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障害者でもプリンセスになれますか?【前編】

はじまりは11月だった。

切れそうで切れない糸みたいに細々と活動していたインスタに一通のDMがきた。



「プリンセスになってみませんか?」


ここから戦いははじまった。

何のことやらと詳しく話聞いたら腰抜かし気味でびっくりした。声も出た。

プリンセスの正体はMs.Princessといういわゆるミスコンだった。

ミスプリと略すらしい。教わった。


『この人私のプロフ見てDMしとるん?』
『車椅子で障害者って書いてあるやん。』

言わずともがな湧いてくる不安が。


私、参加できるのん?どうせ無理っしょ。


これまでありとあらゆる方面で我慢してきた。

行きたいお店も階段があれば我慢。
写真で撮りたいポーズも立たな無理なら我慢。

今回もどうせ我慢。

プロフィール見てからDMしてよ。
期待させないでよ。と毎回思う。


「障害者(車椅子)ですが参加可能ですか?」



一応聞いてみた。一応。


「確認してみます。」



ほら見ろ。プロフ見ないでDMしとんなよ。


数日後ちょっとお偉いかたとお話したら参加できると。

〝ラジオ出演権〟
〝授賞式招待〟

って特典あった。

細々しすぎた活動をしてた私にはこれはビックチャンス。

不安やばいけど何とかなるべ。


出てみた。


前代未聞の、赤子も驚く、身体障害者のミスコンがはじまった。

審査内容は、Mixchannelってアプリでの配信と、Webの投票があった。

1月18日からはじまったミスプリ。

初日はお仕事を有給で12時間配信。

審査はポイント制で初日は貰ったポイントが1.3倍になるから、ギリのギリッギリまでやるから、12時間。

ずっと座ってるとやっぱ健常者より腰とか痛くなるん早いのよ。

12時間はきつい。



〝夢を見るのは誰にも止められない〟
〝個性と向き合い個性を開花〟
〝誰かの憧れになりたい〟


めっちゃ魅力的なこと書いてあるから。

この時はまだ、やりたい、より、まぁやるか、だった。

でも配信はしんどいもある。
楽しいももちろんあるけど。しんどいもある。

iPhoneには1人でひたすら喋る自分がいる。傍から見ればやばい人。

それを12時間。

給料出る?これ?

コメントしてくれるから成り立つ。

コメントがない時、画面の向こうに誰もいない時、いや、見ててもコメントしない人もいるから、無言はよくない。

途切れないように、同じことを、口癖のように、唱える。


長くて短い12時間が終わった。

Twitterを見たらDMがきてた。


悔しいですねぇ。もはや笑った。
これだけ頑張って、泣きたくても泣けなくて、すました顔で全部受け入れてこれですか。

筆箱にコーヒーゼリー入れてシェイクしてやりたくなった。


それでも応援してくれる人のおかげでポイントはどんどん増えていった。




3位になった日もあった。



まぁやるか、がやりたい、に、やってやる、に変わった。

野球をやってた頃以来の、6年ぶりの、本気だった。


_____つづく🙏🏻

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