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テレワークと裁量労働制-つながらない権利と勤務間インターバル

労働者の健康確保に係るヒアリング

これからの労働時間制度に関する検討会(厚生労働省の裁量労働制など労働時間制度見直しを検討・議論する有識者会議)の第11回会合が2022年3月29日が開催され、 「労働者の健康確保に係るヒアリング」が公開で実施された。

その準備資料が厚生労働省サイトにて公開されているが、資料のタイトルは「オフの量と質から考える働く人々の疲労回復」、作成者は久保智英氏(労働者健康安全機構・労働安全衛生総合研究所・過労死等防止調査研究センター)。

久保智英氏は準備資料の中で「労働者に勤務時間への裁量(Work time control)を持たせて休みたいときに休める環境を整えることは労働者のパフォーマンスの向上に効果的であること。しかし、裁量があっても極端に不規則な働き方は、睡眠の質を低下せしめて、疲労回復を阻害する可能性がある」と記載。

また「『勤務間インターバル制度』や『つながらない権利』は新しい時代における働く人々の疲労回復機会の確保には有効だと思われる。しかし、規則ありきではなく、組織や個人の特性を踏まえた取り組みではなければ絵に描いた餅になるだろう」とも指摘。

まとめ
・労働者に勤務時間への裁量(Work time control)を持たせて休みたいときに休める環境を整えることは労働者のパフォーマンスの向上に効果的であること。しかし、裁量があっても極端に不規則な働き方は、睡眠の質を低下せしめて、疲労回復を阻害する可能性がある。

・「勤務間インターバル制度」や「つながらない権利」は新しい時代における働く人々の疲労回復機会の確保には有効だと思われる。しかし、規則ありきではなく、組織や個人の特性を踏まえた取り組みではなければ絵に描いた餅になるだろう。

・そのような意味でも法令順守型の疲労対策に加えて、「疲労リスク管理システム」のような自主対応型の疲労対策を他業種にも水平展開し、労働に関連する疲労リスクを定期的にチェックし、職場環境改善に結びつけるような取り組みは今後、重要だろう。→将来的にストレス・チェック制度の発展系として視野に入れる?

・いずれにしても情報通信技術の発達した新しい時代においてはオフには物理的に仕事から離れるだけではなく、心理的にも仕事の拘束から離れられるような環境を組織的・個人的な取り組みによって確保することが大切。
→サイコロジカル・ディタッチメントの重要性

オフの量と質から考える働く人々の疲労回復(PDF)

「つながらない権利」は睡眠の質の確保する

なお、久保智英氏は『睡眠の質の確保が大切「つながらない権利」の議論を』と題した記事を情報労連のサイトに書いており、その記事の中で「ストレスの解消には、休息の質と量の確保が大切です。勤務間インターバル制度は量の確保である一方、『つながらない権利』は質の確保と言えます」と述べている。

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