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言葉は救急車


私はありがたいことに障害者雇用で一般企業で働かせてもらってる。

でもうちの会社はバリアフリーじゃないから、入口に段差があって、階段もある。

私は、会社用と普段使い用で2台車椅子持ってて、会社用は寝泊まりさせてるから段差があっても乗り移りで乗り越えられるし、

階段は登れないから1階でずっと仕事してる。

別に不自由はない。


2日前のこと。

会社に行ったら、みんな掃除してた。

脚立に乗って、窓拭いたり

玄関をほうきではいたり、、


私は邪魔にならないように待機してる。

だって、きっと、できることはない。

誰も何も言ってこないのが証拠かと思ってる。

自分からは声はかけない。

もし、作業が遅い私にできることがなかったら、声をかけた人が断りにくいから。

思えばずっとそう。

高校を卒業してすぐこの会社に就職して。

たぶん身体障害者だから、

みんな扱いに戸惑いがあるんだと思う。

わかってるよ。

病気になって、障害者になって、中学校に復学した時とおなじ。

みんな私を嫌いなわけじゃない。

わからないだけ。

嫌われてるかもだけど( ・∇・)


何も聞かれたことがないから。

「障害って生まれつきなの?」

「学校は普通校?」

「部活は?委員会は?」


これでも私、就職して1年は頑張ったんだよねぇ

女性の先輩に、成人式の髪色の相談してみたり、

好きなアーティストの話してみたり、

健常者でも障害者でも、平等に話せる話題を持ちかけてた。

でもそれはいつも私からで、

たまには話しかけてくれないかなぁ

ちょっと期待したりもした。けど、

もういいや。疲れたし、笑


だから掃除も大人しく待ってます。寂しいけど。寂しいけど!!

でもその時ね、


「みんなと一緒に掃除しますか?」




そう言ってくれたのは、所長だった。

真っ黒で不気味で、誰も近づこうとしないような心のドアを、新築のドアみたいに笑顔でノックしてくれた。

所長だった。

親子ほどじゃないけど、年の離れてる

所長だった。


所長は今年うちの支店に異動してきたから、就職したばかりの私を知らない。

ぎこちなかった私を知らない。

だからなのかな、

こんなにも軽く扱ってくれるのは。


何年も背負ってきて、もう消えないと思った胸のズキズキが、誰かのちょっとした一言ですこし和らいだりする。

所長にとっては、なんてことない一言だったかもしれない。

でも、私にとっては、潰されそうなくらい重いものが、すこし軽くなるような、涙が出るほど嬉しい言葉だったのだ。



言葉ってすごくて。

時には鋭い凶器になるけど

時には体でも覆いきれないものを覆う

だから純粋に単純でいいんです。

言葉を大事に、責任をもって、

「ありがとう」「ごめんなさい」

私の言葉も誰かの隙間を埋めれるような、

かけがえのないものだったりするのかな。

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