【連載小説】 淋病おばさん南の島へゆく|第2章「雲の旅」(2)
色素が薄く、唇も白い。体は大きいが、日にあまり当たっていないみたいだ。
「この子がヒロキと八公。あたしの弟と甥っ子みたいなもんよ」
淋病おばさんに紹介された俺たちは、会釈をした。
「初めまして。そこの通りの向かいのバーのマスターのヒロキです」
「そこでバイトしてます八雲です」
青年はお辞儀で返す。そして穏やかな声音で挨拶をした。
「はじめまして、僕はコータといいます」
彼はこのスペースの向かいの路地でサックスの路上演奏をしていたところ、淋病おばさんに目をつけられ、このスペース