花咲紗英

暗号資産の情報を発信中。海外記事や文献を参考に分析。金融機関・シンクタンク出身、現在海…

花咲紗英

暗号資産の情報を発信中。海外記事や文献を参考に分析。金融機関・シンクタンク出身、現在海外在住。規制関連情報も追跡中です。

最近の記事

🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年5月2日):

証券取引委員会(SEC)による執行措置は2018年以降顕著に増加しており、2023年には46件という最高記録を更新しました。 これらの措置の多くは、詐欺や未登録の有価証券の募集など、様々な違反行為に対するものでした。特に、ICOに関連する執行措置は約37%を占めていますが、これは2022年の47%から減少しており、SECの焦点がICOから他の領域に拡大していることを示しています。例えば、SECはNFTに関連する執行措置を初めて講じました。また、SECはレンディングやステーキ

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    • 🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年4月29日):

      証券取引委員会(SEC)が暗号資産セクターに対する規制を強化する中、etherの証券性の議論が続いています。特に、etherの現物ETFの承認がされるかどうかに注目が集まる中、etherの証券性についての関心が再び集まっています。このレポートは、「SECの規制アプローチ」と「SEC vs ether」に関する情報をまとめます。 SECの規制アプローチSECは、不正や詐欺を防ぎ、投資家を保護するという使命のもと、暗号通貨分野に対して積極的に規制を行なっています。近年、暗号資産

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      • 🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年4月25日):2023年、CFTCによる暗号資産セクターへの執行が過去最大になる

        2023年、商品先物取引委員会(CFTC)による執行活動は、暗号資産分野において前例のない規模と範囲で行われました。その執行数は過去最大の47件となり、総執行件数の約49%を占めます。下のグラフの通り、CFTCによる執行は毎年増加傾向にあり、規制強化が進んでいます。 CFTCの執行は、暗号資産セクターの様々な違反を対象にしており、詐欺、市場操作、登録違反が含まれます。これらの活動は、大手プラットフォーム及びその幹部なども対象にしています。CFTCが特に注目するべき訴訟案件と

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        • 🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年4月22日)

          2024年も引き続き、米国証券取引委員会(SEC)は、暗号資産分野における規制において中心的な存在です。2024年3月に発生した3つの事案は、SECがどのようにして暗号資産業界に対してその規制権力を行使しているかを示しています。 SECとShapeShiftが和解:SECの執行による規制が継続中2024年3月5日、証券ディーラーとしての登録を怠ったとしてSECより提訴されていたShapeShift AGは、SECと和解し、27万5000ドルの罰金を支払うことに同意しました。

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        🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年5月2日):

        マガジン

        • 米国暗号資産規制ニュース
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        • web3の思想を理解するには前提知識が必要
          5本

        記事

          🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年4月19日)

          本レポートでは、2024年3月に起きた米国の暗号資産規制に関する動きとして、注目すべき3つの出来事について解説します。 1)BlockFiとFTXが和解に達し、BlockFiは8億7450万ドルの請求が認められる2024年3月6日、BlockFiとFTXは和解に達しました。この和解により、BlockFiはFTXの債務者に対して1億8520万ドル、Alameda Researchに対しては6億8930万ドルの請求が認められ、合計で8億7450万ドルになります。この和解は裁判所

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          🇺🇸米国暗号資産規制ニュース(2024年4月19日)

          🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月18日)

          本レポートは、暗号資産業界における二つの重大な判決について書きます。第一に、Terraform Labsとその共同創設者Do Kwon氏が証券詐欺で有罪とされた事件について、第二に、暗号資産取引所FTXの創業者Sam Bankman-Fried氏が顧客と投資家に対する詐欺罪で25年の刑を受けた事件についてです。これらの判決は、米国における暗号資産分野規制において重要な法的前例となりそうです。 Terraform LabsとDo Kwon氏、証券詐欺で有罪判決を受ける2024

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          🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月18日)

          BlackRockのBUIDLと急成長する米国債のトークン化市場

          背景 2024年3月、BlackRockはトークン化投資ファンドBUIDL(BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund)を立ち上げました。Ethereumブロックチェーン上に構築されたこのファンドは、毎月配当をトークンとして直接投資家のウォレットに配り、米ドル建ての利回りを提供します。 BlackRockは、世界最大の資産運用会社であり、2023年12月末時点で約10兆米ドル(約1,411兆円)の運用資産を管理して

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          BlackRockのBUIDLと急成長する米国債のトークン化市場

          🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月12日)

          本レポートでは、証券取引委員会(SEC)による暗号資産市場に対する規制強化の最新動向と、Coinbaseとの訴訟に焦点を当てます。SECは、証券法及び判例に基づき、投資家保護を最優先事項として、暗号資産分野の規制を強化しています。 サマリーSEC Speaksカンファレンス:2024年4月、SECは投資家保護の重要性を強調し、暗号資産の規制強化を続ける意向を示す。 Coinbaseとの訴訟:SECはCoinbaseが未登録の証券ブローカー、証券取引所、証券クリアリング機関

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          🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月12日)

          🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月11日)

          最近の米国における暗号資産規制の動向を見ると、商品先物取引委員会(CFTC)、証券取引委員会(SEC)、司法省(DOJ)などの連邦規制当局による取り締まりが継続しています。具体的には、デジタル資産の商品または証券としての分類、コンプライアンスの重要性、内部告発者プログラムおよび詐欺への対応などです。本レポートでは、2つの重要な事例を要約します。 サマリー CFTC対KuCoin(2024年3月26日): CFTCは、商品取引法違反でKuCoinに対して訴訟を提起し、特定の

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          🇺🇸米国の暗号資産規制ニュース(2024年4月11日)

          🇺🇸米国規制ニュース(2023年5月22日)

          早速、本日のニュースを送りします。 SEC訴訟件数急増、2022年半数に迫る勢いで増加メディア記事によると、SECによる訴訟件数が急速に増加していると報道されています。2023年4月までの訴訟件数は、既に2022年のほぼ半数に迫る勢いだとされています。 実際に、SECのウェブサイト等から訴訟件数の傾向を調べたところ、若干の件数の違いはあるものの、その増加の勢いを確認することができます。👇 暗号資産が証券か商品かを決定するのは、非常に政治的な駆け引きが強く関わっています。

          🇺🇸米国規制ニュース(2023年5月22日)

          🇺🇸米国規制ニュース(2023年5月19日)

          今週も早くも金曜日になりました。もう週末ですね。皆様、良い週末をお過ごしください。では、本日の米国規制ニュースをお送りします。 まとめ:米国の暗号資産業界は、ますます規制に関する話題が注目を集めています。特にステーブルコインの規制やDeFiについて、議員や規制当局が模索している様子が見受けられます。一方、イノベーションの促進と投資家保護のバランスを考慮する議論も話題に上がっています。暗号資産業界が米国から撤退することを懸念する声が出てきてきます。 下院、公聴会でステーブル

          🇺🇸米国規制ニュース(2023年5月19日)

          🇺🇸 米国ステーブルコイン規制法案:本日開催される米国下院公聴会に向けてのおさらい

          本日、2023年5月18日に、米国下院のデジタル資産・金融技術・包摂小委員会が公聴会を開催し、ステーブルコインの規制について協議する予定です。この公聴会は、今年に入って2回目です。本日の公聴会に備えて、前回の公聴会から今日までの動向についてまとめました。 まずは時系列で全体像を表にまとめましたのでご覧ください。👀 2023年4月14日:下院共和党議員が法案を作成公聴会の前に、4月14日に共和党から規制法案が発表されました。主な法案の内容は以下の通りです。 連邦当局の規

          🇺🇸 米国ステーブルコイン規制法案:本日開催される米国下院公聴会に向けてのおさらい

          🇺🇸米国規制ニュース(2023年5月16日)

          この数週間、米国の規制関連の動向が活発化してきているため、定期的に最新情報を提供していきます。 1) SEC、Gensler委員長スピーチ:暗号資産市場には「既に規則が存在している」と述べる概要 SECのGensler委員長は、2023年5月15日、アトランタ連銀が開催する第27回金融市場会議で講演しました。 Gensler委員長は、SECが有用な指針を示していないという批判に対して強く反論し、「私たちの機関は、取引所とは何か、ブローカー・ディーラーとは何か、アドバイザー

          🇺🇸米国規制ニュース(2023年5月16日)

          🇺🇸米国規制ニュース

          みなさん、こんにちは。 このレポートは暗号資産まわりの最新規制ニュースをお届けします。今週は、5月前半の米国での注目ニュースです。 1) デジタル資産法整備における民主党と共和党の対立が熾烈化。米国議会で合同公聴会が開かれる。2023年5月10日 概要 米国下院では、金融サービス委員会と農業委員会が、2023年5月10日に異例の合同公聴会を開催しました。この公聴会は、デジタル資産に関する法整備の緊急性を訴える議員たちの呼びかけによって実現しました。 2022年11月の中

          🇺🇸米国規制ニュース

          web3の思想を理解するための前提知識:【第5話】 ハンナ・アーレント

          ハンナ・アーレントは、ナチス・ドイツから亡命して米国で活躍したドイツ系ユダヤ人の政治哲学者です。「全体主義」についての研究で有名で、自由や多様性を尊重せずに個人の利益を国家の利益に従属させる全体主義を厳しく批判しました。 アーレントは、異なる立場や意見を持つ人々が共存する「複数性」という概念を提唱しました。彼女によれば、政治の本質は、異なる意見を持つ人々が互いに尊重し合い、協力しながら共通の目的を達成することだと考えます。 アーレントの思想は、現代社会において重要な示唆を

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          web3の思想を理解するための前提知識:【第5話】 ハンナ・…

          web3の思想を理解するために必要な前提知識:【第4話】歴史的思想背景の全体像

          昨年から続く企業の破綻や市場価格の下落により、web3分野には停滞感が漂っています。web3企業では、新規雇用の中止やレイオフの動きが見られます。また、市場価格が低迷し続けているため、暗号資産の投資を控えるか、場合によってはやめようと思っている方もいらっしゃるかもしれません。 しかし、このような時期だからこそ、自分自身の考えを整理することが大切ではないでしょうか。そんな中、web3について学ぼうと、Vitalikの本を購入した方も多いでしょう。しかしながら、冒頭の数章を理解

          web3の思想を理解するために必要な前提知識:【第4話】歴史的思想背景の全体像