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映画「アイアンクロー」プロレスという存在を考える

東野幸治さんのSNSでの「この時期にして今年最高の映画に出会った」とのコメントを見て、これは観ねば!と。
東野さんのコメントを信じてというのは勿論ですが、なんと言っても「プロレス」ですから、しかもあの時代の。
「アイアンクロー=鉄の爪」―――
名プロレスラー、フリッツ・フォン・エリックの代名詞
しかし、凄いですね、このフレーズ。
プロレスラーは皆、個性を出すためにそれぞれ必殺技やキャッチがありますが、フリッツ・フォン・エリックは「握力」ですよ、それが。
こめかみをグイッと掴まれると、その締め付け力で意識が遠のく。
場合によってはこめかみから血が。
その凄まじい握力を誇示するためにリンゴを握り潰したり、分厚い電話帳を引き裂いたり。
とにかくあの時代のトップレスラーはシンプル&キャッチー。
それに対して、「うぉー」となる大衆の素直さという時代背景はあったかと思いますが、エンタメをする者としてその原点的スタンスは忘れてはならないことだなと思います。

エリック家、呪われた一家の物語

この映画のストーリーの骨子は、これ。
これから観る方もいらっしゃると思うので詳細は書きませんが、エリック家には6人の息子(一人は幼少期に事故死)がおり、皆プロレスラーになるのです。
ある意味、親父冥利に尽きる?状況かもしれませんが、まあ、とにかく次々と不幸が襲いかかるのですよ、この一家に。
この一家の事実をベースに映画は作られています(時系列など色々と変えてはありますが)。
これ以上言うとネタバレになってしまいますので、言いませんが、映画作品としてはとても素晴らしい「家族物語」です。

ブルーザー・ブロディ、リック・フレアー、ハリー・レイス
事実をもとにした映画ですので、登場する人物も実在の人物。
私が一番プロレスに心をときめかせていた時代の人気レスラー達が続々と登場します。
クィーンの映画「ボヘミアン・ラプソディ」もそうですが、何故あんなに「あれ?本人?」と思う人が出てくるのでしょうか。
キャスティングと役作りの掛け算の賜物だと思いますが、ほんと「ハリウッドって凄いや」と思います。
役作りと言えば、プロレスの監修・コーディネイターは、チャボ・ゲレロ・ジュニア。
とにかく、再現度が凄い!
あの時代のプロレスを観ていた人は、そこもとても楽しめると思います。

プロレスとは一体何なのか?

この問いに一言で答えることはできない、といつも思います。
最近のプロレスは観ていないのですが、あの当時、私だけではなく多くの人々がプロレスに熱狂したことは確か。
また、純粋なスポーツではないのは確かですが、だからと言って「純粋なショーでもない」と思います。
あえて一言でといわれれば、やはり「エンターテイメント」
それは、アントニオ猪木さんの言った「プロレスは最強の格闘技」という言葉も内包する、本当に深く独特なエンターテイメント。
そこには、エンターテイメントのさまざまな原点や可能性などの要素が詰まっているのではないか、と映画「アイアンクロー」を観終わって思ったのでした。

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