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読書会記録:P・F・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』第1部

日時:2021年8月29日 10時~11時 
P・F・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』第1部
参加者2名:サイトウ+1名

●10:00~10:20:効率的に読書を行うための方法
ここでは割愛。

10:20~10:30:本書の内容について説明

・本書を読むうえでの解説著者であるドラッカーについて解説

ドラッカーは『物事には必ず方法論が存在する』と信じているように見える。彼の代表作である『マネジメント』では、目標達成のために最適な手段として組織があり、その管理運営としての方法論であるマネジメントがある。

本書でもイノベーションについて、過去の事例から、イノベーションが起こった背景、経緯、企業家の行動について、分析して紹介をしている。特に力を入れて記載しているのは、企業家が新しい価値を創造しようと、事前に評価・分析・実行を注意深くやっていたにも関わらず予期せぬ失敗をした事例である。予期せぬ失敗が起こった時に、企業家は失敗した事例を評価・分析し、再挑戦した結果、イノベーションを起こしたことを著者は紹介している。

このため、本書ではイノベーションを起こすための糸口について、その方法論を学ぶことができる。もちろん、本書で紹介された事例を、自分たちの問題に適用して、その解決の糸口を見つけるうえで役に立つ。

『イノベーション』について解説

イノベーションとは『新たな価値の創造』である。
本書では19世紀の最も偉大なイノベーションは『発明の発明』であると言われる。

上記を私なりの解釈をすると、『発明の発明』とは、イノベーションを運任せではなく、計画的に起こす手法を体系化したということだと思う。

すなわち、下記のような大まかな流れを開発したことである。

・新たな価値の定義(それは具体的にどのようなものか?)
・必要な付加価値の定義(それは現在の技術と類似しているものがあるか?類似したものに何を加えれば、新たな価値を創造できるか?)
・必要な付加価値を加えるために必要な資源の洗い出し
・必要な資源の調達方法
・付加価値を加えるための工程を洗い出し、スケジュール化
・実行と進捗確認
・新たな価値の創造

これらを設計して、実行していけばイノベーションを起こせるというのが『発明の発明』である。これはドラッカーの信念と整合的である。

本書のイノベーション事例について上記の流れを意識して読んでいくと、イノベーションを体系的に起こすために必要な流れが理解しやすく、自分の問題でも具体的な解決策が見つかりやすくなるはずである。


10:30~10:45 問題意識1と読書

・問題意識1『予期せぬ失敗から学ぶことは多くあるが、より多くの事を学ぶためにはどのようにすればよいか。1970年代のアメリカの住宅市場の事例から読み取る。』

・読む箇所:第1部第3章『予期せぬ成功と失敗を利用する 第一の機会』

・時間配分:読書10分間、議論5分間

・参加者による議論
第一の機会では予期せぬ成功、予期せぬ失敗が起こった際はその理由と事前の期待と結果の食い違いを詳細に分析・評価することで、イノベーションのヒントが得られることを言っている。

1970年代のアメリカ住宅市場では、消費者の需要の変化により、イノベーションの機会があった。その時のアメリカは不況だったので、ある住宅業者は詳細な市場調査を行い、標準よりも少し小さな住宅を売り出した。要するに安売り戦略である。しかし、まったく売れなかった。これは住宅の買い手世代の生涯の賃金カーブが変化したからである。

それまでの買い手は労働者階級で一生賃金があまり変わらないので、若い時期に住宅を買い、一生涯それに住んでいた。しかし、1970年代以降の買い手世代は、将来的に賃金が増加し続けるために、一生涯で何回も住宅の買い換えをしていった。買い換えの際にそれまで住んでいた住宅を売却するので、下取り価格が安い小さな住宅よりも、下取り価格が高いしっかりとした住宅の方が好まれた。

これに目を付けた、小規模な住宅会社は、下取り価格が安定して高い住宅を、その後に買い取り保証をして販売した。その結果、住宅は飛ぶように売れ、しかも買取した住宅をリノベーションして、さらに高く販売できた。こうして、小規模住宅会社は大きく成長した。

上記の事例では、ある住宅会社は詳細な市場調査を行っていたにも関わらず、予期せぬ失敗をした。その後に小規模な住宅会社の社員は他社の失敗事例を見て後に、顧客である若夫婦たちに聞き取り調査を行った結果、買い手世代の変化を認識して、異なる商品を販売した結果、成功した。顧客の需要を直接聞き取り調査したことがイノベーションの機会を見つけたと言える。

10:45~11:00 問題意識2と読書

問題意識2『イノベーションの第二の機会は様々なギャップを利用したイノベーションについて説明をしている。このギャップを利用したイノベーションという観点から私たちの販売しているカーオーディオがなぜ市場で売れているのかを考える。』

読む箇所:第1部第4章『ギャップを探す 第二の機会』

時間配分:読書10分間、議論5分間

・参加者による議論
第二の機会は他の起業家がまだ認識していない価値を認識、あるいはアクセスできない価値にアクセスをすることにより、新しい価値を創造できることを言っている。

私たちが販売しているカーオーディオがなぜ売れるのか?ということだが、これは価格のギャップを機会として利用していると思う。

顧客は車の中を快適に過ごしたいという欲求がある。このため、最近の車にはカーナビテレビが装備されている。しかし、カーナビテレビの価格は高く、3万円以上はする。新車購入時のオプションとして購入すると、さらに高い。

ただ、最近、生産工場から廉価版の価格がカーオーディオが販売されてきて、従来の価格帯よりもとても安く販売することができる。既存の価格とのギャップ、サプライヤーのギャップの違いをイノベーションの機会として捉えることができた。

加えて、最近はYoutubeで汎用品の取り付け方法を解説した動画に、スマートフォンで簡単にアクセスできる。このため、顧客自身も自分の車を改造する難易度が下がった。Youtubeとスマートフォンの普及以前と以後の情報ギャップができたことにより、取り付けを自分で行う低価格の汎用品カーオーディオという価値が生まれたと考えられる。

備忘録をここまで読んでいただきありがとうございました。
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