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異質な光の中で

「普通」なぜそれが必要だったのか。私の頭の中にいつも誰かが語り掛けてくる。弱くてちっぽけな私は、ひそかに生きていくだけで精いっぱいだった。
私が学校へ行けば、まるで蜘蛛の子が散らばるように人は消えていった。話しかけてくれる人もいない。本当は見てほしいんだ私の目の色、髪の色、私自身を。これは「個性」じゃダメですか?
ただまっすぐに長く続く渡り廊下は、最強な私を孤独にする道にしかならない。両目から意図せず流れ出る涙はこの場から消えてなくなりたいと願ういたいけな少女だということ。
でも最後に言いたい、私は間違っていたかもしれない。ぼんやりとした視界の中で奈落へと落ちていく感覚が私の複雑な想いとぶつかって破片となった。

多様性という言葉だけでは片づけられない「私」という存在は歪で、孤独を味わうにはゴールが見えない迷路に心が折れた。ぼーっとみる外の景色は白い雲も居心地が悪いのかありえないスピードで流れていく。「楽になりたい」が口癖となり運命はまるで決まっているかのようだと日々感じている。

決まって学校帰りは近くの神社でアリの行列を研究している。たくさんの働きアリたちが列をなすが必ずいるサボるアリを見ては安堵している。そんなことで時間を潰すしかなかった、家に帰れば部屋の鍵を閉める。人と違うことに手を振って別れることが出来れば多様性なんて言葉で自分を片付けることはなかったんだけど、全てを持っている「あの子」の正しさは鏡に映った私にも持ち合わせているのに、誰も見ようとしてくれない。そうじゃなきゃダメだって誰かが決めたルールの中で私の居場所をなくしていった。
私には狭く見える「普通」という道を切り取ってこの場所から「自由」を勝ち取れれば、もしそんな世界があるとすればどれだけ楽だろか。
無力な私は逃げたい気持ちを自覚しつつあった。

遠くに見える無機質なコンクリートの建物をくぐれば心の底から自分を好きになれそうな気がするんだけど。ほんとうにそうなるかなんてわからなかったから、結局窓から外をただ眺めて「楽にならない」日々をやり過ごすしかなかった。

あとがき
この詩は、普通や規範に囚われることなく自分自身と向き合う少女の内面の葛藤と成長を描いています。彼女は生まれつき目が赤く髪が白いという異質な外見を持ち、そのために周囲から疎外され、孤独を感じています。しかし、彼女は自らの個性や本質を受け入れようとする強い意志を持ち、自分自身を見つめ直すために努力します。

詩の中では、彼女が日常生活の中で感じる孤独や無力感、他者からの受容を求める苦しみが描かれています。アリの行列が登場する場面は、普通やルーティンの中で、個性を持つ者がどのように位置づけられるかを表現していると感じます。周囲のアリたちが行列をなす中で、サボるアリを見つけて安堵する彼女の姿は、自身の個性や存在を確かめようとする努力を表しています。この行列は、社会や周囲の期待に従って「普通」に従うことを象徴しているかもしれません。しかし、主人公がサボるアリを見つけて安心する様子は、普通に従うことに疑問を持ち、自らの存在を再確認しようとする強い意志を表しています。

そして、自然界ですらも彼女の存在を拒絶しようとする様子を表現するために、雲が急いで逃げる様子を比喩的に描写しています。
彼女の存在を見て、雲も急いで逃げるかのように、風が荒々しく吹き荒れ、雲が一瞬にして消え去る。彼女の孤独や疎外感を強調しつつも、自然の美しさや不思議さを優しく描写しています。同時に、周囲の自然界ですらも彼女の異質さに戸惑い、距離を置こうとする様子を表現しています。

「あの子」の正しさは鏡に映った私にも持ち合わせているのに
あの子とは、学校にいる人たちです
これは、見た目や外見が他者の目によって自己を判断されることに対するフラストレーションを表しています。見た目の異質さや外見の違いにかかわらず、内面の本質や価値は同じであることを示唆しています。その上で、外見によって他者が自分を見誤ることがあるという辛い現実を描写しています。見た目のせいで他者が自分を理解してくれないと感じる心情が、この表現から伝わってきます。

また、無機質なコンクリートの建物をくぐることで、自分自身を好きになる可能性を感じる場面は、孤独や疎外感から抜け出す可能性を示唆しています。無機質なコンクリートの建物は、冷たく硬直した社会や環境を象徴しています。一方で、その建物をくぐることで、自分を好きになることができるという感覚が心の底から湧き上がってくると描写されています。建物をくぐることで、社会や他者の期待から解放され、自分の本質や価値を再発見するための新たな旅が始まるかもしれないという希望を感じさせます。

全体を通して、詩は異質な存在でありながらも、自らの個性や本質を受け入れるために奮闘する少女の内面の葛藤や成長を、感情豊かな言葉と比喩を用いて描写しています。彼女の孤独や疎外感、そして内なる強さや希望をメッセージとしています。

言葉の羅列から生まれるストーリー

無造作に無作為に言葉を羅列する
そのままの順番でストーリーを作る
今日はこの羅列↓↓↓

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