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具体と抽象の往還

Safeology研究所の田中です。

前回のnoteで紹介されたライフデザイン・ポートフォリオとは、筆者の山川さん自身が社会人向けに開発した「人生の核心を探求するワークショップ及びワークシート」です。山川さんは、これを改良して、大学生版も開発しました。

私が所属する専攻の1年前期科目「キャリアプランニング」では、この大学生版を実施しています。このワークは、ワークシートへの記入とピアメンタリングを数回繰り返して、学生生活の核心を探求します。基本的には、自分が実践している活動からボトムアップに重要なものや自分の幸せを探求します。ただし、それだけだと、学生生活の核心として、推し活や資格取得などを書く学生が多いのも事実です。私としては、推し活や資格取得は、何のために必要かを深掘りして欲しいわけです。

そこで最近は、マーシャル・B・ローゼンバーグ氏のNVC(非暴力コミュニケーション)で用いるNeedsリストを活用しています。NVCは、①観察、②感情、③ニーズ、④リクエストという4つの要素からなります。NVCでは、たとえば次のように考えます。①「運転中、1台前を走る自動車の運転手が窓から吸い殻を捨てた」という事実を評価せず観察します。②NVCのFeelingリストから自分の感情を探ります。「イライラした、がっかりした、不愉快」など。③感情が生じた源となる自分のニーズをNeedsリストから探ります。「おもいやり、秩序、安心」など。④最後に、ニーズから沸き上がった自他へのリクエストを実践します。この一連の思考を通して、相手が悪いという一方向的な感情から抜け出せ、自分の価値観に寄り添えます。

先述した「学生生活の核心」を書き出した後、NVCのNeedsリストから大切だと感じたニーズを探すプロセスを追加しました。この作業により、具体から抽象へ学生の思考が深まったと感じています。できれば、この抽象から新たな具体を導けると良いのですが…、なかなか難しいようです。

さて、もっと語りたいことはありますが、『今夜はおしまい』

P.S.
この記事の写真は、先週誕生日で同僚からいただいた花束です。

文/田中洋一(Safeology研究所研究員/仁愛女子短期大学教授)

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