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漢方の先生が教えてくれた、幸せな人生のレシピ

7月はほとんど家にこもっていたのでなるべく毎日noteを更新するようにしていましたが、無事体調が良くなったのでこれからはまた時間のある時に少しずつ書くリズムに戻します。

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今、アトピー性皮膚炎と自律神経が弱い体質をカバーするために月に2回中医学のドクターの家に行って、漢方を処方してもらっています。

先生は上海出身の女性の方で、私の大学のコースメイトがぼろぼろの私をみてお勧めしてくれました。薬代は月に〜2万円ほどするので安くはないものの(ロンドンの物価を鑑みると、彼女が凄く安く薬を調合してくれているのは間違いないです)、驚くほどアトピーが改善されたこと、そして、メンテナンスも兼ねて常に薬で体内バランスを保つことは私のスタイルに合っているようで、かれこれ3ヶ月くらい続けています。

昨日も朝からいつものように先生のご自宅へ。先生はいつも20分くらいかけて、丁寧に問診してくれます。
そしてその週の薬に何を入れるかひとしきり彼女のノートに書き込み、調合してくれます。

デスク右端のボトルのものが全て入っている

先生は最初こそ自分の部屋で調合して、終わると小分けされたものを持ってきてくれましたが、最近は私がソファに座って待っている目の前で調合して、色んな話をしてくれるようになりました。

なんでも、もう20年以上ロンドンに住んでいて、彼女にとっては上海よりロンドンの方が居心地が良いのだそう。

ロンドンの方が稼げるのかな?くらいに安易に思っていたのですが、先生は上海時代ご自身のビジネスに大成功されていたのだそう。五つ星ホテルに併設されたクリニックが上手くいって、とにかくお金が沢山あった、そしてホテルのようなラグジュアリーなレジデンスに住み、ボディガードさんを抱えて外出するのが彼女の日常だったのだそうです。

でも、あるタイミングで、沢山お金を持つことが全然彼女にとっての幸せには紐づいていないことに気が付き、持っている物件はほとんど家族にあげて(イギリスと中国で複数の物件を所有している)、ビジネスの規模も小さく小さくして、今の暮らしに必要な額を稼いでやりくりするスタイルに変えたと話してくれました。

中医学における漢方はとても複雑です。何せ、症状(病名)が同じでも、患者によって異なる「原因」のほうを見つけてアプローチをしていくので、作る薬は一人一人異なります。私ですら、毎週全然違う薬が出てきて(味が違うのでわかる)、同じ皮膚でも部位や、改善したいことや、その時の私のコンディションによって処方薬は変わります。だから、漢方が凄いというより、正しく漢方を処方できるお医者さんに出会うと、漢方は物凄く効果を発揮する、というわけです。

で、こんなに実力派な先生がなぜこんなにリーズナブルな価格でお薬を調合してくれるんだろう?フラットを貸しているコースメイトの友達だから…にしては、相当親切だよなぁと不思議に思っていたのですが、「色んな患者さんに会って、いろんな経験を積んで、もっと良いお医者さんになる」ことが幸せなのだそう。
中医学のことを学び、学んだことと患者さんとの繋がりをもって確かめてゆく時間が彼女にとってはシンプルに幸せで、もはや患者としての私は、彼女の人生の壮大なプロジェクトの"素材"なんだろうなぁという理解に辿り着きました。

私は、ロンドンに来てからは特に、慎ましく生活してやっと暮らせるくらいの生活水準なので、ビジネスに大成功することは夢のような出来事に思えます。もし、機会を得られるとしたら、喜んで手にすると思う。

対する先生は「お金を持っている時に、周りの人たちが自分のことを人というより'お金'として見られているような感覚がずっとあって、それがすごく窮屈に思えた」「段々お金のためだけに働いてる自分が嫌になってきた」と言っていました。むしろ手放してからはみんなが自分を見てくれるから嬉しいのだそう。
先生はすごくピュアに、先生でいることが幸せなんだなと思った。

そういうのを聞いていると、今私が住みたい場所に住ませてもらって、家族と友達に恵まれていて、みんな健康で、やりたい勉強の機会を得て、デザインの仕事が貰えて…という今の状況は物凄くラッキーで、贅沢で、相当幸せなんだなぁと改めて思いました。

そして、先生とわたしにとってはたまたま幸せが働くことと強く結びついているけど、人生の中で幸せを感じるポイントは人によって違っていて、大切なのはそれが何なのかを自分が把握していることなんだと思う。

仕事はそこそこにして週末の趣味に全力投球するとか、毎年の長期休暇で海外旅行するとか、子育てで家族と思いっきり向き合うとか。

私にとってこれが幸せ、ということを分かっているだけで、無駄な嫉妬心は起こらなくなる。そして、違う種類の幸せを楽しんでいる人への批判意識も無くなると思う。

勿論お金がある程度ないと心が摩耗するし、日常的にハラハラしながら暮らすのは楽しくないからお金を稼ぐことは必要だし、お金を欲しがることは素晴らしい感情(色んな可能性を求める欲求がすてき)と思っている。

だけど、実際自分が求める生活にはお金がどれくらい必要か、何のために必要か、それは本当に自分の幸せのためなのか?というのは慎重に考えながら働いていこうと思いました。

お金と幸せと豊かさのバランスは人生の大きな課題のひとつだなあ。

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