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働き方・人への投資ワーキング・グループ(規制改革推進会議)

規制改革推進会議(内閣総理大臣諮問機関)のワーキンググループ「働き方・人への投資ワーキング・グループ」の第1回会合が2023年11月15日に開催。また第2回会合は11月20日に開催。


働き方・人への投資ワーキング・グループの基本的な方向性

内閣総理大臣諮問機関の規制推進会議のワーキンググループ「働き方・人への投資ワーキング・グループ」の初会合が2023年11月15日に開催された。

議題は「働き方・人への投資ワーキング・グループの基本的な方向性について」と「自爆営業対策の推進」。

資料によると、働き方・人への投資ワーキング・グループの基本的な方向性としては「人手不足が進む中、賃上げ実現のためには、人への投資と多様な人材が活躍できる環境の整備が重要」とし、労働分野では「生産性の高い企業・産業への円滑な労働移動等を通じた良質な雇用の確保」、教育分野では「革新的サービスの創出・社会実装を担う人材の育成、社会・技術の変化に対応した学校の改革」。

1  労働分野の改革
資料によると、現状は「労働法制が元々前提としていた工場等における集団的・画一的な働き方が変化していく中で、制度の部分的な改革は行われてきたが、制度が複雑化する一方、人口の減少に伴う人手不足や産業・働き方の多様化という足下の課題に対応できていない部分があるのではないか」、また「こうした変化も踏まえ、労働移動も含め、労働者の主体的なキャリア形成を可能とするための制度改革を進めることが、日本経済全体の労働生産性の向上、賃金上昇を実現するために必要ではないか」。

改革の方向性としては、
〇労働移動を前提とした労働市場の改革
・外部労働市場の活性化につながる日本型のジョブ型雇用の導入
・労働市場におけるマッチング機能の強化
・高生産性企業への労働移動の促進
・官民のリボルビングドアの実現

〇労働者の主体的なキャリア形成の促進
・新たな知識・スキル等の獲得、転職・起業の準備・試行としての副業・兼業の活用
・リ・スキリングによる能力向上支援

〇多様な人材が活躍できる環境整備
・労働者が希望する働き方を実現するための制度整備

2 教育分野の改革
資料によると、現状は「教員についても人手不足感が強まる中で、教員数が限られる小規模校等での教育の機会・質の確保、増加する不登校児童生徒への支援などの課題に対応する必要性が高まっている」、「デジタル化・少子化など経済・社会の変化を踏まえ、教員の役割や、学校の参入・退出も変化に合わせた対応が必要ではないか」。

改革の方向性としては、
〇デジタル技術の活用
・オンライン教育の活用による教育機会の確保(離島・僻地等の小規模校等)

〇教員の役割の見直し
・外部人材の活用を通じた教育の質の向上
・教員が担うべき役割の整理

〇教育イノベーションの促進
・学校の参入・退出の円滑化のためのルール整備や制度の見直し
・事後型の規制・制度の充実
・イノベーション・グローバル人材育成のための制度整備

働き方・人への投資ワーキング・グループ委員名簿

<委員>
間下直晃・ブイキューブ会長兼グループCEO
冨山和彦・経営共創基盤IGPIグループ会長
中室牧子・慶大総合政策学部教授
堀天子・森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士
山田義仁・オムロン会長)

<専門委員>
宇佐川邦子・リクルートジョブズリサーチセンターセンター長
工藤勇一・堀井学園理事、横浜創英中学・高等学校長
菅原晶子・経済同友会常務理事
鈴木俊晴・早大社会科学総合学術院教授
水町勇一郎・東京大学社会科学研究所教授
安中繁・ドリームサポート社会保険労務士法人代表社員

働き方・人への投資ワーキング・グループ第1回会議の模様

会議の様子は、規制改革推進室 公式YouTubeチャンネルで視聴することができる。

オンライン教育の活用促進(第2回会議)

第2回「働き方・人への投資ワーキング・グループ」は2023年11月20日に開催される予定。議題は「オンライン教育の活用促進」。

第2回 働き方・人への投資ワーキング・グループ 議事次第(内閣府公式サイト)

副業・兼業の円滑化(第3回会議)

規制改革推進会議(内閣総理大臣諮問機関)の第3回「 働き方・人への投資ワーキング・グループ」が(2023年)12月5日に開催されたが、議題は「副業・兼業の円滑化」となっていた。

その第3回「 働き方・人への投資ワーキング・グループ」の資料5(大津章敬社会保険労務士が作成した)『副業・兼業の事例と促進における課題』には、「労働時間通算にかかる労働基準法38条の解釈を同一事業主内別事業場と位置づけ、別事業主の複数事業場で労働した結果生ずる時間外労働に対する割増賃金の支払いは要しないこととすべきである」などと、労働基準法38条の解釈を変更するという提言がされている。

『副業・兼業の事例と促進における課題』大津章敬社会保険労務士(PDF)

労働時間通算にかかる労働基準法38条の解釈変更(私は国会審議を避ける労働基準法38条の解釈変更に反対)、または労働時間通算にかかる労働基準法38条の改正には労働者側は強く反対するものと予想されるが、今後の労働法制の重要課題となっている。厚生労働省の検討会や労働政策審議会での議論を注視すべきであろう

第3回 働き方・人への投資ワーキング・グループ 議事次第(内閣府公式サイト)

*ここまで読んでいただき感謝!