は142件、11月は122件の炎上が確認され、9月の153件と比較すると10月は10件ほど、11月においては30件ほど減少していることがわかります。
昨年・一昨年のデータとそれぞれ比較すると、10月まではコンスタントに増加していた炎上件数も11月には例年を下回る件数が確認され、少し落ち着きを感じられる結果となりました。

しかし近年は毎月100件を超える炎上があり且つ、10月までは毎年10件程度のペースで増加していたことから、まだまだ油断できない日々が続くと考えられます。さらに、年ごとの平均値で比べてみても2021年度の発生件数が圧倒的に多く、年を経るごとにその勢いを増しているのが近年の炎上傾向と言えるでしょう。

問題行動の内容別内訳

では次に、どのような行動が原因で炎上に至ってしまったのか、問題行動の内容別内訳を見ていきましょう。

なお、各内容は下記のように分類・分析を行っています。


【10月:問題行動の内容別内訳】
【11月:問題行動の内容別内訳】

10月は「2-3」 (非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為 )42.3%と最も高く、次いで29.6%「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)に該当する炎上が多いという結果になりました。
11月は10月の結果と異なり、「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)39.3%と最も多く、次いで27.9%「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)に該当する炎上が多い結果に。

上記の結果から炎上傾向に変化があったと言えるものの、
引き続き「2-3」(非常識な発言・行為、デリカシーのない内容・発言・行為)「2-4」(その他、特定の層を不快にさせるような内容・発言・行為)注意をすべきカテゴリであると言えます。

(その他、特定の層を不快にさせる内容・発言・行為)の具体的なものとしては、「女性問題」「LGBT問題」「差別・偏見」「誤爆ツイート」などが挙げられ、時代錯誤だと誤認される発言や行動を無意識で行っていないか作成したCMや広告などの表現も誤認される内容ではないかなど、改めて確認することが重要です。再度ジェンダー関連での炎上が増加傾向にあるということを念頭に起き、PR活動やSNS運用を行いましょう。

また、現代では何気ない発言や行動でも、人々の心理の複雑化から意図していない捉え方をされてしまう場合が往々にしてあります。
自身が加害者側となってしまわぬよう改めて意識をし行動するなど、個人でもそれぞれ注意していく必要があるのです。

炎上内容の詳細区分

【10月:炎上内容の詳細区分】
【11月:炎上内容の詳細区分】

続いて炎上内容の詳細を分析したところ、「その他」を除くと、「暴言・暴力」に 関する炎上事案がもっとも多く、10月11月ともに15件、次いで10月は「品質の悪さ」「SNS運用(誤爆・公私混同)」に関する炎上事案が13件、11月は「差別・偏見」「女性軽視」に関する炎上事案が13件ありまし た。

9月はコロナ関連の炎上事案が27件(その他を除く)ともっとも高かったのですが、10月11月は鳴りを潜めていることがわかります。感染者数が100人を下回りコロナ事情も少し落ち着きを見せたタイミングでもあったため、比例して炎上も少なくなったのではないかと思われます。

しかし、「暴言・暴力」による炎上事案がもっとも多いという点から、日に日に炎上が悪質化しているようにも思えます。また、SNS誤爆・女性軽視・差別による炎上が発生していることから、企業に所属する方々は今一度慎重なSNS運用・チェック体制の構築や確認をおすすめいたします。

2021年10月/11月に起きた炎上事例

それでは、ここで10月・11月に実際起きた炎上事例をご紹介していきます。

10月11月は芸能人・政治家のSNSに絡んだ炎上や、バイトテロ、企業や自治体の活動・PRに対する炎上など、さまざまな事例が確認されました。

某ファッションブランドの炎上

参照:https://www.bbc.com/japanese/58812213

世界的に名を馳せる某ファッションブランドが、パリで行われたファッションショーで披露したアクセサリが不適切だと炎上してしまった事例です。

問題のアクセサリはモデルが首から付けていたロープを模したネックレスで、ロープの端を引っ張ると輪が閉まる様が「絞首刑などに使われる引き結び」を連想させるとして、批判を浴びました。

上記の事例が起こる2年前に別のファッションブランドが、今回の事例と同じロープ型のアクセサリを発表し炎上したことがあり、このときの教訓を活かせなかったことが強い批判につながった可能性があります。

立憲民主党、原田ケンスケ氏の炎上

岡山県で立憲民主党の新人として立候補を予定している原田ケンスケ氏が、過去にTwitterへ投稿したツィートが物議を醸し、大炎上に発展した事例です。

過去と言っても近年の投稿が問題になった訳ではなく、今から8~9年前という古い投稿を掘り返されてしまったのが印象的です。投稿では、女性蔑視とも取れる発言をしているのが見て取れます。

また、上記以外にも複数の不適切な発言を繰り返していたこと・選挙に立候補したタイミングも合わさり、各方面からの批判が相次ぎました。

観光庁後援、温泉むすめに批判が集まる

政府観光局が推進する『温泉むすめ』が、卑猥すぎるのではないかとネット上で炎上した事例です。

『温泉むすめ』は、日本全国の温泉地や地方都市の魅力を国内外に発信するために作られた二次元キャラクターですが、事細かに決められている各キャラクター設定が卑猥ではないかとネット上で話題に、批判が集まる事態になりました。

批判を受け一部のキャラクター設定が変更、さらに批判が集まる前まで記載されていた公式サイトの後援企業欄も新しいページに更新するなどされています。

広島県、“働く女性応援”冊子が炎上

広島県が出した『働く女性応援よくばりハンドブック』という冊子に、ネットで批判が続出し炎上した事例です。

仕事と育児の両立に役立ててほしいと、昨年県が発行。11月、無料配布のお知らせを県がツイートしたことがきっかけで、全国的に注目されました。

まず「働く女性応援よくばりハンドブック」というタイトルに対して、
”働かないと生活できない母親もいる。”
”子どもがいて仕事をするのは「よくばり」なのか”
と批判が集まり、問題はそれだけに留まりませんでした。
掲載されているパパのイラストは困り顔で
”仕事で疲れているのに夜泣きを我慢している、育児も「手伝って」いるのに、さらに妻が負担を要求するなんて…”

という内容に非難が殺到する事態に陥りました。

炎上事例に対する世の中の反応とは?

では、ご紹介した炎上事例に対する世の中の反応はどのようなものだったのか見ていきましょう。

某ファッションブランドの炎上に対する反応

「マーケティング手法のひとつ」
「歴史的に絞首刑と人種差別は直結しているんだよ」
「行き過ぎた想像力」

SNSの反応はまちまちですが、大半が同ブランドを糾弾するような反応を示していました。歴史あるハイブランドだからこそ、当たりが強くなってしまったのかもしれません。

一方で、「マーケティング手法なのでは?」という意見も挙がっていますが、採用したデザインが奇抜すぎる故に批判を強めてしまいました。

原田ケンスケ氏の炎上に対する反応

「立憲、こんなのばっかりかよ。。」
「普通こんなツイートしない…内輪ネタでも気持ち悪い」
「未成年の方は近づかないようにしてください」

他の炎上に比べ、辛辣な意見が噴出してしまった印象です。女性蔑視はもとより、その対象が未成年に向けられていた点が炎上を加速させてしまったことは言うまでもありません。

また、同じ党内に似たような炎上を起こしてしまった方がいたことから、政党に対する批判にもつながりました。対象が個人の場合、裁判に発展する可能性もあるので、特に気を付けたいカテゴリであると言えます。

温泉むすめの炎上に対する反応

「温泉むすめはさすがにあかん。」
「スカートめくりどうのこうのってマジで止めろ」
「後援企業は性差別を問題であると認知しないと認識した」

温泉むすめそのものにだけでなく、観光庁や後援企業にまで批判が及んでいることがわかります。女性軽視犯罪教唆と誤解を生むのではないか?と事前にチェックができていれば防げた事例だったかもしれません。

また、過去の事例にもあったように、二次元キャラとはいえ女性キャラクターを扱うときの見せ方や設定など、公開前のチェックは慎重に行い、誤解を生むものではないか改めて確認することが炎上対策として非常に重要です。

ただ、この事例に関して実は「擁護や肯定の声が多かった」ということもわかっています。炎上したから買わない・賛同しない、ではなく、各々が正しい世論の流れを把握した上で事案を判断することも重要です。
参考:https://news.yahoo.co.jp/byline/toriumifujio/20211122-00269110

広島県の炎上に対する反応

「パパは親で当事者なのに、なぜ周囲の人扱いになるのか謎」
「働かせたいのか圧力かけたいのかどっちやねん」
「これ発行される前に誰も気づかなかったのかな。」

このように、女性軽視だと思われてしまう内容は非常に炎上しやすい傾向があり、この事案はまさにそのとおり炎上してしまったと言えます。

また、「発行される前に誰も気づかなかったのか」という投稿から、組織のチェック体制に問題があるのではないかと疑われてしまいました。

企業のみならず自治体や行政機関においても、今の時代にあったチェック体制の強化・構築が必要なのです。

まとめ

今回も炎上傾向・実際の炎上事例についてご紹介しました。

9月と比べ炎上件数自体は減っているものの、依然として高い数値を維持しており、その炎上原因が多様化し年々複雑化してきているような印象を受けます。

企業の方は改めて気を引き締め、心理的に複雑化しているユーザに配慮したマーケティングを取り入れたり、クリエイティブチェック体制や危機管理体制の整備・構築をおすすめいたします。

また、弊研究所では企業の広報担当者などに向けて、最新の炎上傾向を調査・分析し、お知らせしています。
その時期やタイミングによって炎上の傾向というものが変わるため、月に1回炎上研究レポートの配信や、会員企業向けの炎上事例勉強会を行なっています。
勉強会で得たケーススタディを自社のリスク対策に活かしていただくことで、より強固な危機管理体制の構築ができるかと思いますので、もしご興味をお持ちいただけた方がいらっしゃいましたら、HPのお問い合わせに記載されている電話番号、もしくはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。

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引き続き皆様のお役に立てる情報を発信していきたいと思いますので、
何卒よろしくお願いいたします。

最後までご覧いただきありがとうございました!


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