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執筆の一助(番外編① 狙った作風は外しちゃいけない!)

 第4回を前に、一度コーヒーブレイク的に寄り道話となります。
 回想や、経験談とはだいぶかけ離れた創作論になってしまっているので、分けております。
 創作時の心構えは載っていますが、それ以外のことは載っていませんので〈書き方が分からない〉方だけお読みください!

 ではどうぞ!
 ※当連載は一個人の独断と偏見と経験から執筆されております。くれぐれも一般論と錯覚せぬようお願いします。並びにあくまで無料公開の範疇の情報・構成であることはあらかじめご了承ください。

◯忘れてはいけないこと

 コーヒーブレイク……と言えるほどウィットに富んだ話ではできませんが、プロットを作成する前(もしくは作成した後の、執筆に入る時点)に忘れてはいけないことがあります。

 例えば胸に響く作品を読んだとき、「自分もこんなワクワクドキドキ……もしくはせつなく悲しい物語を書いてみたい……」と思った方は少なくないと思います。自分もそうでした。

 では、逆の立場から考えてみましょう。
 つまり著者(作品の作り手)側から見てみましょうということです。

 その作品を生み出した著者は、皆さんに〈ワクワクドキドキしてもらおう〉もしくは〈涙で前が見えなくなるほどの感動を与えよう〉と目論んで執筆したと考えられます。

 ということは、笑える作品を書けば〈笑える作品が出来上がる〉し、泣ける作品を書けば〈泣ける作品が出来上がる〉わけですね。

 ならば、仮に「腹が痛くなるほど笑わせてやろう!」と思って書いた作品が世間では「せつなさ爆発! 涙なしでは読めぬ感動の一作!」等とレビューされて、さらに大ヒットでもしていたら、それは〈ある意味〉では成功でありますが、ある意味では〈失敗作〉となります。

 どこが成功か。
 それが大ヒットにつながれば、成功ではあるといえるでしょう。作者の想定した売れ方ではありませんでしたが、利益を生むほどの売上になるのであれば、商売としては成功です。


 では、失敗の観点から見るとどうなるか。
 それはひとえに〈伝えたいことが描き切れていない〉となります。


 作家とは、伝えたい思いを形にすることが大事であると考えます。

 コメディを書こうとしているならば、きちんとコメディを書く。

( ' v ' ){それがスベって寒い笑いになろうとも?)
か、かくんです!

 泣ける話を書こうと決めたのならば、ハッピーエンドであろうがバッドエンドであろうが、かならず〈泣ける話〉という軸を忘れてはなりません。

 芸人さんの話で、こんな話を耳にしたことがあります。
〈笑われるのではなく、笑わせる〉
 作品も、そうでなければならないということです。

( ' v ' ){できてるんですか?)
……(泣)

 狙った結果――という観点から、経験則をお話しましょう。
 あくまで例題としてあげますので、細部は創作しておりますが、ご了承ください。

 私の知人の男性は数学が好きで、さらにはギャンブルも好きでした。(この場合の数学がこれからする話に関係するかは不明なのですが)
 とくに競馬が好きで、自分流の〈数式・方法論〉を用いて馬券を買っていました。
 論理は私にはよく判りませんでしたが、彼はこう言いました。

「この方法で買い続ければ一年で資産が15%増えることになる。そんな数式なんだ」

 すごいですよね。
 数式は教えてもらえませんでした。でも今度会ったら、絶対に――。

――( ' v ' ){……)
すみませんでした真面目に働きます。

  ( ' v ' ){はい)


 一年後、彼に再会した私は、競馬の成績を聞いきました。

「やあ。競馬の成績はどうだい?」
「資産は30%増えた」
「すごい! 成功したんだね」
「いや、失敗だ。あの数式は15%〈だけ〉増える数式のはずだった。30%は勝ちすぎだ。勝ちすぎているということは、想定外ということ。私の数式は間違っていたということだ。勝ちすぎても失敗なんだ」
「な、なるほど(じゃあ15%くれないかな……)」

( ' v ' ){おい)
真面目にーー以下略。

 この話の肝を説明しましょう。

 それは〈狙った結果が得られないということは、+でも-でも関係なく、総じて失敗である、という考え方〉――というものです。

( ' v ' ){あくまでそういう考え方がある、ということですよね? あくまで)
もちろんです。もちろん、あくまで余談です。

 
 彼からすれば、15%勝てる数式は、いうなれば〈1足す1は2〉となる数式のはずでした。〈2〉を手に入れるための数式でした。


 しかし結果的に〈1足す1は4〉となってしまったのです。
 欲しかった〈2〉ではなく〈4〉が手に入ってしまったのです。

 たしかに〈4〉のほうが〈2〉よりも大きいし、結果的にはお得かもしれません。
 しかし間違った答えが出るようでは、数式(方法)の面では失敗です。

 狙いをつけて、それを取得するための方法を生み出し、しかしその結果がでないならば、仮に数値が大きくても失敗――さきほどの話と照らし合わせてみると、なんとなく伝わるでしょうか。

( ' v ' ){伝わるわけがない)
間違いない。

 つまり〈求めた数字を出すために、数式をつくった。しかし結果は、予想していたものと違った。お金は予想よりも増えたが〉という話には、二つの側面から導き出される結果があります。

 それは〈お金を増やしたかったのか〉、〈正しい数式を作りたかったのか〉という側面からの結果です。

 〈予定していた作品とは全く違うものができた〉としても、〈売れた〉〈受賞できた〉のならば良いでしょう。しかしそれは〈売れれば良い、受賞できれば良い〉だけのときです。

( ' v ' ){売れればいいし、受賞できればいいのでは……?)
もちろんそうなんですが、ここはあくまで創作の基礎としてお考え下さい。おそらくですが、これを心得ておかねば、少ないチャンスを手に入れた際に、決定打を放てません!

( ' v ' ){じーーーーーーー)
う、うそじゃないです(目をそらす)


 もちろんそれらを目標とはしていますが、〈作家となるためには継続して作品を作らねば、ならない〉ことも事実。

 一度、偶然、運よく〈書いたコメディが泣ける作品として受賞してしまった場合〉。
〈泣ける作家〉としてデビューしてしまったら、次作に求められるのは高確率で〈泣ける作品〉となります。なのに「本当はコメディを書いたつもりなんだけど……」なんてことになっては大変です。

( ' v ' ){え……? 自分はできているかのような上から目線……?)
え?! 風評被害はやめてください!!(必死)

 ですので、もちろん〈受賞〉ができればそれに越したことはないのですが、それと同じくらい大切なことは〈狙った作品を作る〉ことが〈執筆〉の力量をあげることを忘れないようするということです。

〈結果的にそれっぽい泣ける作品が出来上がった――のではなく、泣ける作品を狙って執筆した〉というのが理想です。

 これは〈プロット通りに作る〉、もしくは〈プロットからあえて外れて面白いほうへ突き進む〉など、色々な状況の基礎となると思いますので、ぜひ忘れないようにしたいですね。

( ' v ' ){基礎をしっているから、イレギュラーができるってやつですか)
かっこいい! それで!

( ' v ' ){……バイバイ!)

 次回はこれらを踏まえたプロット作成についてとなります!

( ' v ' ){もはやハウツーになっているような……)
書いていくにつれてどんどん〈回顧録〉になる……はずです。
最初はどうしても説明が多くなるもの……のはずです。
( ' v ' ){狙ったものを狙って書かなきゃいけないんじゃ……)
……次回は回顧録にします!(白目)

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