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「食べ物」この不思議なもの

大昔、といっても私が子供の頃、バターより健康な食品だから、とマーガリンが食卓にありました。
動物性のバターよりも植物性のマーガリンの方が飽和脂肪酸を含まないから健康的だ、と。

ところ が近年、マーガリンにはトランス脂肪酸が多く含まれていることから、一気に悪者へと評価が変わりました。食べるプラスチックなどと言われるようになり、アメリカではついに2020年、トランス脂肪酸が一切禁止となるほどでした。
脂肪を多く含む食品は健康のために避けるべきだ、と考えられていた頃、アボガドの評価は低いものでした。
ところが一価不飽和脂肪酸がコレステロール値を改善するとわかって、急にアボガドは健康的な食べ物だ、ということになりました。

栄養学で新たな発見があるたびに、かつて健康に良いとされたものが悪いものになったり、逆に悪いとされてきたものが良いものになったり、
こうして庶民は翻弄されているわけです。

栄養学っていうもの、なんだか以前から私は信用できない気がしていました。

いつも、本当かなぁ?という思いがありました。

食品を栄養素としてのみ見る考え方をニュートリショニズム、というそうです。
ジョージー・スクリニス博士の論説、2002年『Sorry Marge』(ごめんね、マーガリン)の中で初めて出た言葉だと言われています。

またカリフォルニア大学のマイケル・ポラン教授の記事や著書「食べ物を守るために」(2008年)でその言葉が引用されたことで広く知られるようになりました。

栄養素は、目に見えません。そして、ひとつの食品の中には数えきれないほどの栄養素、また化学物質が含まれていて、その中の1つの栄養素を取り上げ、それが健康に良いとか悪いとか言っているわ けですが、様々な栄養素が体内へ吸収される時、どんな相互作用が起きているのか、どの作用が健康効果をもたらすのかを特定することは、とても難しいのではないか、と単純に思ってしまいます。

でもDHAやEPAが、体に良いとされると魚が注目され、コンビニでもサラダチキンではなく、サラダフィッシュなるものが並ぶようになりました。

このニュートリショニズムは都合の良いように、商売に利用 されているだけでは?
と、つい思ってしまいます。

食品の記号化とも言えるなぁと感じます。

食を、誰と食べるか、どうやって食べるか、美味しいという観点をどこに置くのか、
もしくは「かつての命」をいただくことへの感謝などは、どこへいってしまうのだろうか、

または、パプア高地人のようにタロイモしか食べなくても、つまり、タンパク質をほぼ取らなくてもちゃんと筋肉ができる理由や、ブレザリアンのよ うに食べなくても元気な人を、いったいどう説明するのだろう、と。

「食」に関しては不思議なことがいっぱいあります。

「作りたい女、食べたい女」では、最近、人と一緒に食べられないお隣さんが登場。会食恐怖症という言葉も初めて聴きました。
過食症、拒食症、食べ物にまつわる心の病気と言われるものはたくさん、あります。


「食」を考える時、もっと多面的にもっと立体的に考えたい、
まずは自分の常識を、一度、疑ってみるところから始めたいですね。

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