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制作’24「火焔・黄不動」

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多層ガラス絵の不動明王完成。

多層ガラス絵の不動明王完成。

 奥の層には縄文の火焔紋様を配しました。
 火をまなざす太古の人々は、そこに何を見ていたのだろうか。生かされている自分たちの命と、その糧として燃えゆく命。その相互の繋がりが熱の中溶け合い、分かち難く結びついている不思議ではなかったろうか。
 厳しく煩悩を断ちながら、その行いが即ち人々を悟りに導くという不動尊。その容赦のない苛烈さは、多くの仏像の中でも一際目立つものですが、それでも民衆に「お不動さま

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輝く不動明王

輝く不動明王

 不動明王の身体の描画を進めます。そもそも悟りの境地にいる最高位の大日如来が、人を救う為、奴僕の身となって顕現したお姿、ということなので、それ自体が輝いているのが自然かなと考えました。描画は、中心部から光り輝くように削り落としていくことにしました。

続く

不動明王/衣

不動明王/衣

 はだけた衣の箔貼りをしました。調べてみると格好としては袈裟懸けがノーマルらしいですが、今回の元になった日本の絵とリクエストに従い、今回は腰巻きで進めます。

嵌めて確認。だいぶ全体の雰囲気が決まってきました。

続く

不動明王続き。

不動明王続き。

 不動明王の描画続き。

 足元は岩、もしくは水晶。

 箔を貼り、また引っ掻いて身体の立体感と質感を出していきます。あくまでも人間ではないものなので、あまり生々しくなりすぎないように気をつけながら加筆していきます。
続く

不動明王の再デッサンとガラス絵

不動明王の再デッサンとガラス絵

 特製ガラスの到着を待っている間に雪が降り、更に到着が遅れ、しばらく不動明王のエスキースを壁にかけて眺めている時間が取れました。

 その間もう少し改善できそうな予感があったので再び形を取り直しました。

 ここからはガラス絵の画面上で考えていきます。

続く

火焔と後光

火焔と後光

 前回からの続き。

 箔貼りの隙間。主に箔の貼り合わせる箇所から剥がれ、面白い形が生じます。
 ”重なり合う部分に生じる形”・・・そう言葉に発してみると、それだけで十分作家として惹かれるテーマにもなり得そうです。素材は作家がコントロールし扱うものでありつつ、その素材が、作家自身に教えてくれることは少なくはありません。そしてそれが制作の醍醐味でもあります。
 当然職人さんなら完全に埋めていくのだと

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火焔を削り落とす。

火焔を削り落とす。

 だいぶリクエストされてから時間が経過し、準備のドローイングも溜まり、いい額も手に入りようやく新作の制作スタートです。
 特注ガラスが来るまでに、まず火焔から描くことにしました。

 火焔は昨夏、阪神百貨店での個展の帰りに京都国立博物館で描かせてもらったもの(その時の記事)を元にします。