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2時間で高校化学を教える

大学受験以外でもある種の試験(例 公務員試験)では高校内容の化学が出題されるため, その講師を務めることがあります。文系大学生だと「理系科目に時間をかけたくない」という考えを持っていることが多いため, 表題のように2時間で高校化学を教える機会があります。

今回は2時間で高校化学を教える際に私が扱っている内容を紹介します。


教える内容の方針

① 試験対策・頻出事項

これは講師として当然でしょう。試験を軸にして話を広げていくという方針にすると, 短い時間でも受講者の満足度は高いです。

② 化学では最低限何を覚えないといけないのか

化学で覚えることは多すぎる訳ではないです。理屈さえおさえれば暗記しないといけないことは少ないのです。ただ、最初の頃は「前提」としておさえないといけない知識が多いうえ、理論的に考える訓練が少ないので覚えるべきことをはっきり言わないといけないと考えています。

私の場合, 例えば以下の内容は必ず覚えてねといってあります。
・周期表: 原子番号1〜20
・イオン式(授業ではまとめたものを渡して適宜参照できるようにする)

なお, イオン式を組み合わせれば化学式を作ることができるので, 化学式を覚えてねということは少ないです(ただ, 2時間で化学を教える場合, 有機にあまり触れないので, メタン:CH4, エタンC2H6, プロパンC3H8を覚えようとは言います)。このことに関しては代ゼミの講師紹介にも書きました。

③ 化学で面白いこと

「日常のさまざまな現象は化学で説明できる」というのは多くの人は興味を持って聴いてくれるし, 私自身も面白いと思っています。確かに扱える内容は多くないですが, なるべく基本的事項も日常的なもので説明できたら良いと考えています。

④ 化学のコア

これは抽象的なのですが, 私が結構言っているのは以下の項目です。
・世界は小さな粒でできている⇒粒子をイメージしよう
・化学式を使ってきちんと捉えていこう
・ミクロの原因⇒マクロな結果
・定性的 vs 定量的(mol計算は比例計算, 単位も計算できる, 算数は自然科学にも使える)
・化学反応は(基本的に)5つのカテゴリーに分類できる

教えられない内容

① 瑣末・各論的な知識

無機・有機を一個一個説明するのは流石に困難です。
せいぜい有機化学反応の例としてエタノールの酸化(お酒を題材にする)を取り上げる程度です。

② 公式の細かい適用法

これはものによるのですが, 強調するのは難しいと思います。
例えば, 溶液の話で, 凝固点降下・沸点上昇はどちらかという日常で見られる例を私は説明することが多いので, 理屈をちゃんと教えることが少ないです。一応「溶質粒子が邪魔者で粒が増えると凝固点が下がりやすい/沸点が上がりやすい」ことは言えるのですが, 強調することはありません。

③ 計算問題

上述のように計算方法の真髄までは伝えられるのですが, 演習時間は2問程度触れておしまいなので, 本心としてはあまりやれなかったという感じです。でも計算が多すぎても(できるかどうかに関わらず)それだけで嫌になる場合もあると思いますのでこれで良いと考えています。

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